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フルサイズミラーレス「LUMIX S」の詳細なスペックが明らかに!パナソニックが海外正式発表

パナソニックは、2019年2月1日にスペイン・バルセロナで、フルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S1」「LUMIX S1R」と3本のレンズを海外正式発表した。

 

LUMIX S1R / LUMIX S1
 

パナソニックのグローバルサイトでは、7人のフォトグラファーのレビューも紹介されているが、日本での発売に関する発表はまだない。

LUMIX Sシリーズ海外スペシャルサイト
 

米パナソニック直販サイトの価格は、「LUMIX S1R」ボディが3699.99ドル、24-105mmF4レンズ付きの「LUMIX S1R Kit」が4599.99ドル、「LUMIX S1」ボディが2499.99ドル、24-105mmF4レンズ付きの「LUMIX S1 Kit」が3399.99ドルとなっている。米国での発売は2019年3月末予定。

LUMIX S1R

 LUMIX S1
 

「LUMIX S1R / S1」は、フォトキナ2018で開発発表されたフルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラ。ライカ、シグマとの戦略的協業「Lマウントアライアンス」を受け、Lマウントを採用する。レンズ、センサーと新しいヴィーナスエンジンの高度な制御技術に基づき、高速、高精度のAFシステムを搭載する。ユーザーは確実にターゲットを鋭い焦点で捉えることができるとしている。

 

LUMIX S1R

CES2019(米ラスベガス 2019年1月8〜11日)で展示された「LUMIX S1R」。
 

 

グローバルサイトで公開されたプレスリリースは文章だけで8ページにおよび、パナソニックの力の入れようがうかがえる。内容を紹介しよう。

 

■今までにない高画質、高い描写性能を誇るS1Rと高画質、高感度性能のS1
「LUMIX S1R」はローパスフィルターレスの47.3メガピクセル フルサイズCMOSセンサー(36mm×24mm)を搭載する。このセンサーは、集光性を高めるためにオンチップマイクロレンズに非球面レンズを採用して、高分解能と効率性の高い集光を両立。これにより、業界最高レベルの解像度を実現し、高いS/N比と最大ISO 25600高感度撮影を可能にする。撮影で得られたデジタル信号は、高速・高性能な新しい画像処理プロセッサ ヴィーナスエンジンによって処理され、写真とビデオの両方で高画質を実現する。

「LUMIX S1」は、24.2メガピクセルのフルサイズCMOSセンサーを搭載。広いダイナミックレンジと優れた性能を高感度でも実現する。最大ISO 51200の高感度で撮影した場合でも、ノイズは最小限に抑えられ、特に暗所での撮影に理想的なカメラとなっている。フルサイズだからこそできる高いパフォーマンスによって、プロフェッショナルのビデオ撮影をサポート。なめらかな4K 60p/50pで映像を記録し、4K 30p/25pで全画素読み出しが可能となっている。さらに「LUMIX S1」は、2019年の早い段階で4:2:2の10-bit 4K 30p/25pの内部ビデオ録画と4K 60p/50pのHDMI出力、およびソフトウェアアップグレードキー付きのV-Logに対応予定であることも発表された(ただしPAL エリアのみ)。

※記事初出時に「LUMIX S1」が187メガピクセルのフルサイズCMOSセンサーを搭載となっておりましたが、24.2メガピクセルです。申し訳ございません。

 

■「Dual I.S.」で最大6段の手ブレ補正
「LUMIX S1R / S1」に採用されている新しいセンサーには、ARコーティングが施されており、ゴーストとフレアは最小限に抑えられている。また、ジャイロセンサーからだけでなく、イメージセンサーと加速度センサーからも振動情報を取得し、高精度のアルゴリズムを開発。「LUMIX S1R / S1」に搭載されているボディI.Sに統合することで、正確なブレ検出と補正を行い、5.5段の強力な手ブレ補正を可能にしている。

ボディI.S(5軸)とLUMIX Sシリーズレンズに搭載される光学式手ブレ補正O.I.S.(2軸)の組み合わせは、従来は制御できなかった大きなブレを補正する。両方の効果を最大限に活用することで6段の補正を実現し、望遠撮影や悪条件での撮影で威力を発揮する。暗所や片手での撮影などで効果的だ。

 

■高解像度モード
「LUMIX S1R / S1」は、高解像度センサーとボディI.S、新しいヴィーナスエンジンを利用した高解像度モードを搭載する。ボディI.Sを使ってセンサーを移動させ、8つの連続した画像を自動的に撮影、「LUMIX S1R」では187メガピクセル相当(16,736×11,168ピクセル)、「LUMIX S1」では96メガピクセル相当(12,000×8,000ピクセル)の画像を合成する。このモードは、繊細なディテールで自然の風景や美術を撮るのに適していて、三脚を使った静止した被写体の風景写真に適しているが、サブモードを切り替えることで、動いている被写体がシーンに含まれるような状況でも使用することができる。

 

■HLGフォトモード
HLG(Hybrid Log Gamma)フォトモードは、パナソニックが提案するまったく新しいスタイルの写真表現。より自然なコントラストで光と影を再現するために、さらに広いダイナミックレンジでの撮影を可能にする。HLGフォトモードは、JPEG/RAWファイルだけでなく、8K解像度の圧縮データ(S1Rでは7,680×4,320、S1では5,888×3,312 / いずれも16:9)のHSPファイルとしても作成することができる。高精度シャッターユニットは、最高1/8000秒のシャッタースピードを実現。また外付けフラッシュの同調速度は、業界最速の最大1/320秒となっている。

 

■高速・高精度AFシステム
コントラストAFとDFD技術を組み合わせた「LUMIX S1R / S1」では、約0.08秒の超高速・高精度AFを実現する。各デバイスが先進の制御技術によって制御され、レンズとセンサーは最大480fpsで通信を行うことで、ハイスピードAFを可能にしている。

「LUMIX S1R / S1」の高速連写機能は9fps(AFS)、6fps(AFC)となっており、高い被写体追跡性能を誇る。
さらに6K PHOTOでは、6K連写ファイルから4:3または3:2のアスペクト比でベストショットを抽出することにより、30fpsで約18メガピクセル相当の高解像度写真として保存できる。4K PHOTOでは約8メガピクセル相当で60fpsの高速連写を可能にする。6K PHOTO / 4K PHOTOでは、状況に応じて6K連写/4K連写、6K連写(開始/停止)/ 4K連写(開始/停止)および6Kプリ連写/4Kプリ連写の3つモードを選択することができる。

「LUMIX S1R / S1」では高感度とチューニングの最適化により、低照度下のLow Light AFによる輝度検出性能は−6EV(ISO 100、F1.4、AFS)となっている。目の瞳孔を検出し、それに正確に焦点を合わせて印象的なポートレート撮影を行うことができるEye AFを搭載するほか、特定の被写体を検出するAdvanced AIテクノロジーを組み込んでおり、犬、猫、鳥などの動きの速い動物を追跡し続けることができる機能を備えている。

 

■直感的な操作性
「LUMIX S1R / S1」は、世界最高の5,760kドット解像度を誇る最高レベルのリアルビューファインダーを搭載する。最小限の歪みと高い光学性能を備えたLVFは、高速・高精度OLED(有機発光ダイオード)を採用し、60fps / 120fps(切替可能)の滑らかな表示と最短時間での高速応答を実現。撮影状況に応じて、0.78倍の倍率を0.7倍または0.74倍に切り替えることが可能となっている。

背面の液晶モニターは2,100Kドットの高解像度でアスペクト比は3:2、タッチコントロールシステムを採用し、3軸チルトとなっている。液晶モニターには、真っ暗な中でも構図を確認することのできるライブビューブースト機能、暗い場所で長時間モニタを見た直後でも違和感なく被写体を見ることができる穏やかなバックライトを提供するナイトモードなどを採用している。

ボディ上部にはクラス最大のステータスLCDを搭載し、ユーザーが設定を一目で確認できるようになっている。グリップはカメラを身体の一部のように扱えるよう握りやすく、長期間持ちやすくなっており、コントロールボタンとダイヤルは、ユーザーが撮影に集中できるように人間工学に基づいて配置されている。ボタンは暗闇で光るイルミネーションを採用しており、ボディ背面には8方向ジョイスティックを搭載している。

 

■頑丈なデザイン、信頼性と拡張性
「LUMIX S1R / S1」の主要な部分は高剛性のマグネシウム合金ボディで構成されている。ダイヤルやボタン部分にはシーリングが施されており、防塵・防滴・−10℃の耐低温を実現。シャッターユニットは約400,000回の耐久性を備える。

メモリーカードスロットは、SD(UHS-II)対応のダブルメモリーカードスロットを装備。XQDメモリーカードの選択も可能で、将来的にはCFexpressとの互換も可能になる。バッテリーは7.4V 3,050mAhの大容量バッテリーとなっており、USB3.1 Type-Cケーブルを介してUSB PD(USB Power Delivery)が可能となっている。また、高速データ転送も実現する。

リモートシャッターDMWRS2、アイカップDMW-EC6、バッテリーグリップDMW-BGS1、バッテリーチャージャーDMW-BTC14など、「LUMIX S1R / S1」用の新しいアクセサリーが用意されている。バッテリー充電器はUSB PDにも準拠し、約2時間の急速充電が可能。アダプターを介して充電しながらカメラを使用することもできる。

 

■その他の特徴

・フルサイズカメラでの優れた録画性能。
4K 60p / 50pの動画記録が可能で、HDR(ハイダイナミックレンジ)動画、フォトスタイルでHLG(Hybrid Log Gamma)撮影の選択も可能。

・フォトスタイルに新たにFlatモードを搭載
低コントラストと低彩度のJPEG画像を記録するFlatモードを搭載した。フラットな描写により、多目的な利用が可能で、後処理作業を短縮できるといったメリットがある。

・65:24と2:1の可変アスペクト比を新採用
標準の3:2、4:3、16:9、1:1のアスペクトに加えて、65:24(フィルムパノラマ)と2:1(6×12cm)のアスペクトが写真撮影時に選択可能となっている。

・I.S. Status Scope(I.S.ステータス スコープ)
ユーザーは意識的にカメラの振動状態を示すポインタを確認することで振動の原因を取り除くことができる。長時間露光時にファインダーや液晶モニターが真っ暗になっている状態でも使用可能となっている。

・フリッカー低減
蛍光灯のちらつきを抑える機能を搭載。蛍光灯のちらつきをカメラが検出すると、それを表示し、一連の写真にわたる露光または色の不連続性を抑制する(6K PHOTO、4K PHOTO、Post Focus時の使用はできない)。

・ハイライト重視調光モード
ハイライト部分が白トビしないように、ハイライト部分を重視して調光する測光モードを搭載する。

・新オートホワイトバランスモードAWBw
AWB(標準)とAWBc(青みがかった色合い)に加えて、赤みがかった色合いを保持するAWBwを新たに搭載。AWBwは、蛍光灯の下でも健康的でバラ色の肌色を再現する。

・Bluetooth 4.2互換
Bluetooth 4.2(BLE:Bluetooth Low Energyと呼ばれる)との互換性により、最小限の消費電力でスマートフォン/タブレットと常時接続が可能。複数の「LUMIX S1R / S1」を使用する場合は、設定をほかのカメラにワイヤレスでコピーして送信することもできる。

・Lumix Tether(ルミックス テザー)
ソフトウェアを利用することで、カメラをPCに接続し、USB経由でテザー撮影を可能にする。6K PHOTO、4K PHOTOの使用が可能で、テザー撮影による動画撮影もできる。

・Lumix Sync(ルミックス シンク)
Lumix SyncはiOS / Androidデバイス用の新しいアプリケーション。ワイヤレス接続により、手軽にカメラの遠隔操作を可能にする。
 

 
〈文〉柴田 誠