特集

PLやNDだけじゃない! プロ写真家の個性派フィルター使いこなし術①「ブラックミスト」で映画のワンシーンのように

PLやNDなどの風景に使うフィルターだけがフィルターではない。写真の色と雰囲気をアップさせてくれる「個性派フィルター」が、いま続々と増えている。その描写や使いこなしをプロ写真家に教えてもらった。新しい写真のヒントがここにある!

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト

目次

  1. ソフトな光で映画のワンシーンのように「ブラックミスト」
  2. あえて解像度を低くしてにじませた不思議な世界「アルプスパンチ!」「なついろパンチ!」
  3. シャープな光のラインを発生させる「Streak Blue / Orange / Green」

鈴木啓太さん愛用のブラックミストフィルター「K&F Concept NANO-X ブラックミスト (ブラックディフュージョン) 1/4」

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
※直販モデル名は「NANO-X ブラックミスト」、一般販売モデル名は「NANO-X ブラックディフュージョン」。仕様はどちらも同じ。

参考価格 税込 4,500円 (49mm) 〜8,900円 (82mm)
強さ 1/8、1/4、1/2、1/1
サイズ 49mm、52mm、55mm、58mm、62mm、67mm、72mm、77mm、82mm

効果の強さを4段階から選べる

K&Fのブラックミストには4段階の強さがあり、常用するのであれば効果量のバランスの良い1/4がオススメ。ここではもっとも効果の強い1/1とフィルターなしとを比較。1/1はこのようにハイライトの飽和が非常に大きい。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
フィルターなし
個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
ブラックミスト 1/1使用

映画のような光を与えてくれる次世代ソフトフィルター「ブラックミスト」

最新レンズの解像度、描写力はまさに日進月歩。だが、よく写るが個性を感じない描写から少し距離を置きたくなる、そんな日はないだろうか。オールドレンズほどの淡さは必要なく、せっかく揃えた現代レンズから古いレンズに乗り換えるほどでもない……。

そんなとき、手持ちのレンズの描写をフィルターで手軽に変えることができれば、試したくなるはずだ。ここで紹介する「ブラックミスト」は、コントラストを抑えつつ、映画のようなハイライトの飽和をもたらす、まさに “ミスト” のような効果を与えるレンズフィルターだ。ソフト系のフィルターはフィルムカメラの時代からよく使用されているが、従来品との差はどこにあるのだろうか。

レンズ本来の描写を崩さず「味」を加える

ひとつめは、その効果がハイライトを中心に現れること。従来のソフトフィルターは写真全体にソフト効果が発生していたが、ブラックミストはハイライトにのみ、その効果が現れる。そのため、淡い表現を狙って写真に取り入れることが可能だ。

もうひとつは、解像度を保ちながらその効果を発揮できるという点。従来品はフィルターを通すと写真全体の解像度を低下させてしまうデメリットがあった。しかしブラックミストはそこに配慮した製品になっており、フィルターを通しても写真全体の解像度の低下は極力抑えられている。レンズ本来の描写を崩さず、作品にスパイスを与えることができる、まさに次世代ソフトフィルターなのである。

ハイライト部分に独自の光の表現を見せてくれる

光を放つ街灯、そして光が当たるモデルの服にのみ、その効果が現れる。光の当たるハイライト部分に効果を及ぼすという特性を理解していれば、その表現方法を意図的に取り入れることができる。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
キヤノン EOS 5D Mark IV タムロン SP 35mm F/1.4 Di USD 絞りF2 1/125秒 ISO800 WB : オート (ブラックミスト1/8使用)

光源をうまく取り入れて光をまとったような写りにできる

ブラックミストはどのようなシーンでの利用が効果的なのだろう? まず相性抜群なのがポートレート。女性ポートレートにおいては、光をまとったような描写となり、どこか懐かしい幻想的な雰囲気を醸し出す。だが筆者のオススメは男性ポートレートで、日中の撮影において男性の持つ硬いイメージを和らげるのにひと役買ってくれる。

一方、夜のシーンでは男性の力強さはそのままに、街灯が放つ光の飽和が男性の無骨な様相を引き立てる。また、光が当った部分の肌の質感はほどよく柔らかくなり、レタッチなしでも肌の透明度を上げることができる。肌のレタッチが苦手な人にとっては、特に便利なフィルターといえる。

夜の光を柔らげながらも力強い雰囲気に

日中の光の当たるシーンだけでなく、光が際立つ夜もブラックミストを有効活用できるシチュエーション。モデルの肌には街灯の強い光が当たっているが、ブラックミストにはその光を和らげる効果もある。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
キヤノン EOS 5D Mark IV タムロン SP 35mm F/1.4 Di USD 絞りF2.8 1/60秒 ISO640 WB : オート (ブラックミスト1/4使用)

夜景ではスパイス的に使うのがオススメ

スナップショットで効果的なのは、日中の明暗が大きく現れる場面に加え、光源が含まれる夜のシーンだ。また木漏れ日の心地良い光を、より幻想的な雰囲気に変えることができるのも利点。その場合は露出を1段程度プラスにすることで、飽和量をより大きくすることができる。

逆に、夜のシーンは写真に含める光源を限定するのがポイント。理由は光源のハイライトが大きくなりすぎるためで、ブラックミストの光の飽和はあくまでも夜景やナイトスナップにおけるスパイスとして使うのが効果的だ。モノクロでも非常に良い効果を発揮するため、ぜひ試してほしい。

新たな表現が手に入るブラックミスト。手軽に映画のような光を得られる、今もっともオススメのフィルターだ。

夜は光をやや抑えめにするとメリハリがつく

夜のスナップなどで使う場合は、街頭や信号機などの光源を部分的に取り入れることで、暗部との描写にメリハリがつく。車のライトをスローシャッターで撮影してもいい雰囲気になる。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
キヤノン EOS R6 RF50mm F1.8 STM 絞りF2 1/15秒 ISO800 WB : オート (ブラックミスト1/4使用)

柔らかな光が木漏れ日を引き立てる

日中の木漏れ日はベストなシチュエーション。幻想的な光の描写が、日常の風景をドラマチックに仕立て上げる。ハイライトが白トビしてしまうが、恐れず使っていこう。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト
富士フイルムX100V 絞りF5.6 1/210 秒 ISO160 WB : オート (ブラックミスト1/1使用)

そのほかの鈴木啓太さん愛用フィルター

光源を拡散して光に広がりやアクセントを加える「NiSi AllureSoft」

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト

参考価格 7,810円 (82mm)
サイズ 62mm、72mm、77mm、82mm

「AllureSoft (アルーアソフト)」フィルターは、柔らかいが細部のディテールが失われないソフトフィルター。ブラックミストに似た描写で、K&Fのブラックミスト換算で1/1~1/2程度の強さを持つ。強めの効果を求める場合はこちらを選択するのもありだろう。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト

宝石やイルミネーションをキラッと照らす「ケンコー R-サニークロス」

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト

参考価格 3,990円 (82mm)
サイズ 49mm、52mm、55mm、58mm、62mm、67mm、72mm、77mm、82mm

飛び道具的な効果として面白いのが、クロスフィルターだ。「R-サニークロス」は、8本の光の線が輝きの効果を生み出す。作例のようにアクセサリーに使うほか、イルミネーションを強調するなどのアクセントとして活用できる。

個性派フィルター使いこなし術:ブラックミスト

 

※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。