銀座 蔦屋書店にて、ドキュメンタリー写真を芸術の域に高めたと評されるフォト・ジャーナリスト、W.ユージン・スミスの作品展示・販売が開催中だ。会期は2021年9月23日(木)〜10月24日(日)まで。
今回の展覧会は、写真集『MINAMATA』を元にした映画の公開と、それに関連して日本語版写真集の約40年ぶりの新版刊行を記念したもの。ユージン・スミスの公式モダンプリント作品の展示・販売と、特別プリントを付属した『ユージン・スミス写真集』スペシャル・エディションの先行販売が行われている。
W.ユージン・スミスは、写真史上、最も重要なフォトジャーナリストのひとりでもあり、1940年代から70年代にかけて『ライフ』誌をはじめとするグラフ雑誌を舞台に、数多くの優れたフォト・エッセイを発表した。
フィールドに深く入り込み、ヒューマニズムの視点で被写体との深い関係性を築きながら、妥協を許さない姿勢と高い芸術性によって事象を写し出した。その写真作品の数々は、現代にいたるまで、世界中の人々の心を揺さぶり、大きな影響を与え続けている。
また今回、ユージン・スミスのアシスタントとして水俣の取材に同行した、写真家・石川武志によるユージン・スミスのポートレート作品も展示・販売も行われる。
商品、作品詳細
■公式モダンプリント(全3種)
W.ユージン・スミスの代表作をモダンプリントを制作。子息で、著作権保有者であるケヴィン・ユージン・スミス氏の証明書付。
《The Walk to Paradise Garden》(楽園への歩み)
「スペインの村」より《The Spinner》
「カントリー・ドクター」より《Dr. Ceriani Going from House to Hospital》
価格：330,000 円(税込)
プリントサイズ：大四切(279 x 356mm)
仕様：デジタルゼラチンシルバープリント、バライタ紙
期間：2021年9⽉23⽇(木)～12⽉31⽇(金)まで
■『ユージン・スミス写真集』公式プリント付スペシャル・エディション
2017年にクレヴィスより発売された『ユージン・スミス写真集』に特典公式プリントが付属したスペシャルエディションの先行販売。
本書は、初期から晩年までの作品を網羅したW.ユージン・スミスの足跡を辿る1冊。作品約150点を収録。
価格：33,000円(税込)
期間：2021年9⽉23⽇(木)～10月24日（日）店頭・オンラインストアにて先行販売
＜特典公式プリント内容＞
作品《The Walk to Paradise Garden》
サイズ：A5サイズ(168 x 210mm)
仕様：デジタルゼラチンシルバープリント、RCペーパー
■写真集『MINAMATA』(日本語版)
本書は、写真史上最も偉大なフォト・ジャーナリストの代表作であり、最後の仕事として知られる。
高度経済成長期の日本に起きた四大公害事件の一つである水俣病を、命を懸けて取材。
長らく絶版となっていたが再販される。
定価：4,400円(税込)
刊行日：2021年9月10日
期間：店頭販売中／2021年9月23日(木) オンラインストアにて販売開始
■石川武志によるユージン・スミスのポートレート作品
価格：165,000円(税込)
プリントサイズ：279×355 mm
仕様：ゼラチンシルバープリント、バライタ紙
期間：2021年9⽉23⽇(木)～2021年12⽉31⽇(金)オンラインストアにて事前予約販売
ウィリアム・ユージン・スミス(1918–1978)
1918年、アメリカ合衆国カンザス州ウィチタに生まれる。14歳から写真を撮り始め、地元紙に写真が掲載されるなど、早くからその才能を開花させる。
1937年、プロの写真家を目指しニューヨークへ移り、『ニューズウィーク』誌のスタッフとして仕事を始める。1943年、『フライング』誌の従軍記者として太平洋戦争を撮影。その後『ライフ』誌と契約し、掲載された戦争写真によって、報道写真界で一気に頭角をあらわす。
1940年代から『ライフ』誌を中心に作品を発表し、編集方針への不満から一時同誌を離れたが、1954年までに50点以上におよぶフォト・エッセイを発表した。
1971年からは熊本県水俣市に移り住み、3年にわたり有機水銀による公害を取材。1978年、アメリカ・ツーソンで脳出血を起こし、59歳で死去。
映画「MINAMATA－ミナマタ－」
ユージン・スミスに「憧れを抱いていた」というジョニー・デップが主演、製作を手掛けた本作は、高度経済成長期の日本に起きた四大公害事件の一つである水俣病を、ユージン自ら現地で暮らし、当時の妻アイリーン・美緒子・スミスとともに命を懸けて取材した、不朽のドキュメント。
ユージン・スミスの最後の仕事として知られる写真集『MINAMATA』（1975年）をベースとしている。