【豆知識】知っておきたい桜の種類
国内に自生する野生の基本種は9種とされているが、変種や自然交配したものが多く、さらに園芸品種だけでも200種を超える。ここでは花見の対象として代表的な5つの桜を紹介する。ソメイヨシノやヤエザクラは公園や学校などでよく見かけ、エドヒガンやシダレザクラ、ヤマザクラは一本桜として知られているものが多い。
ソメイヨシノ
桜の代名詞といえる品種。オオシマザクラとエドヒガンの交配種で、江戸末期に染井村 (現在の東京都豊島区巣鴨あたり) の園芸農家から広まったとされる。ヤマザクラと違って開花時に葉は出ず、エドヒガンよりも花は大きめ。
エドヒガン
アズマヒガンともウバヒガンとも呼ばれる野生種。春の彼岸頃に開花する。長寿で大木に成長するため、一本桜として名を馳せているものにはこの種が多い。ソメイヨシノより花は小振りで、萼の付け根が丸く膨らんでいるのが特徴。
ヤマザクラ
日本の山野に自生する野生種で、「吉野山の桜」としても有名。古くは桜といえばヤマザクラを指し、和歌にも多く詠われてきた。開花と同時に葉も開くため、ソメイヨシノやエドヒガンと区別できる。長寿で大木に成長する。
シダレザクラ
エドヒガンの一品種で、枝が垂れ下がるのが特徴。それ以外の基本的な形状はエドヒガンと変わらない。長寿なので、神社や寺などにある老大木にこの種が多い。花が濃い紅色のベニシダレ、八重咲きのヤエベニシダレなどもあり、広義では枝が垂れる桜全般を指す。
ヤエザクラ
花びらの多い桜の総称で、特定の品種を指すわけではない。カンザンやフゲンゾウなどが有名。ソメイヨシノよりも開花が1〜2週間ほど遅く、新緑が芽吹き始める頃に大柄で華やかな花を咲かせる。
日本に自生する野生の基本種
■エドヒガン
東北から九州まで分布。花は早咲きで、巨木・名木が多い。人里近くにもあり、農作の目安にする地方が多かった。■ヤマザクラ
本州の南部に分布。枝は斜め上に伸びるものが多 いが、横に伸びることもある。寿命が長いため、かなりの大木になる。■オオヤマザクラ
九州と沖縄を除いて全国に分布するが、北海道から東北に多い。花も葉もヤマザクラより大きい。枝が垂れるものもある。■カスミザクラ
北海道、本州、四国に分布。花の色や大きさなどに変種が多いが、花は白色、葉は黄緑色や緑褐色のものが多い。■オオシマザクラ
伊豆諸島と伊豆半島南部に自生。サトザクラ (園芸品種) の多くの元になった。花は白色で、葉は桜餅に使われる。■チョウジザクラ
東北の太平洋側、関東、中部に多く自生。長い萼筒と花の形が「丁」の字に似ていることから、この名が付いた。■マメザクラ
富士山や箱根の山地に多く自生。細かい枝が多く、小さな花をたくさん付ける。また、花は下を向いて咲く。■ミヤマザクラ
北海道に多く、南は九州まで自生。ほかの桜とは花の付き方が異なり、長く伸びた花軸に複数の花がつく。■タカネザクラ
北海道と本州中部以北に分布。本州では海抜1500〜2800mの深山に自生。白から淡い紅色で、花びらの先端だけ色の濃いものもある。