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インドで取得数2位!「就労ビザ」から読み解く日本とインドの親密な関係

2022/1/25

現在、インドでは就労ビザを有するアジア人が高い比率を有しています。2021年12月にインド外務省が公表した資料によると、同国で就労ビザを有する外国人の総数は2万607人。そのうちの約51%がアジア3か国で占められており、韓国(4748人)、日本(4038人)、中国(1783人)となっています。2位であるものの、日本の数字は親密な日印関係を象徴しているでしょう。

就労ビザの取得数が示す良好な日印関係

 

インドは13億人を超える世界2位の人口を誇り、生産年齢人口(15~64歳)の比率が多い人口ボーナス期に加えて、欧州や中東、アフリカ、アジア各国などとの地理的近接性や言語的優位性(英語)も持っています。しかし、これらのインドの強みは日本以外の国から見ても同様であるため、インドの中で日本独自のアドバンテージを見つけることが大切です。

 

日印両国においては、2015年に安倍晋三元首相とナレンドラ・モディ首相によって調印された「日印ヴィジョン2025特別戦略的グローバル・パートナーシップ(日印共同声明)」が、二国間の信頼関係を強力に後押ししており、インド太平洋地域における投資や安全保障、人的交流などの分野で強い影響力を持っています。

 

製造業にチャンスあり

また、2014年からモディ首相が推進しているインド製造業振興策「メイク・イン・インディア」も日本企業は考慮したほうが良いかもしれません。日本のインド進出企業においては製造業の比率が高く、外務省の海外進出日系企業拠点数調査によれば、2020年において日系企業のインド拠点総数4948の中で、製造業の割合は1731と約35%を占めており、最も比率が高い業種になっています。IT大国として知られるインドですが、日本との関係性においてはインド国内製造業の強力な振興策が、さらに深淵なパートナーシップを推進していることになるでしょう。

 

一方、インドにおける欧米諸国の就労ビザ取得数がアジア諸国より少ない要因については、インドをどのようなビジネスパートナーとして見るのかによるでしょう。筆者が外資系企業の日本支社で勤務した経験から述べると、例えば、欧米の巨大IT系企業におけるマネジメント層の就労を中心とした展開と、日本の製造業のような各部品の品質管理を行う現地担当者を要するビジネスでは、就労ビザの数が大きく変わると思われます。

 

さらに、インドでは雇用ビザを有していなくとも国内に配偶者等を有する人物に付与される永住権ビザ「OCI(Overseas Citizen of India)カード」が存在しており、欧米の就労者がこのビザを活用する傾向が高いため、就労ビザの取得数が少ないとも言われています。二国間のビザの取り扱いについては国ごとにルールや状況が異なるため、自国に付与されている詳細内容を確認する必要があります。

 

就労ビザの発行数だけで単純に比較することはできませんが、日本のプレゼンスが高まっていることは間違いありません。インドの将来的な経済成長力を見込んで、ビジネス展開を検討する日本企業は今後も増えていくでしょう。