UNDP(国連開発計画)が主導して進めている「timbuktoo(ティンブクトゥ)」というプロジェクトをご存じでしょうか。これは、さまざまな産業でICTを活用することにより、アフリカ大陸の成長と貧困からの脱却を目指す目的で2021年に発足したイノベーションイニシアチブ。
具体的には、アクラ、ナイロビ、ケープタウン、ラゴス、ダカール、キガリ、カサブランカ、カイロなど、スタートアップの拠点なりうるアフリカの都市8ヵ所に、民間主導となるハブ(施設)を設立。ベンチャービルダーやベンチャーファンドへの投資を通して、若手起業家の育成・支援を実施します。各ハブは、フィンテック、ヘルステック、グリーンテック、クリエイティブ、トレードテック、ロジスティック、スマートシティとモビリティ、ツーリズムテックなど、さまざまな分野に特化すると言います。
投資される資金は、官民あわせて今後10年間で約10億ドル(約1400億円)。1000社以上のスタートアップの育成や、1億人以上の人々の生活改善、環境改善などを目標に掲げており、投資額の10倍となる100億ドル(約1兆4000億円)以上の経済効果を目指しています。
ガーナ・アクラに設置されるハブでは「アグリテック」に注力
そしてこのたび、ガーナのラバディビーチホテルで開催されたイベントで、アグリテックに特化したイノベーションハブを首都アクラに設置することが発表されました。
「私たちは雇用を創出する必要があります。そのためには、まず起業家を育てることが重要。DXを活用してイノベーションと雇用創出を実現したい」とガーナ共和国副大統領のMahamudu Bawumia氏は期待を寄せます。
一方、UNDPガーナ常駐代表のAngela Lusigi氏もこうコメントしました。
「timbuktooは “未来志向のスマートなアフリカ”というUNDPのビジョンに沿った新しいアプローチ。民間と協力し、テクノロジーとイノベーションを活用して駆使して未来を拓くという、大胆で新しい取り組みを誇りに思います」
またtimbuktooでは、アフリカの低所得国10カ国にある大学に、学生たちのイノベーションとデザイン思考を促進するための研究施設(UniPods)の設立を予定。2022年末までに運用が開始され、さらに2023年までには18カ国にまで拡大する予定だといいます。
官民学が連携することで、ガーナをはじめアフリカのさまざまな国で、ICTによる経済成長を図ろうとしているtimbuktoo。今後、アフリカ地域全体のさらなる成長を促すことが大いに期待されています。
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