機材レポート

F4通しで世界最軽量の広角ズームレンズを実写チェック! ソニー FE PZ 16-35mm F4 G

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2022年8月号 Other Shots

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年8月号
ソニー α7R IV + FE 24-70mm F2.8 GM II (左)、FE PZ 16-35mm F4 G (右)

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』本誌人気連載の「レンズパラダイス」。2022年8月号の「レンズパラダイス」Other Shotsは、フルサイズに対応するF4通しの広角ズームとして世界最軽量の「FE PZ 16-35mm F4 G」と、ソニーのフルサイズミラーレス用F2.8大口径標準ズームの2代目となる「FE 24-70mm F2.8 GM II」の描写性能をチェックしてみた。

前編では「FE PZ 16-35mm F4 G」の描写を実写作例で見ていこう。

目次

  1. FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
  2. FE 24-70mm F2.8 GM II 実写チェック

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック

スペック
[マウント] ソニーEマウント [最大径×長さ] φ80.5×88.1mm [重さ] 353g [レンズ構成] 12群13枚 [最短撮影距離] 0.28m (ワイド端)、0.24m (テレ端) [最大撮影倍率] 0.23倍 [絞り羽根枚数] 7枚 [フィルター径] φ72mm

参考価格 165,000円 (税込)

近接撮影でキンシバイの雄しべをシャープに再現

公園に咲いていたキンシバイの花にググッと近寄って、ワイド端絞り開放で撮影。16mmの超広角だが、近接撮影では想像以上に被写界深度は浅く、突き出ている雌しべはボケボケだが、雄しべはシャープに再現されている。超広角ズームとしては柔らかな後ボケだ。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F4 1/250秒 ISO800 WB : 太陽光 16mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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テレ端開放でも周辺まで崩れがなくシャープな解像

横浜港シンボルタワーをテレ端開放で撮影。同じF4通しで同じ焦点域の「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」は、ワイド側は絞り開放から安定した周辺解像が得られるが、テレ端では少しにじみが出て周辺解像も緩くなる。一方で「FE PZ 16-35mm F4 G」は、テレ端開放でも周辺までキリッとシャープな解像が得られるのが特徴だ。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F4 1/2000秒 +0.7補正 ISO100 WB : オート 35mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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テレ端は標準ズームのワイド端よりも好描写

東京・田無神社の七夕てるてるトンネル。ピンク色のてるてる坊主にピントを合わせて絞り開放で撮影しているが、ピント面の際立つシャープネスと滑らかで美しいボケが見事に両立している。標準ズームのワイド側よりも好描写だ。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F4 1/1000秒 -0.3補正 ISO400 WB : 太陽光 26.5mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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F11まで絞ると周辺までビシッとシャープに描写

田無神社の境内をパンフォーカスで撮影。特に近景はないシーンなのでF11まで絞れば、手前の絵馬から奥の拝殿まで、ピクセル等倍で周辺までチェックしてもビシッとシャープに再現されている。6100万画素の「α7R IV」でも緩さはまったく感じない。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F11 1/180秒 -1補正 ISO320 WB : 太陽光 22mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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微ボケが必要以上にザワつかないのも○

八木崎公園の河口湖ミューズ館のお庭から富士山を入れてパチリ。富士山に電柱や電線が被っているので、あえてパンフォーカスにはせず、ピントを手前のバラに合わせ、遠景は成り行きでぼかしている。奥の樹木なども自然に解像が低下していて、微ボケが必要以上にざわつかないのも○。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F8 1/320秒 -0.7補正 ISO100 WB : 太陽光 16mm域 C-PLフィルター使用
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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ゴーストやフレアの発生も少なめ

山中湖平野の夕景。周辺減光が目立ちやすいシーンだが、周辺光量補正 [する] で撮影すれば、F5でこの程度。四隅がけられるような急激な光量低下は見られない。日没前に夕陽を画面内に入れて撮影してみたが、逆光でもゴーストやフレアの発生は少なめだった。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F5 1/40秒 -0.7補正 ISO320 WB : オート 16mm域 クリエイティブスタイル [夕景] + DRO [Lv4]
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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シャドー部の黒浮きもなくクリアな描写

お台場海浜公園で夕景。太陽は薄雲越しで減光されているとはいえ、目で直接見るとまだ眩しい明るさで、DRO [Lv3] で撮影しても太陽と海面の反射はわずかに白トビ気味だ。逆光でもゴーストやフレアは少なく、手前の岩などシャドーの黒浮きもなく、ヌケのいい描写だ。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F8 1/50秒 -0.7補正 ISO100 WB : オート 16mm域 クリエイティブスタイル [夕景] + DRO [Lv3]
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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湖面の輝きなどに色にじみは感じない

八木崎公園のアジサイを半逆光で撮影。輝度差が大きいシーンなので、DLO [Lv3] に設定してシャドーの階調を持ち上げ気味にしている。輝度差の大きな湖面の輝きや木の枝の境界部分を見ても目立つような色にじみはなく、ピクセル等倍鑑賞でも中央だけでなく周辺まで安定した解像だ。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F13 1/250秒 -0.7補正 ISO400 WB : 太陽光 16.5mm域  DLO [Lv3]
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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遠景の木漏れ日のボケがドーナツ状で気になる

神奈川・相模原北公園のアナベル。数年前に病気で全部刈り取られてしまったが、見事に復活を遂げた。パンフォーカスで撮影するには、近景と遠景の差がありすぎるので、光条が出る程度に絞って撮影。周辺の微ボケ領域の乱れも少なく周辺画質も安定している。ただし遠景の木漏れ日のボケがドーナツ状になっている点が気になる。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F8 1/80秒 ISO200 WB : 太陽光 16mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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開放F4の超広角ズームでは軽量で周辺まで安定した画質

横浜港シンボルタワーにて。デジタルによる歪曲収差補正を前提としたレンズで、カメラの歪曲補正はオフにできないが、周辺画質の低下はほぼ気にならず、開放F4の超広角ズームとしては驚くほど軽量なのが魅力。ただ、ワイド端で撮影したつもりでも、パワーズームで最後までズームできていないこともあるので、この点は注意が必要かも。

ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
ソニー α7R IV FE PZ 16-35mm F4 G 絞り優先オート F8 1/200秒 +1補正 ISO100 WB : オート 16.5mm域
ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 実写チェック
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※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

後編では「FE 24-70mm F2.8 GM II」の描写力をチェックします。