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次なるフロンティア! 急成長するインドの「メンタルヘルス」市場

2022/5/12

近年、世界各国でメンタルヘルス(精神衛生)の重要性が認知されている中、特に注目を集めている国の1つがインドです。同国では多くの人々が心のケアを求めており、国全体でメンタルヘルスの問題に取り組んでいますが、精神科医が圧倒的に不足。この状況を打破するために、インドのスタートアップ企業がAIやロボットを活用しようとしています。

↑心の苦しみを誰に打ち明けたらいいのか?

 

2022年2月、世界経済フォーラムは、インドでメンタルヘルスの認知度が高まっているものの、人材不足の問題が深刻であると述べた記事を掲載しました。同国は2016年に、メンタルヘルスに関する国民的な議論を喚起するため「Live Love Laugh」というフォーラムを立ち上げ、啓蒙活動を行なっています。メンタルヘルスを前向きに捉える人の割合が2018年の54%から2021年には92%に増えるなど、国民の意識は大きく変化した模様。しかし、人材不足は解消されておらず、同国では10万人の患者に対して精神科医がわずか0.75人しか存在していません。

 

メンタルヘルスケアへの需要は増えています。新型コロナウイルスのパンデミックが宣言された2020年、アメリカの大手ソフトウェア企業のORACLEが、11か国で約1万2300人を対象にメンタルヘルスに関するアンケート調査を行いました。その結果、メンタルヘルスで最も苦しんでいる国はインドであることが判明。例えば、同国の従業員の89%がコロナ禍で精神の健康を損ない、さらに93%がその影響は家庭にも及んでいると述べています。

 

また、インドでは96%がリモートワークに伴うストレスを指摘していますが(比較すると日本人は71%)、それと同時に91%がメンタルヘルスの問題について職場のマネージャーではなくロボットセラピストに相談したいと回答。上司よりもロボットを好む傾向の高さは中国と同じですが、この問題におけるインドの取り組み方を考察するうえで、その事実は示唆的です。

 

すでにインドはロボットセラピストやメンタルヘルス向けのAIの開発に注力し始めています。近年、同国ではメンタルヘルス分野のスタートアップ企業に対する投資額が増加中。アメリカと比べると圧倒的に小さいものの、インドのメンタルヘルス産業は過去5年間で2000万ドル(約26億円※)の規模に拡大しており、コロナ禍における需要の爆発的な高まりから、同市場はこれから急拡大していくと見られます。

※1ドル=約130円で換算(2022年5月10日現在)

 

上述した世界経済フォーラムの記事の見出しは「Better access to treatment is the next frontier(より良い治療の提供が次なるフロンティア)」。メンタルヘルスケアを提供する日本企業も、巨大市場に成長する可能性を秘めたインド市場の動向に注目すべきかもしれません。

 

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