夏の夜を豪華に彩ってくれる花火は、日本の風物詩。きれいな花火を見るだけではなく、「デジタル一眼で撮ってみたい!」と思う被写体の一つです。今回は、花火写真家・金武 武さんに、花火をシャープに写すための撮影テクニックや、必要機材、入門者向けのQ&Aまで、いろいろ教えていただきました。季節限定のこの色鮮やかな絶景花火を、今年はきれいにカメラでとらえましょう!
花火の種類は、「和火」と「洋火」に大別できる。和火は優しい赤褐色の暗い花火で、まさに “わび・さび” のわびを表すような花火である。対して、洋火は明るく色鮮やか。最近の花火大会は洋火の打ち上げが多いので、カメラ設定などは洋火仕様にしておくのがベター。大会プログラムには玉名(花火の名前)が書かれているので、事前に読んでおくと撮影のイメージや露出の微調整がしやすい。ここでは代表的な花火をいくつか紹介する。
代表的な花火の種類
【和火】冠菊花火(錦冠菊花火)
上空で大きく広がり、地上付近まで垂れさがるタイプを冠菊(かむろぎく)という。冠菊花火には、錦冠菊と銀冠菊がある。二尺玉、三尺玉などの特に大きな花火は錦冠菊が多い。
【洋火】牡丹花火(青牡丹花火)
牡丹花火は色のついた光の粒が広がるシンプル構造で、ほとんどの花火大会で上がっている。青、紅、緑、パステルカラーなどさまざまな色があり、色鮮やかな花火写真が撮れる。
【洋火】菊花火
多くの花火大会で見られる。形は牡丹花火に似ているが、花火の中心から「引き火」とか「引き」というオレンジ色の光跡が広がる。先端に牡丹と同じ色のついた光跡が写る。
【洋火】千輪菊(彩色千輪菊花火)
上空でドンッと鳴った後に、一瞬遅れてバラバラと小さな花火がたくさん開花する。さまざまな色の花火が入っているタイプを彩色千輪菊という。青、紅、錦、銀など1色のもある。
【洋火】八方咲(聖礼花)
中心から一定の間隔を空けて雪の結晶のような姿に広がるタイプ。この写真は聖礼花(せいれいか)と名付けられた色鮮やかな八方咲花火。各地で色々な八方咲が発表されている。
【洋火】方向変化
菊花火のように同心円に真っ直ぐな引き火が広がり、先端が四方八方に飛んでいくタイプ。飛遊星(ひゆうせい)など煙火店によって変化の仕方や玉名が工夫されている。
【洋火】柳花火
球形には開花せず、シャワーのノズルから水が流れるように下方に垂れ下がる花火。従来は錦色が一般的だったが、近年では 3 ~ 5 色に変化する柳が上がるようになってきた。
一瞬をとらえなければならない花火の撮影。下見に準備、試し撮りなどを含めて本番撮影まで、3年もかかってしまう花火の撮影。だからこそ、花火の種類も知っておく必要がある。花火大会のプログラムなどで、花火の玉名をチェックして、撮影イメージやカメラの設定などの微調整をしっかり行おう!
写真・解説/金武 武