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世界の「フードテック」市場で存在感を高める、ナイジェリアのスタートアップ

2022/7/13

最新テクノロジーを活用して食品分野の新たな可能性を追求するフードテック。デリバリーから流通ネットワークの構築、食品関連事業者への融資まで、幅広いイノベーションが生み出されています。しかし、この動きが活発なのは先進国だけではありません。近年、一際大きな注目を集めているのがナイジェリアです。

フードテック系スタートアップが次々に生まれているナイジェリアのラゴス

 

ナイジェリアのフードテックを多く生み出しているのは、同国最大の都市・ラゴス。世界中のスタートアップに関するデータを提供するStartupBlink(SB)社の世界エコシステム・ランキングで、同都市は2022年に81位へ浮上し、前年から41位も順位を上げました。さらに、同社のフードテック企業エコシステムの都市別ランキングでは、米国の主要都市が上位を占める中、ラゴスが24位にランクインしています。

 

ラゴスを中心にナイジェリアのフードテックが台頭している背景には、人口増加に伴う食のニーズの高まりがあります。また、中間層が増えているため、食の多様化が進むと同時に、外食産業も成長しています。

 

SB社によれば、同都市にはフードテックのスタートアップが46社ありますが、その中には著名なベンチャーキャピタルから巨額な出資を受けて事業を急拡大している企業が数多く存在しています。例えば、2020年に創業したOrda社は、レストラン向けの注文管理や決済、商品在庫、物流システム等を管理できるプラットフォームをクラウドで提供しており、2022年1月に110万ドル(約1億5000万円※)を調達しました。

※1ドル=約136円で換算(2022年7月8日現在。以下同様)

 

ほかにも、Agricorp International社は、独自開発した「Farmbase」と呼ばれるテクノロジーを活用し、スパイスや養鶏農家を対象に詳細なプロフィールや財務フローを作成することで、農家の生産能力を高めており、2021年にはシリーズAの資金調達ステージで1750万ドル(約23億7000万円)もの巨額な資金調達に成功しました。同年には、レストランなどの食品サービス提供事業者と農家などを直接マッチングさせる仕組みを提供するVendease社も320万ドル(約4億3000万円)の資金を調達しています。

 

このように、多くの機関投資家や個人投資家、ベンチャーキャピタルが、ラゴスを中心にナイジェリアのフードテックに熱視線を送り続けています。同国の食に関する産業は今後も成長していくことが見込まれており、日本企業にとっても、その存在感はますます大きくなるでしょう。

 

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