晴天時に捉える紅葉は色鮮やかで映えるが、撮影日が晴ればかりとは限らない。悪天候を逆手にとって、秋雨に潤う紅葉を狙ってみよう。しっとりと情緒のある紅葉風景もオツなもの。撮影のカギはPLフィルターの使い方にアリ! まずは基本のテクニックから紹介する。
目次
- 基本編
- 応用編
PLフィルターで紅葉本来の色を引き出そう
雨に濡れた紅葉は表面に雨雲を映し込み、思いのほか強いテカリが発生する。このため本来の色が失われて、白っぽく写りがちだ。PLフィルターは偏光フィルターとも呼ばれ、特定方向の振動成分を持った光、つまり偏光を除去することができる。PLを使って葉の表面反射 (偏光) を取り除くと、紅葉本来の色味を引き出せる。
PLフィルターは枠を回転させることで、偏光膜を回転させて効果を調整して使用する。フィルターを90°回転させるごとに、効果最大から最小へと変化し、180°回転させると偏光膜の方向が元に戻るので効果も戻る。
最大から徐々に弱めるとPL効果がわかりやすい
紅葉の葉は太陽の光を効率的に受け止められるような方向に向いている。厳密には同一平面ではなくとも、ある程度葉の向きは揃っているので、PLを使うことでかなりのテカリを取り除くことができる。特に強いテカリに合わせてPL効果を最大にすることで、深みのある艶やかな秋色を引き出せる。ファインダーやライブビューを見ながらフィルターを回転させ、テカリが消えるように調整するのが基本だ。
ただ完全に反射を取ってしまうと雨らしさは弱くなってしまう。水滴のついた葉をアップにするときは、少しテカリを残したほうが雨の雰囲気を生かしやすい。水面に浮かぶ落葉を撮るときも同様だ。PL効果は反射が消えるときが一番わかりやすいので、一旦効果を最大にしてからフィルターを少し戻してテカリを残すように調整するとよい。
① 効果を最大にして色鮮やかに捉える
PLフィルターを使わないと紅葉の表面反射が目立つ。雨に濡れた葉は雨雲を反射して白くテカり、紅葉の色が浅くなりがちだ。PL効果を最大にするとテカリが取れ、深みのある色を引き出せる。
○ PL効果 [最大]
PLなし
② 効果を調整すれば濡れた質感と色彩が両立できる
PL効果を最大にすると色の深みは出るが、湿潤感は弱くなる。また、効果を抑えすぎるとテカリが強く、紅葉の色味が失われがち。ここでは効果を中くらいにすることで適度な光沢感を残しつつ、紅葉の色味を引き出せた。
○ PL効果 [中]
PL効果 [小] |
PL効果 [最大] |
③ 水面の雰囲気を生かすときは反射を残そう
PL効果最大で水面の反射を取ってしまうと、水辺の雰囲気も失われてしまう。そこで、効果を加減して反射を残すことで、水面に浮かぶ落葉らしいイメージを引き出せる。効果が弱いとテカリが強くなりすぎるので、水面の反射具合を見ながらPL効果を調整したい。
○ PL効果 [中]
PL効果 [最大]
次回は応用テクニックを紹介します。