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比較明合成でこんな写真もできる! 星の軌跡とポートレートを組み合わせてみた

デジタルカメラなら、連写で捉えた夜空の写真を比較明合成するだけで、幻想的な星の光跡が撮影できます。CAPA創刊40周年フォトコンテストで優秀賞を受賞した湯淺光則さんに、いま注目の比較明合成テクニックを聞きました。今回は応用編として、星の光跡に人物をプラスした表現方法を紹介します。

比較明合成の応用テクニック1

目次

  1. 比較明合成の撮影テクニック
  2. 比較明合成の合成テクニック
  3. 比較明合成の応用テクニック : 星の光跡+人物
  4. 比較明合成の応用テクニック : ホタル

星の光跡に人物をプラスして新しい表現を楽しもう

直線的な光跡の写真を見ていると、まるでカラフルな大雨が降っているように感じた。そこで傘を持った人物と組み合わせたら面白い表現ができるのではないかと考えた。

まずはカラフルな大雨となる光跡写真がベースになる。直線的に斜めに降る光跡を捉えるため、西の方角を、標準レンズを使用して撮影した。

人物は合成を前提に別途撮影する。昼間やストロボなどを使って撮影すると夜の雰囲気が出ないので、必ず夜に、ランタンやロウソクなどの淡い光で、星空と合成しても違和感が出ないように撮影する。今回はカラフルな大雨に合わせてカラフルな傘を持ち、空を見上げる様子を撮影した。後は人物を切り抜いて貼り付けるだけだ。星の光跡からイメージを膨らませて、作品づくりをするのも楽しい。

まずは星の光跡と人物を別々に撮影する

① 標準レンズで夜空を切り取る

高感度でもきれいに撮れる、センサーサイズが大きいカメラが理想。レンズは光跡が直線となるように切り取るため標準レンズを選んだ。

比較明合成の応用テクニック1

② 光跡を雨に見立てて長時間連写

光跡の数が多く長いほうが大雨の雰囲気を出せるが、光跡が多すぎると汚くなってしまう。ここでは基本のシャッタースピード30秒、絞りF4、ISO1600で撮影した。

比較明合成の応用テクニック1

③ 光跡撮影と同じ機材で人物を写す

人物は別撮りとなる。カメラやレンズは光跡撮影と同じものを使用し、同じ焦点距離で撮影する。キーオブジェクトとなる人物と傘にピントを合わせるため少し絞って撮影した。

比較明合成の応用テクニック1

パソコンで合成して作品に仕上げる

① 光跡写真は専用ソフトで比較明合成

ソフトは何を使ってもいいが、使い慣れた「SiriusComp (シリウスコンプ)」で合成した。操作は保存先ファイル名を決めて、撮影したファイルをすべて指定するだけだ。

比較明合成の応用テクニック1

② 人物を切り抜き光跡写真に貼り付ける

人物の写真は「Adobe Photoshop」の「選択とマスク」などを使い人物だけを切り抜き、光跡写真に貼り付けて適切な位置に配置する。余分な周囲を切り取って完成だ。

比較明合成の応用テクニック1

合成が前提の写真でもクオリティは大事! 撮影のポイント

① ソフトフィルターで光跡をカラフルに描く

カラフルな大雨を表現するためには星の色を捉えることが大切だ。ソフトフィルターを使ったり、あえて少しぼかしたりすることで、星の色を引き出すことができる。ここでは西の方角を撮影し、斜めに降る雨を再現した。

比較明合成の応用テクニック1
ソニー α7R III キヤノン EF24-70mm F4L IS USM 絞りF4 ISO1600 WB : オート RAWデータ 30秒×300枚合成

② 背景の光跡写真に合わせ人物を夜に撮影

人物は切り抜いて合成するが、星の光跡は夜の写真なので、人物も夜に撮影しないと違和感が出てしまう。ストロボなどは使わず、ランタンやロウソクなどでライティングするとナチュラルに仕上がる。

比較明合成の応用テクニック1
ソニー α7R III キヤノン EF24-70mm F4L IS USM 絞りF6.7 1/6秒 ISO1600 WB : オート RAWデータ

③ 合成して完成

東または西の空は星の光跡が直線になる。標準レンズを使って狭い範囲を長時間撮影すると、まさにカラフルな大雨が降っているように見える。前景は風景でもいいが、ここでは雨を表現するため傘を持った人物を合成してファンタジックに仕上げた。

比較明合成の応用テクニック1

 

次回はホタルの比較明合成テクニックを紹介します。