
CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2026」第5戦の結果を発表します。
特色あるレースで新鮮さを狙うか、おなじみのレースを丁寧に表現するか
今月は、鈴鹿8時間耐久ロード、フォーミュラEといったキャラクター性の強いレースイベントの作品が多く届きました。皆さんの作品から、イベントの特徴と新鮮さを見る楽しさは格別です。他方、スタンダードな走りとマシンの作品で「素直に丁寧に表現する大切さ」も見えてきます。強いインパクトの驚きは少なくても、しっかりと語りかけてくる、いつもの姿だけれども作者の気持ちが伝わってくる作品。撮り手の地力が問わるのは、そんな作品なのかもしれません。
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔 (日本レース写真家協会 [JRPA] 会長)
GP1位「残光」菊地晃輔 (ルーキー応募)

作者コメント
日本初のナイトレース。豪雨によって路面に反射した光と、コース上に描かれた駐車場の白枠線を取り入れてスローシャッターで撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
Tokyo E-Prixを幻想的に表した作品として、強い「未来感」があります。正確な流し撮りでフォーミュラEはしっかりと描写され、画面全体はモータースポーツシーンであることを明示しています。マシンは異次元空間の闇から抜け出してきたかのように、白いオブジェ群の中を突き進む。そんな未来空間で行われている「レースファンタジー映画」のような印象を持ちました。見る側の想像力を湧き上がらせてくれる楽しさ。ひと目見た瞬間に「コレ、上位入賞に来る!」と感じさせる夢とパワーがありました。

GP2位「赤壁の戦い」川島康平

作者コメント
初のナイトレースが開催されたフォーミュラE東京大会。リアライトに照らされ、赤く染まる壁面が印象的だったので、その光が大きく長く広がる構図と、ひときわ強く輝く瞬間を狙って撮った1枚です。
小林 稔 審査委員長の講評
斬新です! 赤く輝くコンクリートウォールの壁面、LEDの赤ライン、迫り来る檻のようなフェンス群。闇夜の中、狭いコース内で接触ギリギリのバトルが続く! 背景をすべてフェンスで揃えた、低い位置からの撮影が大成功です。1位がファンタジーとすれば、こちらは宇宙SF映画を彷彿とさせる未来的イメージ! 1位と2位は接戦で、甲乙つけがたい僅差です。
GP3位「光跡」鈴木幸男

作者コメント
ヘアピン最上段より立体交差下を狙いました。画面左側の照明は、走行ラインではない位置を照らす光の帯になっていました。そこに1台、マシンが入るタイミングで狙いました。右上SSTクラスのイエローバルブがいいアクセント色になりました。
小林 稔 審査委員長の講評
静けさのある表現として説得力を感じます。スピード感や迫力だけではなく、光と闇を組み合わせたレースの物語が伝わってきます。夜・雨・照明・路面など、その場の要素をフル活用した画作りの上手さを感じます。
GP4位「一瞬も無駄にできない」鹿島香織 (ルーキー応募)

作者コメント
SUGOは日本のサーキットのなかで、ピット作業をいちばん近い位置から撮れるサーキットだと思い、狙いを決めました。停車までの時間を無駄にしないよう、メカニックの間に飛び込んでくるマシンを収めました。
小林 稔 審査委員長の講評
素晴らしい臨場感が伝わってきます。しっかりとマシンを追いきった低速シャッターの流し撮りが成功しています。待ち構えるピットクルーの流れ具合もギリギリOK。SUPER FORMULAのタイヤ交換って、ホントにこんなイメージなんですよね!
GP5位「光を裂く鼓動」矢嶋海斗 (ルーキー応募)

作者コメント
決勝レース中、ダンロップコーナーへ向けてブレーキングする一瞬を捉えました。減速の緊張が極まる瞬間を、彗星流しの軌跡で描き出し、ドライバーとマシンが放つ集中と速度の密度を表現しました。
小林 稔 審査委員長の講評
静止画の構図内に時間経過を封じ込める。上に下に、ねじれて曲がる螺旋のようなオレンジの軌跡。流し撮り写真だけが実現できる「低速シャッターの魔術」が際立っています。
GP6位「Handling」佐々木颯大

作者コメント
初のナイトレースとなったフォーミュラE東京。ナイトセッションなので撮影はなかなか難しいところもありましたが、思い描いたようにドアップまで寄りきって撮影できました。
小林 稔 審査委員長の講評
撮影距離がとても近い都市型特設コースの特性を生かした超ドアップが気持ちイイです。左側2輪だけに割り切ったフレーミングも成功しています。最新のカメラ性能、レンズ性能をフルに使い切った快作です。
GP7位「PP」細野 勉

作者コメント
Q2アタックラップが始まると太陽が顔を覗かせ、プレリュードGTで初ポールポジションを獲得した8号車の太田選手を祝福しているようでした。
小林 稔 審査委員長の講評
走りの美しさを素直に引き出すベテランの写真力を感じます。安定した流し撮り技術で、見せたいこと、必要なことがしっかり伝わってきます。スタンダード作品をしっかりと仕上げる実力。驚きは少ないですが、強さと上手さを感じます。
GP8位「掴み取った勝利」細谷彰悟 (ルーキー応募)

作者コメント
13番グリッドからスタートし、12台抜きの大逆転優勝を飾った太田格之進選手のウイニングランです。優勝インタビューでの「最高です! 今まででいちばん嬉しい優勝になりました!」という言葉どおり、力強く拳を握りしめてガッツポーズする姿に胸が熱くなりました。
小林 稔 審査委員長の講評
勝利の喜びを撮り手に訴えかけてくるような強さ。それを受け止めて祝福している喜び。ウイニングランの記録写真を超えた「2人のコラボ」を感じる1枚に仕上がっているところが、イイ感じです。