距離計運動機から一眼レフへ。そしてTTL測光から露出の自動化、各部の電子制御化と歩んできたカメラの歴史だが、キヤノン一眼レフには、そこにマウントの進化が関係してくる。RからFL、FD、ニューFDと時代の流れを追いながら、それぞれの注目機をピックアップしてみよう。
小型・軽量、シンプルな操作で扱いやすいAE機(since1979)
Aシリーズ一眼レフは、AE-1の世界的な大ヒットに始まり、マルチモードAE搭載のフラッグシップ機A-1の登場で、さらなるユーザー層の拡大に成功した。一方、海外市場では、絞り優先AE機を求める声も多く、そうしたマーケットのニーズに応えるため、急遽開発し発売となったのが、79年のAV-1である。基本的に絞り優先AE専用機であり、設定した絞り値に対応した露出をTTL開放測光で検出する。算定された露出データに対応するシャッター速度が電子制御によって無段階設定されるという仕組みだ。シンプルで使いやすく、国内でも多くのファンに愛されたモデルだ。
82年には、Aシリーズ最後のモデルAL-1が発売された。これは、 AV-1をベースにした絞り優先AE機で、AE撮影時のシャッターは1~1/1000秒の段階制御となる基本機能も踏襲している。異なるポイントは、1/15~1/1000秒の間では、定点合致式のマニュアル露出で撮影できることである。
そしてAL-1最大の特徴は、3個のCCDラインセンサーによる、フォーカスエイドによるピント合わせ方式の採用である。これは、言い換えれば、コントラストAFを手動操作するようなもの。ファインダー視野下部に表示される3つのフォーカスシグナルが、前ピンや後ピン、ジャストを表示し、視力に自信のないユーザーでも正確なピントを導ける。つまり、正確なピントが得られる電子測距式MFカメラだった。ボディ前面左手側にあるQFマークは、クイックフォーカスの略。オーソドックスなスタイルだが、機能は前衛的だったのだ。
CANON AV-1の特徴
シャッター速度優先AEを基幹機能として開発展開していたキヤノンが、海外マーケットのニーズに応え、急遽開発することになった絞り優先AE専用機だ。
絞り優先方式による全自動制御のAEを搭載
絞り優先AE専用機であるAV-1の基本操作は、ダイヤルを赤マークのAに合わせ、レンズ側で絞りを設定し、ピントを合わせてシャッターを切るだけ。後は露出データに従って、完全電子制御のシャッターが無段階で最適速度にセットされる簡単操作だ。シャッター速度優先AEを本筋とするキヤノンとしては想定外の派生モデルだが、絞り優先AE専用と割り切った機能を好むファンも多かった。
シャッターボタン外周のロックボタンは、カメラの電源スイッチを兼用しているので、撮影時以外はL(ロック)位置にしておく。使用電源は、6Vの4G-13型酸化銀電池または4LR44アルカリマンガン電池が使える。
セルフタイマーの設定と使用
まず、指針をA SELFに合わせる。後は構図やピントを決めてアイピースシャッターを閉じ、シャッターボタンを押す。LED点滅が始まり約10秒後にシャッターが切れる。
感度設定ダイヤル/露出補正スイッチ
感度設定は、銀色の小さなロック解除ボタンを押しながら、巻き戻しクランク基部のダイヤル操作で行う。ロック解除ボタン前方の黒いボタンはバッテリーチェッカー。露出補正をする場合は、ISO感度設定を変更して補正する。マントのエプロン部左手側の露出補正ボタンは+1.5補正できる逆光用だ。