CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」第3戦の結果を発表します!
24時間耐久ならではのシーンを収めた作品が上位入賞
昼間時間が長くなる6月は、日欧で24時間耐久レースが開催されました。スパ (ベルギー)、ル・マン (フランス)、ニュルブルクリンク (ドイツ)、そして日本では「富士24時間耐久レース」が開催され、富士スピードウェイで撮影された多くの作品が流し撮りGPに応募されてきました。24時間耐久ならではのシーンを収めた作品群が上位に入賞しています。
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔
GP1位「眠らない直線」川島康平

作者コメント
富士24時間レースも折り返しに近づいた深夜の午前2時。静まり返るスタンドを横目に、ひときわ鋭い光跡を残して駆け抜ける101号車をスローシャッターで捉えました。誰もいない空席に射す、黄色いヘッドライトの光が印象的でした。
GP2位「Night Festival」渋谷裕貴

作者コメント
一瞬しか火の入らない気球とマシンの共演を収めました。ある程度低速シャッターでないと手前側の金網が消えないため、流し撮りと気球に火が入る瞬間のタイミング合わせが至難の業でした。インリフトしている瞬間を収められたのが選んだポイントです。
コース上の真剣勝負と観客席のアミューズメントが織りなすドラマ的なコントラストがイイ感じです。写真画面は要素が多すぎると難しくなるものですが、その主従関係がとても良いバランスで表現されています。後続マシンのライトで浮き上がる後輪が際立ち、正確な流し撮り技術で「24時間レースが持つ独特のシーン」を的確に表しています。
GP3位「霧の中を」古田正貴 (ルーキー応募)

作者コメント
濃霧発生のためSC (セイフティーカ) 走行が長時間続いたレースでしたが、楽しみながら撮影できました。
悪天候が生み出した幻想的な瞬間を逃さず美しく写真にしています。撮影条件が悪いとカメラを構えるのがイヤになってしまうのもですが、通常とは違う、いつも通りではない景色に遭遇した際の応用力が問われます。作者・古田さんの柔軟な感性から生まれた秀作です。
GP4位「滑空」鈴木幸男

作者コメント
一般駐車場からの撮影です。上から見下ろすアングルでジャンプしていく選手を狙えるポジションを発見しました。上下左右、縦横無尽に動き回るマシンをスローシャッターで追うのは楽しいです!
激しく流れて無彩色に落ち着いた路面を背景に、くっくりと浮かび上がる白・赤・青のモトクロッサー。とても印象的な色彩演出が成功しています。レタッチしない場合の背景がどんな発色なのか? 気になりました。
GP5位「Spotlight」中谷 洋

作者コメント
公式テストの事前情報が少なく、ライダーのSNS情報をもとに急遽仕事休みを取得して鈴鹿サーキットに向かいました。撮影時刻は太陽の位置がまだ高い昼間であったため、マシンとライダーを真上から照らす光を利用してスポットライト感を出しました。低速コーナーに飛び込むマシンを1/30秒のシャッタースピードで撮影し、躍動感が出るように工夫しました。
激しく、荒々しい迫力に溢れた作品です。トップライトを強調した狙いが効果的です。レタッチによるマシン周辺部の焼き込みも効いていますが、「ストレートに見せても迫力十分!」なのではと気になりました。
GP6位「夜間の攻防」渡邉睦士 (ルーキー応募)

作者コメント
富士24時間耐久のダンロップコーナー出口です。この撮影ポイントはマシンの集団ができやすく、夜間走行らしいいろいろな光が集まる場所でした。濃霧の影響で前方視界が見にくいにもかかわらず、夜間走行でここまで詰め寄って接近できるドライバーの運転技術の凄さを改めて感じる1枚です。
これぞ「ザ・ナイト バトル!」といった作品。闘いの描写そのものが魅力的で、息をのむ迫力があります。後処理の演出効果よりも「写っているシーンそのものが持つ訴求力」が見る人を惹きつけていきます。素晴らしい「力作」です。
GP7位「野中選手、頑張れ!」拭石 学 (ルーキー応募)

作者コメント
2025年 NGKスパークプラグ 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦を撮影しました。ライツに加えて、急遽スーパーフォーミュラにも出場することになった野中選手。応援しながら撮影しました。
構図の素晴らしさが際立ちます。細長いフォーミュラーマシンをバランスの良い置き方とアングルで切り取っています。斜逆光に映し出されたドライバーの存在感、チラリと見えるステアリング操作の手元、タイヤ上のハイライトなどの細部要素が作品全体の完成度を高めています。基本的な流し撮り技術の的確さも満点レベルです。
GP8位「近接」松本康吉 (ルーキー応募)

作者コメント
コカ・コーラへの突入を表現したいとずっとチャレンジしています。今回はスタート後のバトルをアップで表現しました。
バトルする2台ともが見切れている。写真としてはきわめて乱暴なのですが「画面からはみ出すド迫力」が伝わってくる力作です。ドアップのなか、画面中央の「隙間のようにあいた空間」がさらに接近戦の緊張感を高めています。マシンの傾きやオイル汚れも、粗雑だけれど写真全体の迫力につながっています。
■流し撮りGP 2025 年間ランキング
無人の観客席。深夜でも明るいピットビルディングの灯 (ここだけはずっと明るいままで周回するマシンとドライバーを支え続けてくれている)。その眼前のストレートを坦々と駆け抜けるリーダー車両と黄色いヘッドライトの帯。24時間レースの「深夜」をすべて物語る見事な世界観演出です。画面のはるか遠方で、揺れる応援旗と後続マシン群のライトが「深夜演出」にとても効果的。素敵な作品タイトルとともに「超広角ズームよる遠近感演出」が効いています。