ロウバイは冬でも温もりを感じさてくれる黄色い花が魅力です。細く伸びる枝ぶりを生かし、青空バックに撮影するのが定石です。PLフィルターを使って青空の深みを出し、黄色の鮮やかさを引き出しましょう。
曇天だと色がかすむので、光を生かしつつプラスの露出補正で鮮やかな黄色を引き出す
幾重にも重なる花びらも特徴的なので、クローズアップ撮影にも向いています。たいていの花は曇天の拡散光で質感や優しい色合いを引き出すのがアップ狙いの基本ですが、ロウバイは曇天だと色がかすんでしまいます。アップでも光を生かし、黄色が映えるように撮りましょう。
その際、露出アンダーになると黄色が濁りやすいですが、若干プラス補正をすると鮮やかな黄色を引き出せます。
基本テクニック
曇り空だとロウバイらしい華やかさが出ないので、青空バックで狙う
ロウバイの黄色い花を生かすには、青空を背景に撮影したい。太陽の光を受けて、青空に鮮やかな黄色が映えるからだ。ただ逆光だと空がかすみがちなので、順光や斜光で狙おう。さらに、青空の深みを増すためのPLフィルターも活用したい。
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曇天だと背景が白っぽくなって黄色い花が映えず、また光がないので黄色の鮮やかさも不足している(左写真)。晴れていても逆光気味だと青空が薄い色になってしまう(右写真)。光の向きも意識して撮影したい。
サイド光によって青空の色と、ロウバイの立体感を引き出す
澄み切った冬らしい青空を生かし、サイド光でロウバイの立体感を引き出した。PLフィルターを使うことで青空の深みが増し、補色に近い黄色がよく映える。花つきがよく、形のよい枝ぶりを選ぶことも大切だ。
47ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/250秒) ISO200 WB:晴天 PLフィルター
応用テクニック
雪を取り入れて季節感を盛り込む
冬に咲くロウバイらしさを生かすなら、降雪直後に撮影するのがおすすめだ。地面の雪は比較的遅くまで残るが、花や枝についた雪は日差しですぐに解けてしまう。まずは雪をまとったロウバイをクローズアップすることを優先したい。その後、雪原とロウバイの風景を広角から標準レンズで撮影するのがベターだ。そのとき、前景に雪がたっぷりとあり、ロウバイの枝ぶりも美しいポジションを選ぶことが大切だ。
雪をまとった花を、マクロレンズでクローズアップする
雪のついたロウバイをマクロレンズでクローズアップした。雪をまとうことで冬に咲く花らしさが感じられる。雪はあまり目立たないのでシンプルな画面構成で浮き立たせ、背景にはロウバイの丸ボケを入れて冬の温もりが感じられるように仕上げた。
158ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/500秒) +0.7補正 ISO200 WB:晴天
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降雪から3日たつと地面の雪も少なくなる。地面が目立たないようにフレーミングしたが、物足りない雪景色になってしまった。
雪面がきれいな降雪直後に撮影するのがベスト
ロウバイ園が雪に覆われ、青空とロウバイ、白い雪のコントラストが見事であった。青空の開放感とロウバイの広がりを生かすため、空を7割程度の画面構成で撮影。雪原が単調にならないよう、木立の影を生かしている。
18ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/400秒) +0.7補正 ISO200 WB:晴天
写真・解説/深澤 武