特集

プロさながらのバスケ撮影に挑戦! キヤノンの若手フォトグラファー育成キャンプに密着

キヤノンマーケティングジャパンは、将来のスポーツ写真業界を担う若手フォトグラファーを対象とした育成プログラム「若手フォトグラファー育成キャンプ」を2026年8月7日〜8日の2日間にわたって開催した。その様子を写真でレポートする。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

「若手フォトグラファー育成キャンプ」は、40歳以下のフォトグラファーがプロの現場で腕を磨くための実践型プログラムだ。舞台となったのは、NBAで活躍する八村塁選手が立ち上げた次世代アスリート育成プロジェクト「BLACK SAMURAI SUMMIT 2026」。次世代のバスケットボール選手が国内大会で技術を競い合うこの環境を活用し、参加者はキヤノンの最新機材を使いながら、実際の撮影現場を体験した。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ
会場のIGアリーナ (愛知県名古屋市)

1日目

若手フォトグラファー9人がバスケットボールの特別試合を撮影

育成キャンプの講師は、講談社写真部、アフロスポーツを経て現在フリーカメラマンとして活躍する中西祐介さん。オリンピックや世界選手権、全日本選手権などの取材も多数手がけるスポーツ写真のエキスパートだ。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ
講師の中西祐介さんは、プロバスケットボールリーグ・B.LEAGUE「ファイティングイーグルス名古屋」のクラブオフィシャルフォトグラファーを務めている。

 

全国から参加した若手フォトグラファー9人は、現役の専門学校生や大学生から、すでにフリーランスで活動中の人まで幅広いバックグラウンドを持つ。撮影ジャンルもモータースポーツ、ライブ、競馬、プロレス、野球、ラクロス、バレーボールと多岐にわたる。年齢も19歳から37歳までと多彩。それぞれが異なる現場で経験を積んできた個性豊かなメンバーが集まった。

どれだけ準備できるかが撮影の質を左右する

初日のプログラムは、参加者全員による自己紹介から始まった。全国から集まった若手フォトグラファーたちが、これまで撮影してきた作品をモニターに映し出しながら、自身の得意分野や撮影スタイルを語っていく。それぞれが扱うジャンルは実に幅広く、どの写真にも確かな技術と個性が見てとれた。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

講師の中西さんは当初、スポーツ撮影の技術的な講義を予定していたそうだが、参加者から「現場でどのように仕事を獲得していくのか知りたい」という声が多く上がり、急きょ内容を変更。フリーランスとしての働き方や案件獲得のリアルに踏み込んだ、より実践的な講義へと舵を切ったという。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

「スポーツ写真の仕事は突然やってこない」講義はこの言葉から始まった。フリーランスのスポーツカメラマンにとって、仕事の多くは “紹介” によって生まれるという。その紹介を生む条件は、信頼 > 実績 > 技術の3つ。特に、信頼は時間と労力をかけて積み上げるしかなく、失うときは一瞬だと中西さんは強調する。会社所属のカメラマンは企業の信用を背負って現場に立てるが、フリーランスは自分自身が唯一の看板。だからこそ、日々の振る舞い、現場での対応、納品の丁寧さ、そのすべてが次の仕事につながる。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

「今日はキヤノンのスタッフやメディアの取材陣も多く来ている。こうした出会いも大切にしたほうがいい。いつ誰に見られているかわからないし、どこから依頼が来るかわからない」という言葉に、参加者たちは深くうなずいていた。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

話題はさらに現場のリアルへと進む。「フリーランスのスポーツカメラマンは、現場では常にアウェーです」と中西さんは語る。初めての会場、初めてのポジション、周囲の人間関係など不確定要素が多い中で、確実に自分でコントロールできるのは “準備” だけだ。そういう状況で、中西さんが大切にしているのは「準備9割、撮影1割」の姿勢だ。

試合展開や選手の動きは運に左右されるが、事前の情報収集、機材のチェック、撮影位置の想定など、準備だけは自分の努力で積み上げられる。だからこそ、現場に入る前の段階でどれだけ準備できるかが、撮影の質を大きく左右するという。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

プロ仕様の機材を貸し出し

参加者に貸し出された機材は、キヤノンが誇るフラッグシップミラーレスカメラの「EOS R1」と「EOS R5 Mark II」。さらにレンズは「RF15-35mm F2.8 L IS USM」「RF24-70mm F2.8 L IS USM」「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」を基本に、「RF100-300mm F2.8 L IS USM」「RF400mm F2.8 L IS USM」「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」などの超望遠レンズも選ぶことができるという、まさに “プロ仕様” のラインアップが用意された。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

機材の貸し出しが終わると、キヤノンプロフェッショナルサービス (CPS) のスタッフが使いこなし方をレクチャー。最新のAFトラッキング、アクション優先、登場人物優先といったスポーツ撮影に有効な機能の解説が行われ、参加者は実際にカメラを構えながら操作感を確かめていた。

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キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

2日目

プロの取材現場さながらの撮影実習

当初の予定では1日目に練習セッションの撮影が組まれていたのだが、スケジュール変更により、参加者にとって最初の撮影がいきなり本番となった。会場には多数のメディアが詰めかけるため、コートサイドに入れる人数は6人まで。そこで前半・後半でポジションを入れ替え、コートサイドに入れない3人は観客席2階から俯瞰で撮影するという、実際の取材現場さながらの体制が組まれた。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

撮影前に、中西さんから2つの課題が提示された。1つ目は「持ち込める機材はカメラとレンズ合わせて2台まで」。コートサイドでは撮影機材以外の荷物を持ち込めないため、現場の制約を踏まえたルールだ。どの焦点域を選ぶか? どの組み合わせで勝負するか? 参加者は限られた選択肢の中で戦略を練ることになった。

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2つ目は「撮影後のセレクト時間は30分。しかもPCは使わず、カメラ内でセレクトすること」。速報性が求められるスポーツ取材を想定した課題だ。プロの現場ではどれほど良い写真が撮れていても、締め切りまでに納品できなければ価値を失う。撮影技術だけでなく、スピードと判断力が問われる内容に、参加者たちは表情を引き締めていた。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

 

撮影前には緊張気味の参加者だったが、撮影が始まるとすっかり落ち着いた様子でシャッターを切る姿が印象的だった。

キヤノン若手フォトグラファー育成キャンプ

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30分でベストショットを選んで講評会へ

撮影後、30分という限られた時間で選んだ3枚をモニターに映しながら講評会が行われた。参加者たちの写真を見て、中西さんはまず「写真でしか残せない瞬間をしっかり捉えている」と評価した。選手の表情はもちろん、腕の筋肉の張りやユニフォームのしわの動きなど、動画では流れてしまう一瞬を止めている点などが高く評価された。

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中西さんの課題に従い、実習で撮影した写真をカメラの液晶モニターで確認してセレクト。

 

さらに、自分の立っているポジションで何が撮れるのかを理解して動いている点を高く評価。コートサイドと2階席、それぞれの視点で撮れるものを冷静に判断し、臨場感のある写真に仕上げている点が印象的だったという。一方で「もっと自信を持って写真の説明をしてほしい」とのアドバイスもあった。

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それぞれがセレクトした写真を映し出し、プレゼンテーションを行った。

 

講評の中で中西さんは「スポーツカメラマンが誰よりも選手に近い場所に立てる理由がわかりますか?」と問いかけた。会場は一瞬静まり返る。その後、中西さんは続けてこう説明した。

「それは、スポーツイベントの魅力を写真で伝える役割を担っているからです。観客が決して見ることのできない距離から、競技の熱量や迫力を届けるために、我々は選手に最も近い位置に立つことを許されているのです」

その距離に立つ意味を理解し、期待に応えること。それがスポーツカメラマンの責務だと語った。

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最後に中西さんは、「今日の経験を必ず次につなげてほしい」と述べた。撮影した写真を帰宅後にあらためて見直し、次回の撮影でどう改善し、どう組み立てるかを考えることが重要だという。「今日の写真は十分に良い。だからこそ、自信を持ってほしい」と励ましつつ、振り返りと積み重ねが大切だと強調した。

楽しくも厳しい講評を終えて優秀賞に選ばれたのは、川井晴稀さんと黒澤莉子さんの作品。写真でしか撮れないもの、写真だからこ見る人の目を一瞬でひきつけるようなもの。肉眼では見られない、動画でもなかなか表現できない一瞬の動きを表現しているところが高く評価された。

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川井晴稀さんの作品
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黒澤莉子さんの作品
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川井晴稀さん (右) と黒澤莉子さん (中央) には、キヤノンマーケティングジャパンの市川寛明さん (左) から「優秀賞作品の額装」の目録が贈られた。

器用さだけでは埋もれてしまう

中西さんは今回の成果について「正直、想像していた以上にレベルが高い」と評価。単に技術がある人はいくらでもいるが、ストーリー性を伴った写真を撮れる人は多くない。参加者の作品にはその要素がしっかりと備わっていたという。自身では思いつかなかった視点の写真も多く、参加者たちがセレクトした3枚には、それぞれのカラーが明確に表れていた点を高く評価した。

続けて、「長くカメラマンを続けていくうえで、器用さだけでは埋もれてしまう。自分のカラーを出せることが何より重要で、それがあれば長く生き残っていける」と述べた。技術だけではなく、写真に “自分らしさ” をどう残すかが、プロとしての継続に直結するという視点だと強調。そして最後に、今回の参加者同士が今後も互いに刺激を与え合い、支え合える仲間としてつながってほしいと締めくくった。

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参加者と講師の中西祐介さん、キヤノンのスタッフで記念撮影。

 

キャンプを終えた9人の参加者は、初日のぎこちなさが信じられないほど打ち解けていた。普段の撮影ではなかなか立つことのできないコートサイドでの撮影、自由に選べるとはいえ限られた機材で挑む本番さながらの課題。それらを同じ条件で乗り越えた経験が、自然と仲間意識を生んだのだろう。

撮影場所の緊張感や、課題に向き合う集中力、講評会での学びを共有したことで、互いの距離は一気に縮まったように見えた。技術やジャンルは違っても、同じ現場で同じ時間を過ごし、同じ壁を越えた者同士にしか生まれない空気が皆の周りにあったように思う。

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参加者にインタビュー

浅本倫花さん

参加者の中で最年少となる、専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー1年生の浅本倫花さん。小さい時から写真を撮るのが好きだったそうだが、なんと一眼デビューは今年の春。今回は規模に翻弄されながらも楽しめたとのこと。今後は写真に加えて動画など、いろいろなジャンルに幅広く取組んでいきたいと話してくれた。

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濱嶋友陽さん

専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー2年生の濱嶋さんは、普段は音楽ライブの写真を撮っているという。カメラを初めて持ったのは中学3年生のころ。カメラ好きの同級生からすすめられて、写真を始めたそうだ。今回は「EOS R1」を使ってみてフラッグシップ機のすごさに気付き、欲しくなってしまったそうだ。将来は主役だけでなく、さまざまなものに光を当てられるカメラマンになりたいとのこと。

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黒澤莉子さん

東京工芸大学3年生で、出版社でインターンもしているという黒澤莉子さん。大学で所属するゼミの先生に推薦されて、今回の参加を決めたという。初めてカメラを触ったのは中学2年生のころで、家庭教師にすすめられたのがきっかけ。普段は主にプロレスの撮影をしており、リング上の選手の動きや表情を捉えることに魅力を感じているという。将来は「選手から撮ってもらいたいと言われるようなカメラマンになりたい」と語ってくれた。

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