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日本の知見が必要だ!「有機農業」への道を模索するインド

【掲載日】2022年5月9日

2022年4月、インドのカルナータカ州政府は、化学肥料や殺虫剤を使用しない農作物の栽培に注力することを発表しました。同州政府は約4000エーカーの土地で野菜や果物の有機栽培に取り組む計画。今後の収穫結果の動向にも左右されますが、多くの地元農家が成功を期待しています。

有機農業へのシフトは言うは易く行うは難し

 

先進国と同様に、インドでも健康意識の高まりから、有機栽培による農産物を求める消費者の声が強くなっていますが、同国の農業がここまで発展するまでの道のりは平坦ではありませんでした。1960年代半ばに大飢饉がインドを襲いましたが、この危機から同国を救ったのは、1970年代にノーベル平和賞を受賞した故ノーマン・ボーローグ博士による「緑の革命」。これにより、高収量を目指すことができる品種が導入されたり、化学肥料などを活用して生産性が向上したりしました。この取り組みは飢饉を抑える原動力になった一方で、人体や生物への影響、所得格差の拡大といった問題点も浮き彫りになりました。そして、現在のインドは有機栽培による品質向上だけでなく、アグリテックの活用による農作物の大量生産を目指しているのです。

 

しかし、有機農業へのシフトを図るインドの前には、厳しい現実が待ち構えています。インド農家の多くは、成長促進や商品としての見栄えを考慮して、ホルモン剤や硫酸銅などを注入していると報じられています。また、工業施設近辺の農家では、有害金属が含まれる工業排水を農作物に与えることがあるため、汚染濃度の高い農産品も少なくありません。インド食品安全基準局は多くのガイドラインを定めていますが、まだ目標としている段階まで到達していないのが現状。

 

一方、高品質で安全な農産物を消費者が享受できるように、インドの州政府もさまざまな取り組みを行なっています。生産者が共同使用できる冷蔵室や熟成室、衛生機器、廃棄物処理施設などを提供したり、研修プログラムや能力開発支援を定期的に開催したり。しかし、州政府の戦略策定と現場への導入との間にはギャップが存在しており、有機農業へのシフトは難航しています。

 

有機栽培において日本は深い知見を持っています。例えば、農林水産省の認証制度やJICAと民間企業による連携事業など、インドの参考になる事例が数多くあるでしょう。また、環境負荷が少ない生産方法や流通網で農作物を提供することは、インドの販売企業にとっても多大なメリットが見込まれます。それだけでなく、高品質な農産物を生産してきた日本の民間企業にとっても、これは大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。

 

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