伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年10月号 アザーショット【前編】
小型軽量ボディに高性能な機能が詰まった富士フイルム「X-S20」。その表現を大きく広げられるレンズとして、軽量コンパクトな超広角単焦点「XF8mmF3.5 R WR」と、標準パワーズーム「XF18-120mmF4 LM PZ WR」をピックアップ。静止画撮影でどんな特徴や使い勝手、描写性能が得られるのかをチェックしてみた。前編では「XF8mmF3.5 R WR」を検証する。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2023年10月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- XF8mmF3.5 R WR 実写チェック
- XF18-120mmF4 LM PZ WR 実写チェック
フジノンレンズ XF8mmF3.5 R WR
[マウント] 富士フイルムXマウント [最大径×長さ] 約φ68×52.8mm [重さ] 約215g [レンズ構成] 9群12枚 [最短撮影距離] 0.18m [最大撮影倍率] 0.07倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ62mm
参考価格 116,580円 (税込)
周辺部まで乱れがなく、パープルフリンジもごくわずか
換算12mm相当という圧倒的な超広角にもかかわらず、周辺部まで乱れのない整った描写。窓枠など輝度差の大きな部分でごくわずかにパープルフリンジが浮いているが、超広角レンズとしてはかなり少なめ。こんな小さなレンズでこれだけの描写力とは、正直驚かされた。
最短撮影距離付近でもクッキリとした描写性能
長野県佐久穂町の白駒の池にて。苔の上に小さなキノコが生えていたので、手を伸ばして最短撮影距離付近で撮影。中央のキノコだけでなく、ほぼ等距離にある右側のキノコもにじみや乱れがなく、クッキリ写っている。最短撮影距離は18cmだが、12mm相当の超広角なので、最大撮影倍率は0.07倍と低めだ。
ピント面はとてもシャープで、微ボケも自然
超広角レンズは被写体が小さく写ってしまうので、できるだけ主要被写体に近づいて撮影するのがポイント。順光で被写体に近づくと撮影者の影が写り込んでしまうので、背景の余計なものを避けつつローアングルで撮影した。ピントを合わせた中央のヒマワリはカリカリにシャープで、左右のヒマワリの微ボケも自然だ。
光条はまあまあシャープに伸びる
白駒の池の倒木と苔。木立の隙間から夕陽が差し込んできたので、グッと絞って光条を伸ばしてみた。遠方重視でピントを合わせたので、前ボケ気味となる周辺部はやや解像が緩いが、それ以外は後処理でシャープネスをかけたように、細かな苔のテクスチャーが際立っている。光条はまあまあシャープな部類だ。
強い逆光でもゴーストなどは気にならない
学生時代によくモチーフにした新宿住友ビルの吹き抜けを真下から見上げて撮影。当時は24mmが超広角の時代だったので採光窓の内側しか切り取れなかったが、今どきの12mm相当の超広角なら窓の外側の照明まで写すことができる。強い逆光だが、ゴーストやフレア、パープルフリンジは気にならない。
後編では「XF18-120mmF4 LM PZ WR」の描写力をチェックします。
本記事で紹介していない実写作例と詳しい解説は『CAPA』2023年10月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。