ベストショットを持ち寄ってオンライン講評会
コースサイド撮影の興奮も落ち着いた後日、参加者の皆さんが選んだベストショットを見ながらオンライン講評会を開催しました。参加者の作品とコメント、小林先生の講評を紹介します。

「Side by Side」 ふかしんさん

パナソニック LUMIX G9PROII LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S. Mモード (1/1000秒 F7.1) −0.7補正 ISO1000 WB : オート
1コーナーのGTRとスープラのバトルを撮影しました。左側GTRがヘッドライトを点灯していたので、よりドラマチックな絵になりました。富士の1コーナー正面は一般席から撮れないアングルなので、非常に新鮮でいちばん楽しかったです。このポジションでは、小林先生に見せていただいた作例を参考にしつつ、レースメディアに掲載されるような報道っぽい写真を目標に撮影しました。

小林稔先生の講評
バトル (2台の争い)、時間経過 (周回数表示)、コース状況 (タイヤカス)。ひとつの画面にいろいろな要素が入っています。1コーナー正面撮影ならではの写真の良さが際立っています。この場所を体験してもらえて良かったです!
「TCRクラスとの攻防」伊藤侑さん

ソニー α9 II FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS Mモード ISO1000 WB : オート
私の推し車の一台・スバル「ハイパフォX II」をメインに、1コーナーのブレーキング競争を撮りました。撮影時にいただいた小林先生からのアドバイスが「ドライバーもはっきり見えるくらいの写真を目指してみよう!」だったので、今回この写真でドライバーの山内選手をはっきり確認できるように写せた点が気に入っています。

小林稔先生の講評
指導した意図どおりの写真を狙ってくれて嬉しいです。ここまで大きく写せたからこそ、より速いシャッター速度を選べば、さらにドライバーをクリアに見せることができたと思います。このマシンサイズの構図なら、私は1/400秒をよく使います。
「疾走感」JYOEIさん

キヤノン EOS R5 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Mモード (1/50秒 F11) ISO100 WB : オート
今回参加させていただき、限られた時間内でいかに効率よく撮影するかの重要性を感じました。写真は、1/50秒の低速シャッターでフロントフェイスのみにピントをあてて、ほかを流すことで疾走感を表現。狙い通りに撮影できました。このような写真を狙う場合に成功率を高めるコツがありましたら教えてください。

小林稔先生の講評
スローシャッターの流し撮りは、プロ写真家でも確実にコントロールできるものではありません。シャープに止まって写る部分 (フロントグリル) と、ブレて流れる部分のバランス調整。よく言われるのは、ファインダーに映る画面の中で「車体の止めたい部分をさらに凝視しながら撮る」という手法です。基本はマシンの動きに合わせて忠実にレンズを振ること。この基本は高速シャッターでも低速シャッターでも常に同じです。
「凛として」園田滋さん

ニコン Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S Mモード (1/640秒 F5.6) ISO80 WB : オート
D’stationポルシェの補助ライトの前に、ぱらついてきた小雨の影が幻想的に映り「凛とした静寂」を感じました。撮影位置の低さを意識して、手前側に路面と芝生を入れて立体感を演出。13コーナーではいつも悩む背景のうるささが抑えられて、気に入っています。富士での撮影経験はそこそこ長いのですが、今回は、いつもなじみのコーナーでも、条件の良い位置から自由に撮れたのが爽快でした。小林先生の「もう少し狙いを定めてシャッタータイミングを集中すべし」とのアドバイスに、仕上がりイメージ意識して撮ることの大切さを改めて感じました。

小林稔先生の講評
すでに経験と撮影技術のあるベテランだから、進入から脱出までのコーナリング過程を撮影して選ぶのではなく、「この瞬間を撮る!」という狙いを持ち「撮るタイミングを集中する」とさらに上達すると思います。今後が楽しみですね。
「景色さえ置き去りにして」桑原豪さん

キヤノン EOS R5 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Aモード (F8 1/80秒) ISO125 WB : オート
レース撮影を始めたばかりの私にとって、今回の経験は宝物です。一脚の動かし方、カメラの設定、どうやって走る車を撮ればいいか? 小林先生から直接教えていただけたことがとても良い経験となりました。セミナー中に「上手く撮れてる?」「連写しながら追いかけ続けるのは良くない」などと何度も気にかけてくださったのも、とても嬉しかったです!

小林稔先生の講評
標準的な流し撮りとして十分な仕上がりです。この調子で撮り進んでください。次はシャッター速度の選択にメリハリをつけて、くっきり止める場合は1/500秒などの高速、大きく流す場合は1/30秒などの低速。使い分けで、写真の狙いと意図をさらに明確にするステップだと思います。撮影現場でいろいろお話しできてよかったです!
「耐久灯」ちょもさん

ソニー α7R V FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS Mモード (1/200秒 F6.3) ISO50 WB : オート
夜間走行がある富士24時間独特のエンデュランスライトの光軸が、正面ではなくカメラ側を向いているのと、雨でぬれた路面にライトの線が映っているのが美しくて選びました。今回は、プロの写真で見たことがある画角を体験しました。撮りやすい撮影環境が整っているだけに、その場所からより美しく撮ることの難しさを思い知りました。

小林稔先生の講評
生粋のレースファンですね。見せていただいた写真のすべてが「レースしているシーン」の写真でした。この作品も、クラス違いの車の連なりやコースサイドのタイヤカスなど「ダンロップコーナーならではのレースシーン」になっているのが素敵です。
「キタガワマリン 駆け抜ける」西野和昭さん

キヤノン EOS R6 Mark III RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Mモード (1/50秒 F16) ISO160 WB : オート
マシンに描かれたキャラクター「キタガワマリン」にフォーカスした写真を狙いました。この23号車のアニメコラボがレースとアニメ双方の業界から注目されており、側面キャラクターに焦点を置く撮影も「アリ」なのではと考えました。いかがでしょうか?

小林稔先生の講評
作画アイデアとして、もちろんアリの面白い試みです。西野さんの意図をさらに強く訴求する写真的工夫としては、マシン側面真横からキャラクターを狙う構図、より高速シャッターでキャラクターをブレなく描写、さらにマシンを大きくフレーミングーしてマシンとキャラを強く印象付ける、などがあります。
「富士のつづら折り」前田匡司さん

ソニー α7 V FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS Sモード (1/125秒 F6.3) −0.7補正 ISO320 WB : オート
マシンが列を成していくシーンで、富士っぽさがあると思い選びました。ボディの汚れ具合や破損修復跡、クラス違いの車種バリエーションなど、S耐っぽさが出てるかなと思いました。観客席からだと上からマシンを見下ろすような視点ばかりになるので、コースサイドからでしか見られないような低い位置から、マシンが重なり合うような構図を意識しました。ドライバーの視線もはっきりわかるので、いつもより人間味あふれるシーンが見られて面白かったです!

小林稔先生の講評
この位置からは「こういう写真」を撮ってほしかった! 現場でお知らせした意図をしっかり表現してもらえて、うれしい写真です。今回は、構図体験としてとても良い結果。次回はシャッター速度を高速にして、先頭マシンをさらにしっかり止めて描くことに注力してみてください。
「D’station」村上加奈さん

ニコン Zf NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR Mモード (1/500秒 F8) ISO250 WB : オート
雨の中を走る777号車 (私の推し) を、車体すべてが画面に収まるようにアップで撮りました。今回のイベントでは、普段は入ることができない場所からマシンの迫力をより強く感じながら撮影できました。撮ったその場で小林先生に写真を見ていただきアドバイスを受けたことで、いつもより良い写真が撮れた気がします。次の撮影が楽しみになりました!

小林稔先生の講評
とてもしっかりと撮れています。車の向き、角度、低いカメラ位置を生かした安定感など、この構図を1/500秒できっちりと撮影できていることが良い。この画面を確実に撮れるようになって、1/250、1/125、1/60と、シャッター速度を少しずつ遅くしていく。さらには、撮影場所、シーン、背景を変えてみる。その積み重ねの基礎になる写真が撮れています。次のレース撮影も楽しんでください!
「19時間目のコーナリング」服部敬済さん

ニコン Z6III NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR Mモード (1/200秒 F11) ISO100 WB : オート
縁石を入れて、コーナリングからの立ち上がりであることがわかるように撮影しました。「シャッターを遅くし過ぎずに撮るといい」のアドバイスに、1/200秒で撮影したところ、車体全体をしっかりと止めて写すことができました。

小林稔先生の講評
これ100点ですね。流し撮りの基本がすべて整っています。画面中央にマシンがフレーミングされ、フロントからリアまで車体全体がキチンと静止して、タイヤが回転して、背景の流れとボケが整う。レンズの振りがきっちりと整った場合の1/200~1/250秒はとてもバランスの良い写真になります。流し撮り基本写真は第2コーナー メディアスタンドからの1/200秒にアリ!
小林稔先生の総評
いつもと違う環境の撮影で成長を感じてもらえたことがうれしい
各撮影ポイントでコースサイド撮影を体験してもらうにあたり、私なりに「この場所では、こんな写真をこんな風に撮ってほしい」という思いがあり、そのコツを指導しました。結果として、現場で見せていただいた試行錯誤も、講評会に送られてきたセレクト作品も、私が思い描いていた方向の写真がしっかりと写っていました。
プロと同じ撮影環境で、ただただ異空間を体験して感激するだけではなく、プロが考えるその場所の特性を生かした絵づくりにトライすることで、撮影の基礎、流し撮りの基本を体験してもらえました。技術やキャリアの違いはあっても、皆さんそれぞれが私の思いと指導を素直にトライしてくれた結果、それぞれに成長を感じ取っていただけたことがうれしかったです。
そして、24時間レースの時間的余裕を生かして、みっちり3時間! 教えごたえもすごかったです (笑)。いつもとは違いすぎる撮影環境にとまどう人もいたと思いますが、参加者の皆さんも私も、共に満足度の高いイベントになったと感じています。ありがとうございました。

〈取材協力〉ENEOS スーパー耐久シリーズ 2026 Empowered by BRIDGESTONE
〈撮影協力〉富士スピードウェイ
パナソニック LUMIX G9PROII LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S. Mモード (1/1000秒 F7.1) −0.7補正 ISO1000 WB : オート
ソニー α9 II FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS Mモード ISO1000 WB : オート
キヤノン EOS R5 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Mモード (1/50秒 F11) ISO100 WB : オート
ニコン Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S Mモード (1/640秒 F5.6) ISO80 WB : オート
キヤノン EOS R5 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Aモード (F8 1/80秒) ISO125 WB : オート
ソニー α7R V FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS Mモード (1/200秒 F6.3) ISO50 WB : オート
キヤノン EOS R6 Mark III RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Mモード (1/50秒 F16) ISO160 WB : オート
ソニー α7 V FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS Sモード (1/125秒 F6.3) −0.7補正 ISO320 WB : オート
ニコン Zf NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR Mモード (1/500秒 F8) ISO250 WB : オート
ニコン Z6III NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR Mモード (1/200秒 F11) ISO100 WB : オート