都市風景として思い描く写真の多くは、ビルが建ち並ぶ光景ではないでしょうか。高層ビルやシンボリックタワー、坂道や路地といった街の情景、みなさんが学校や仕事に通う日常的な街並みも、ふとカメラを通せば、非日常の世界に変わってしまう。そんな都会ならではの被写体の撮影テクニックやコツをご紹介いたします。
一歩差がつく日中の展望写真は目の付けどころで決まる
日中の展望風景は、撮影範囲が限られているうえ、撮影時のコンディションに左右されがちです。しかし、レンズワークやフレーミング、カメラ機能を活用することで独自性を出せることがわかったと思います。また目の付けどころも大事。ここではタワーの影に注目したり、望遠レンズで街の光景を引き寄せたり、鉄道風景として捉えたりした日中の展望写真を紹介します。
【日中展望×影】
太陽高度の低い夕方の時間帯を狙って、スカイツリーの展望室からその影を撮る
朝夕の太陽高度が低い時間帯は、影が長く伸びる。影を主役にした写真は、このような時間帯が撮りやすい。これはスカイツリーの展望台に昇ったとき、眼下の街に大きなスカイツリーの影が写っていたところを撮影した。この影を強調するため、シンプルに画面の真ん中に置いている。
56ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/400秒) -0.3補正 ISO100 WB:太陽光
【日中展望×モノクロ】
この街の持つ歴史の深さを出すためにモノクロに仕上げる
ベルギー、ブルージュの鐘楼に上り、世界遺産の街並みを狙う。望遠レンズを使って運河を行くボートをポイントに切り取ることで、中世の面影を残す街と、ボートに乗る人々のにぎやかさを表現できた。また、この街の持つ歴史の深さを表すためにモノクロに仕上げ、趣きを引き出している。
150ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/500秒) -0.7補正 ISO200 WB:オート
【日中展望×構図】
春の都会のなかを走り抜けるイメージで新幹線を俯瞰撮影
王子駅からすぐの北とぴあの展望室から撮影。望遠レンズなら寄った撮影も可能だが、天気がよかったので、奥まで見渡せる都会の景色と車両を併せて、広くフレーミングした。桜のピンクが春を感じさせ、東北新幹線の赤と緑が写真にインパクトを与える。
35ミリ相当 マニュアル露出(F4.5 1/1000秒) ISO400 WB:オート
ワンランク上の日中の展望写真を撮るには、少し視点を変えること。何気なく見ている風景の中のどこに焦点を当てるかによって、独自性のある撮影が可能になります。