高感度域の画質と画素数が進化した「EOS R6 Mark II」
そして12月15日には「EOS R6 Mark II」が発売となった。正直、2022年の新型ボディは「EOS R7」「EOS R10」だけだろうと予想していただけに、このカメラの発表はまさに寝耳に水だった。
高画素で緻密な描写力を持つ「EOS R5」に比べ、撮影時も撮影後もハンドリングが容易な「EOS R6」は、どちらかというと軽量な機材構成で目に入ったものをどんどんスナップ的に撮影していくスタイルが多い僕にとって、こちらの機種を日常的に多用するケースも多く、仕事以外でも家族スナップなどを撮影するためにもう一台「EOS R6」を買おうかと検討するくらいだったので、発表の知らせに飛びつくように予約を入れ、購入を決定した。先代モデルから約2年と、やや早すぎる更新のようにも思えたが、実際には「Mark II」と名乗るのに相応しい、着実な進化を遂げている。
念願の「鉄道検出」に対応
まずは連写性能だ。メカシャッターでは先代モデルと変わらない約12コマ/秒だが、電子シャッターで約40コマ/秒と上位機種「EOS R3」以上の連写速度を達成。もはや、「EOS R6 Mark II」のフルスペック画質で記録した動画から切り出す、そんなレベルの連写速度といっても過言ではない爆速さだ。
続いてAF性能は今のEOS RシリーズのスタンダートとなっているトラッキングAFを搭載。最近のカメラでは特に注目される「被写体検出」には、個人的に念願だった「鉄道検出」がついに搭載。これまでモータースポーツなどが主流だった「乗り物検出」内に実装され、ほかに飛行機も検出可能となっている。驚きの機能として、新幹線のようにノーズの長い車両の場合は、先頭部分の「運転室の窓」部分を検出し、追従。先ほどの約40コマ/秒連写との併用ももちろん可能で、AF、高速連写両方の面から鉄道撮影をサポートしてくれる。
夜の鉄道写真に新たな表現をもたらしてくれる
加えて画素数も先代の約2010万画素から約2420万画素にアップ。「EOS R6」というと、画素数をあえて抑え、その分高感度特性を高めている機種でもあるが、高感度域での画質はそのままに今回、画素数を約410万画素ほどアップしている。高感度域での画質はそのまま、と書いたが、実感としては解像感が上がっているせいもあり、画質も初代モデルより向上しているというのが素直な感想だ。
高感度特性が高いカメラというと、夜景や暗いところでの撮影適性が高いカメラ、というふうに思えるかもしれない。もちろんその認識で間違っていないのだが、最近では開放F値を暗めにすることで、これまでより軽量なレンズや、従来では実現しなかった焦点域までカバーするズームレンズなども登場しており、そうしたレンズを使用する場合にも高感度特性の高さはメリットになる。
そのほか、従来ではブラしたり、バルブでの撮影が定番だった夜間の鉄道撮影についても限りなく「写し止める表現」を用いることができ、これもまた新たな表現に繋げることができる。室内や悪天候時など、思いのほか「暗い場所」というのは多く、こうした撮影場所で気兼ねなく高感度を使用することができる「EOS R6 Mark II」は自由度の高いカメラと言えるだろう。「EOS R7」ではラインナップされていないバッテリーグリップも、「EOS R5 / R6」用の「バッテリーグリップ BG-R10」が使用できるのもプロフェッショナルな現場では心強い。
<実写作例>
夜の路面電車をISO8000でスナップ。高感度撮影が得意な機種は、シャッターチャンスに強いカメラとも言える。
以上、今年は2台のカメラを購入、どちらも「買ってよかった!」と感じている2台だ。この増備で現在メインで使っている機種は「EOS R5」「EOS R6 Mark II」「EOS R7」となり、「EOS R5」のみがAFシステム、そしてアクセサリーシューが従来仕様の機種となった。こうなってくると必然的に期待したいのが次の「R5」、そして「R1」の存在だ。2023年もキヤノンがあっと驚くような新機種を出してくれることに期待しながら、明るい新年を迎えたい。