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カメラ用レンズに絶対欠かせない光学ガラスとは? ニコンミュージアムで「光学ガラスの軌跡」展

東京・品川のニコンミュージアムで、企画展「光学ガラスの軌跡」が2022年8月30日から開催されます。期間は2023年2月25日まで。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
るつぼ熔解で製造された光学ガラス (左)、研磨が完了した単体レンズ (右)

 

ニコンの光学ガラスの製造技術やその変遷を解説。光学ガラスや合成石英ガラスの実物も展示され、一般的なガラスとの違いも体感することができます。

また、13世紀から始まったとされる光学ガラスの歴史とその特徴も、パネルで解説。身近にあるガラスですが、その種類の違いや原材料、歴史などを意識することはなかなかないはず。ガラスの製造から最終製品までを手掛ける総合機器メーカーならではの、貴重な展示を楽しめます。

■光学ガラスとは?
「光学ガラス」は、一定の光学的機能を持った、均質で透明度の高いガラスのこと。カメラ用レンズはもちろん、さまざまな光学機器に必要不可欠な素材です。

この光学ガラスの製造技術を確立・工業化することが、ニコン (当時は日本光学工業) 設立時の目的の1つでもあったとのこと。創立の翌年からガラスの製造の研究が始まり、カメラの交換レンズでおなじみの「ニッコールレンズ」や各種光学機器用レンズの製造方法が確立されていきました。

主な展示

ニコンが開発した光学ガラス115種類とその主原材料の展示。光学ガラスの進化をたどることができます。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
昭和50年代の光学ガラスのサンプル

 

ニコンには、1923年に4種類の光学ガラスの熔解に成功した記録があるとのこと。伝統的な製造方法である「るつぼ熔解」の模型や、製造された光学ガラスも展示されます。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
るつぼ熔解の模型

 

1972年に導入され、現在も行われている「連続熔解」のパネル解説や加工途中の製品も展示。「連続熔解」は、最も安定した製造方法だということです。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
連続熔解で製造された光学ガラス

 

半導体製造装置の投影レンズに用いられる「合成石英ガラス」の製造工程を解説。1987年にニコンで初めて製造されたインゴットも見ることができます。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
ニコン初の合成石英ガラスのインゴット

 

光学レンズの研磨に用いる加工皿や加工途中の製品も展示。普段撮影に使っているレンズがどのように作られているのかを知ると、より愛着がわきそうですね。

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」
研磨に用いる加工皿

ニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」概要

会期 2022年8月30日 (火) ~2023年2月25日 (土)
会場 ニコンミュージアム
住所 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟2F
時間 10:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜・日曜・祝日・12月29日〜1月4日
入館料 無料
TEL ニコンミュージアム (TEL 03-6433-3900)

※休館日はニコンミュージアムWEBサイトでご確認ください。

 

 

〈文〉佐藤陽子