機材レポート

【キヤノン歴代カメラ】キヤノンFLEX RM – デザインを一新! キヤノン初となる露出計を内蔵

距離計連動機から一眼レフへ。そしてTTL測光から露出の自動化、各部の電子制御化と歩んできたカメラの歴史だが、キヤノン一眼レフには、そこにマントの進化が関係してくる。RからFL、FD、ニューFDと時代の流れを追いながら、それぞれの注目機をピックアップしてみよう。

 

デザインを一新!  キヤノン初となる露出計を内蔵(since1962)

キヤノンフレックスに始まるR系キヤノンの最終モデルとなったのが、1962年発売のフレックスRMだ。

極端に突起部の小さなペンタ部のデザインが大きな特徴で、他のフレックスシリーズと同じボディシェルを使用しているにもかかわらず、斬新な印象を持つものだった。このデザインは、露出計を内蔵するための必然性が生んだもの。セレン光電池式で、受光パネルをボディ前面に配置するため、ショルダー部が高く、ペンタ部が沈み込んだような形の個性的なデザインとなったのである。

軍艦部左上、巻き戻しクランクの隣に表示される露出計は、シャッター速度ダイヤルと設定感度に連動する絞り値読み取り式。メーターの指針が示す絞り値を読み取り、レンズ側にセットするというものだ。基本的には、61年発売のキヤノン7に搭載された内蔵露出計と同じシステムだが、測光連動範囲の高低切り替え機能はついていない。

他のフレックスシリーズで採用されていた底部トリガー式巻き上げ方式を、レバー式に変更したことも特徴。ただ、通常のレバー式ではなく、巻き上げレバーをボディに埋め込むスタイルとなっている。同様の手法は、フォクトレンダーやアグファ、レチナなどのドイツ製品にいくつかあるが、国産では異例のスタイルである。カメラの仕上げ、デザイン共に秀逸。発売当時はもちろんのこと、現在でも異彩を放つ強い個性は新鮮で美しい。なにか引き込まれるような魅力を感じるRシステムの完成形だ。

 

FLEX RMの特徴

キヤノン初の露出計を内蔵した一眼レフ。張り出し量の極端に少ないプリズムカバーをはじめとする、強い個性を放つデザインが印象的なカメラだ。

 

ボディに露出計を内蔵することで機動性がアップ

良質な写真画像を得るためには、高級機でも露出計の内蔵は不可欠と判断したキヤノンが、61年のキヤノン 7に引き続き、一眼レフのフレックスにも露出計内蔵機RMを投入した。多くの写真愛好家にとって、この新装備は機動性に直結。さまざまな手間を省き、露出のミスを大幅に減らすことに貢献したのである。

セレン光電池式の内蔵メーターは、電池は不要。設定したシャッター速度&感度に連動して動く指針の先が示すF値を読み取って、レンズの絞りを設定する。なお、測光連動範囲はEV6~17だった。

 

独自形状のペンタ部でコンパクトに

ボディシェルは他のフレックスシリーズと共通なので、左右の幅と重さはほぼ同じ。ただ、首をすくめたような小さなペンタ部デザインにより、視覚的にはコンパクトな印象を受ける。

 

シャッター速度ダイヤル/感度設定

設定できるシャッター速度はB、X、1~1/1000秒。ダイヤルは薄型ながら大径で、意外と指掛かりが良い。感度は、シャッター速度ダイヤルを上方に引き上げながら回転させ、感度表示窓を確認しながら設定する。現在のISO感度と同じ数値であるASA感度と、ドイツ規格のDIN感度の窓が対向表示されるスタイルだった。 設定可能な感度はISO10~800である。

 

底部トリガーがなくなり、三脚穴が中央寄りに移動

それまでのRシリーズにあった底部巻き上げトリガーはオーソドックスなレバー式に変更され、三脚用のメスネジ穴は中央寄りに移動している。

 

3種類を組み合わせたスクリーン

ファインダーは固定式だったが、スクリーンは標準装備の一般的なスプリットイメージ式のほか、エシェレット格子によるスプリットイメージ式、全面特殊フレネルマット式がアクセサリーとして用意されていた。

 

巻き上げレバーの位置が上部に変更

フレックスシリーズの特徴であった、底部トリガー式巻き上げを、RMでは一般的なレバー式に変更している。ただし、ボディショルダー部が高いので、ボディ内埋め込み式という凝った作りとなっている。

 

 

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