ソニー FE 24-70mm F2.8 GM II 実写レビュー！ 6年ぶりのリニューアルで画質も操作性も進化した

Gマスターならではの高い描写性能を誇るソニーの大口径標準ズームレンズがモデルチェンジ。さらなる画質性能と軽快なAF性能をコンパクトボディに詰め込んだ、新標準ズーム「FE 24-70mm F2.8 GM II」の実力をチェックした。

人気の大口径標準ズームが6年ぶりにリニューアル

既存の「FE 24-70mm F2.8 GM」は2016年の登場なので、約6年ぶりの変更になる。進化点は多数あるが、目を引くのは小型化だ。フルサイズ用レンズは、レンズ本体が大きいのが泣きどころ。特に人気の大口径ズームレンズは画質の妥協が許されないため、いかに小型化と高画質を両立させるかで各社しのぎを削っている。

そんななかソニーは早期から小型・軽量化に着手。Gマスターならではの画質を追求しながら、約886ｇの従来モデルに比べて新レンズは約695ｇと、約200ｇの減量を実現している。また、全長は約16mm短くなり、体積比で約18％ものスリム化を遂げている。ちなみに「FE 24-105mm F4 G OSS」が約663ｇなのでほぼ同等。F値を取るかズーム倍率を選ぶか悩ましいところだ。

風格のある建築物を画面周辺まで緻密に描く

従来レンズは絞り開放時の70mm側四隅に画質低下が見られたが、本製品では改善された。周辺光量低下は見られるが、こちらも実用上困らない程度の些細なもの。より一層、安心して使えるようになった。

0.3倍オーバーの本格的なマクロ性能を実現

花の直径は6cm程度。最大撮影倍率は新モデルが0.32倍、従来モデルが0.24倍で、いずれも望遠側。大口径標準ズームは本来、接写は得意なシーンではないが、しっかりマクロ性能も詰めてきた。新レンズはボケに輪線も見られず、質の高いボケ味である。

■FE 24-70mm F2.8 GM II

■FE 24-70mm F2.8 GM

ソニー FE 24-70mm F2.8ズーム新旧スペック比較

高性能標準ズームを3本ラインアップ

左から、従来モデル「FE 24-70mm F2.8 GM」、新レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」、「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」の順。フィルター径はF2.8モデルがともに82mm。従来モデルと新レンズを持ち比べると、見た目以上にボリューム感の違いを体感できる。なおF4モデルはレンズ内手ブレ補正機能を搭載している。

AF性能や動画性能も抜かりなし

AF性能もブラッシュアップされた。望遠レンズのように顕著な向上は体感しづらいが、子どもやペットのように予測不能なとっさの動きに対して、明らかに合焦率が上がった印象だ。XDリニアモーターを4基搭載し、フォーカス機構やレンズ制御の改善により、ズーム中のAF追従性能も従来比約2倍へ向上しているという。

また、ソニーのお家芸ともいえる動画への対応も抜かりなく、フォーカスブリージングの低減や絞りリングの新設など、スチル派、ムービー派ともに満足のいく仕上がり。従来モデルで特に不満を感じていなかったユーザーでも、かゆいところに手の届いた改良にきっとうなずくはずだ。

ピント位置の解像感と前後のボケが印象的

葉脈までリアルに描き出し、高級レンズらしい安定した写りを見せる。AFの挙動は以前にも増して静かでスピーディー。合焦時の収まりも穏やかだ。なお手前のボケは約60cm、背景ボケは約2ｍ後ろにある。

小型ボディに豊富な操作系を装備

絞りリング、絞りリングクリック切り替えスイッチ、アイリスロックスイッチ、ズーム操作感切り替えスイッチを新設。さらに2つのフォーカスホールドボタン、AF/MF切り替えスイッチもあり、操作系が充実している。

特殊硝材を贅沢に使い高画質を追求

15群20枚のレンズ構成。この図からも特殊ガラスを多数使用しているのがわかる。絞り羽根は従来の9枚から11枚へと変更され、レンズの面精度向上などと合わせて、ボケ再現にも注力している。