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クラウドファンディングで即日完売したキヤノンの望遠鏡型カメラ「PowerShot ZOOM」を触ってきた

キヤノンマーケティングジャパンは、のぞきながら撮影ができる動画&写真機能を一体化した望遠鏡型カメラ「PowerShot ZOOM」の先行販売を、クラウドファンディングサイト Makuakeにて1000台限定で2020年9月10日に開始した。期間は10月7日までの予定だったが、プロジェクト開始当日に早くも予定数を終了。一般販売が、いつ頃どのように行われるのか気になってしまう。品川・銀座・大阪の各キヤノンショールームで、「PowerShot ZOOM」の参考展示が行われているということだったので、さっそく品川のショールームで「PowerShot ZOOM」を体験してみた。

<2020.10.18 > 一般発売が決定。

PowerShot ZOOM

 

■約13時間で完売したCANON × Makuakeシリーズの第二弾

「PowerShot ZOOM」は、カラビナタイプの新コンセプトカメラ「iNSPiC REC (インスピック レック)」に続く、CANON × Makuakeコラボシリーズの第二弾になる商品。第一弾の「iNSPiC REC」は、目標台数の1000台を約13時間で完売して「Makuake Of The Year 2020」を受賞しただけに、担当者は売れ行きが心配とのことだったが、杞憂に終わったようだ。

iNSPiC REC
▲こちらは「iNSPiC REC」

■観る×撮る

「PowerShot ZOOM」は、観る×撮る (静止画・動画) が一体化した新コンセプトカメラ。約1210万画素の1/3型CMOSセンサーと画像処理エンジン DIGIC 8を搭載する。映像表示時間はフル充電で約70分、撮影可能枚数は約150枚、動画撮影時間は約60分 (1回の撮影は9分59秒) となっている。

PowerShot ZOOM
▲スポーツ観戦での使用例

 

操作部は、ファインダーの上下に別れて配置されており、上部にメインスイッチ、メニューボタン、ズームボタン。ファインダーのすぐ下には、視度補正ダイヤルが設けられており、その下左にPHOTO (写真) ボタン、右に録画ボタンが並んでいる。

PowerShot ZOOM

PowerShot ZOOM

 

ファインダーは0.39型、約236万ドットの電子ビューファインダー (EVF) を搭載する。慣れるまでは、メガネをファインダーに押し付けるようにしないといけなかったが、覗き方はすぐに慣れる。EVFは、明るさなどによってややザラつきを感じることもあるが、動きにはスムーズに対応できており、覗いていて酔うようなことはなかった。

PowerShot ZOOM
▲ファインダー表示イメージ

■超望遠×小型軽量

W33.4×H50.8×D103.2mmと手のひらにのるコンパクトなサイズで、重さは約145g (メモリーカードを含む)。1201万画素のデジタルカメラとしては、かなり小さなサイズだ。角が丸みをおびた握りやすいフォルムとなっており、滑らかな手触りだが手から滑り落ちるような不安感は感じられない。最近のスマートフォンよりもやや軽く、持ちやすい形状ということもあって、大きさや重さはあまり気にならないという印象だ。

PowerShot ZOOM

ストラップを装着できるので、好みでハンドストラップやネックストラップを付けて使用すると安心だろう。本体のカラーは、スポーツ観戦でのチームカラーやコーポレートカラーに影響しないホワイトが採用されている。

■瞬間ステップズーム

焦点距離100mm / 400mm / 800mmの3段切り替えを採用しており、ズームボタンで素早く画面が切り替わる。800mmだけデジタルズームになっているので、ファインダーの画面も細部が確認しづらい印象になることもあった。

PowerShot ZOOM
▲ズーミングのイメージ

 

ズーミングは、ファインダー上部のズームボタンで切り替えることができる。ズームボタンはほかのボタンよりも大きな形状になっているので、押し間違えることはない。ただ、もっともよく使うPHOTOボタンとズームボタンがファインダーの上下に分かれている。覗きながら操作していると、上か下にまとまっていた方が、操作性がもっと良くなるように感じた。

PowerShot ZOOM

■簡単・快適操作

「PowerShot ZOOM」には、専用にチューニングされた手ブレ補正機構ISが搭載されており、被写体移動やズーム切り替え時にもスムーズなAF追従が可能となっている。PHOTOボタンでピント合わせと写真撮影ができ、PHOTOボタンの長押しで、最高約10コマ/秒の高速連写 (連写中のフォーカスは固定) も可能だ。

露出制御は評価測光を採用しており、±3EVの露出補正が可能。絞り固定で、ホワイトバランスとISO感度はオートとなっているため、マニュアルでの設定はできない。またメニュー操作は、ファインダーをのぞきながらPHOTOボタンと録画ボタンを使って行うようになっており、ちょっと手間取りそうに感じた。特に露出補正の変更は、メニューからしかできない仕様になっているので、すぐに切り替えることができない。補正値を戻すようなボタンがあって欲しいと思った。

なお「PowerShot ZOOM」は、防塵・防滴仕様にはなっていない。また耐衝撃・耐低温に関しては「PowerShot」シリーズと同等レベルの性能となっているということだ。

■安心の撮影機能

静止画記録はJPEG、動画記録はMPEG4形式で、1920×1080のフルHD記録ができる。レンズ上にはマイクが搭載されており、動画撮影時にはステレオ録音が可能。記録メディアは容量2TBまでのmicroSDXCメモリーカードに対応する。本体にはメモリーが内蔵されていないので、microSD を入れないと画像を記録することができないようになっている。

■スマートフォン連携

通信機能には、Wi-fiとBluetoothを採用する。スマートフォンアプリ「Camera Connect」を使って接続するか、USB接続することで、スマートフォンに画像を転送することができる。また「Camera Connect」により、スマートフォンによるリモート撮影や、カメラ本体で見ている画像をリモートライブビューで共有することも可能だ。

ただしWi-Fi接続中は、動画記録することができない。またWi-Fi接続環境により、リモートライブビューに遅延が発生する場合があるとされている。メニューの設定など、もう少しスマートフォンで操作できるようになっているといいと感じた。

PowerShot ZOOM
▲スマートフォンとの連携イメージ

 

USB端子はType-Cを採用しており、市販の電源アダプターやモバイルバッテリーを使ったPower Deliveryにも対応する。最新の機器だけに、こうした点は使い勝手がいい。なお、別売のキヤノン純正USB電源アダプター「PD-E1」または急速充電器「Anker PowerPort Atom PD 1」の使用が推奨されている。

PowerShot ZOOM
▲USB端子とメモリーカードスロット

 

 

 

〈文〉柴田 誠