星空のきれいな景色(星景)を見ると撮影したくなるもの。カメラが好きな人にとって、一度は挑戦してみたい!被写体です。星や月、惑星など撮りたい気持ちはあるのだけれど、「難しい!」「真っ暗!」「星が映らない!」など撮影方法の悩みは尽きません。これから流星群や皆既月食、火星の接近など、天体撮影では、イベントも盛りだくさん。カメラを通してきれいに撮る方法やテクニックをご紹介いたしましょう。
高感度に設定すると露光時間を長くでき、またノイズの少ない高画質な写真に仕上がります。一方、ISO感度を上げると露光時間を短くできます。星のような夜の被写体では、高感度で撮影できることには大きなメリットがあります。
デジタルカメラになって高感度画質が日進月歩で向上し、 最近の一眼レフではISO6400やISO 12800といった超高感度を気軽に使えるようになりました。実際、満足のいく画質を得られます。高感度に設定すれば20秒前後の露光時間で適正露出が得られ、地上の風景と星空をどちらも止めて写せて、臨場感ある星景写真に仕上がります。
ただし、高感度にするとノイズが目立つだけでなく、色再現や階調再現も低感度で撮影したものに比べると劣ります。絞りを開けて、長時間露光するような場合は低感度で高品位な作品に仕上げましょう。
【 星空のISO感度 】点像はISO6400~16000、軌跡はISO200~400に
星を止めて点像にするには超高感度ISO6400前後を目安にし、流して軌跡として捉えるときは解像度や低ノイズを優先して低感度ISO200~400程度で撮影する。絞りF2.8、15秒露光で星を止めようとすると、ISO6400~ ISO16000程度の超高感度が必要となる。高感度ノイズが目立ってくる感度はカメラによって異なるため、高感度ノイズを許容できる感度の限界を事前に把握しておくことが大切だ。赤道儀で自動追尾して星を点像で撮影するときは、画質を優先して低感度ISO400前後で撮影する。
ISO10000まで上げて天の川を撮影
森の中から見上げるようにして夏の天の川を撮影した。ISO10000 まで感度を上げ、絞りF2.8、25秒露光で撮影することで、星を点像として捉えた。最新のフルサイズ一眼レフなら、ISO10000を超えても目立ったノイズは見られない。
17ミリ相当 マニュアル露出(F2.8 25秒) ISO10000 WB:オート
【 月のISO感度 】月のアップは意外と明るく、低感度でOK
月自体は思いのほか明るく、超高感度は必要ない。月齢や絞りによって異なるが、月をアップにするときはISO400以下で十分なことが多い。月明かりだけで月のある風景を狙う場合は、地上の風景や星空を優先した露出決定が求められる。月と地上の風景では明暗差が大きいため、月に露出を合わせると星空や地上の風景は真っ暗になりがちである。星や月を止めて写そうとする場合、 ISO1600~6400程度の高感度が必要となる。
ISO400で1/13秒で撮影。月はかなり明るい
焦点距離1800ミリの天体望遠鏡を使って、月をアップで捉えた。月は太陽方向(左端)と欠け際(右端)での明暗差が大きい。ISO400と感度は控えめにして、階調補正機能を「強」に設定して階調重視で撮影している。
1800ミリ マニュアル露出(F18 1/13秒) ISO400 WB:オート