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ソニーのフルサイズミラーレス「α7C II」「α7CR」共通点と違いは? ハンズオンレポート

ソニーは、コンパクトなフルサイズミラーレスカメラ・α7Cシリーズの2機種、写真も動画も楽しめるハイブリッドモデル「α7C II」と高解像モデル「α7CR」を2023年10月13日に発売する。発表から早々に製品に触る機会ができたので、ファーストインプレッションをお伝えしよう。同時発表された大口径広角ズームレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM II」も紹介する。

α7CR + FE 16-35mm F2.8 GM II
α7CR + FE 16-35mm F2.8 GM II

「α7C II」と「α7CR」の共通点

「α7C II」は、約幅124.0×高さ71.1×奥行約63.4mm、質量約514gのコンパクトなボディ。

α7C II + FE 40mm F2.5 G
α7C II シルバー (FE 40mm F2.5 G 装着時)

 

一方「α7CR」は質量が約515gとわずかに重くなっているが、ボディサイズは「α7C II」と同じだ。

α7CR
α7CR ブラック

※質量はいずれもバッテリー、メモリカードを含む。

 

どちらもフルサイズミラーレスカメラ「α7R V」と同じAIプロセッシングユニットを搭載。これにより「リアルタイム認識AF」で多くの種類の被写体を高精度に認識できる。動画性能は、ともに4K/60p動画記録に対応し、人の肌や被写体を美しく際立たせ、自然なハイライトを実現する「S-Cinetone (エスシネトーン)」を搭載。7.0段のボディ内手ブレ補正機能も備えている。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート
左が「α7CR」、右が「α7R V」

 

操作系も共通化されている。ファインダーは倍率約0.7倍の0.39型 OLED (有機EL) 電子ビューファインダーを採用している。

α7CR

 

被写体認識AFは、静止画・動画ともに人・動物・鳥・昆虫・車・列車・飛行機を検出できる。被写体を認識するには、メニューで切り替える必要がある。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート

 

「α7C II」「α7C R」には、シネマのようなルックを手軽に再現できる「S-Cinetone」に加え、10種類のプリセット「クリエイティブルック」が搭載されている。コントラスト、彩度、シャドウなど最大8項目を、背面の液晶モニター画面を見ながら微調整できる。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート
SE (セピア色のモノトーン) で撮影

 

外部端子も「α7C II」「α7CR」共通の仕様だ。カードスロットは、SDメモリーカード (UHS-I/II対応) 用の1スロットとなっている。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート

 

バッテリーは、α7シリーズ共通のリチャージャブルバッテリーパック「NP-FZ100」を採用。USB PD (Power Delivery) 対応のUSB Type-C端子を備え、対応機器を使用することで急速充電が可能になる。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート

■「α7C」と比較

下の写真は、左から「α7C II」「α7CR」「α7C」。グリップの形状が「α7C」から変化しているのがわかる。「α7C II」「α7CR」のグリップは「α7C」よりも前後に大きく張り出している。片手でもホールドしやすくなったことで、カメラアングルの自由度もアップしている。

「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート
左から「α7C II」「α7CR」「α7C」
「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート
左から「α7C II」「α7CR」「α7C」
「α7C II」「α7CR」「FE 16-35mm F2.8 GM II」ハンズオンレポート
手前から「α7C II」「α7CR」「α7C」

性能や操作性が大幅に進化した静止画・動画ハイブリッドモデル「α7C II」

有効約3300万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー Exmor Rと、画像処理エンジン BIONZ XRを搭載する「α7C II」の基本性能は、α7シリーズのスタンダードモデル「α7 IV」に近い。測距点も「α7 IV」と同じく最大759点 (位相差検出方式) となっている。

α7C II
α7C II シルバー

常用ISO感度は、静止画・動画とも「α7C」と同じくISO100〜51200だが、性能や操作性は「α7C」と比べると大幅にパワーアップしている。ユーザーの声を反映して画質や性能、操作性を見直し、第2世代機として正統に進化したという印象だ。

α7C II
α7C II ブラック

ボディカラーはシルバーとブラックの2色。価格はオープンで、市場推定価格はボディ単体が30万円前後、「FE 28-60mm F4-5.6」を同梱したズームレンズキットが33万円前後 (いずれも税込)。

α7C II ズームレンズキット (ILCE-7CM2L)

標準ズームレンズ「FE 28-60mm F4-5.6」が付属する。

α7C II ズームレンズキット

α7C II ズームレンズキット

■SONY α7C II 主な仕様

型名 ボディ ILCE-7CM2、ズームレンズキット ILCE-7CM2L
カラー シルバー、ブラック
有効画素数 静止画 最大約3300万画素、動画 最大約2760万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.9×23.9mm) Exmor R CMOSセンサー
マウント ソニーEマウント
ISO感度 ISO 100〜51200 (拡張 : 下限 ISO 50、上限 ISO 204800)
シャッター速度 [静止画] メカシャッター 1/4000〜30秒、電子シャッター 1/8000〜30秒、バルブ [動画] 1/8000〜1秒
ファインダー 0.39型 2,359,296ドット 約0.7倍 電子式ビューファインダー (有機EL)
画像モニター 3.0型 1,036,800ドット TFT液晶モニター (タッチパネル)
カードスロット SDメモリーカード用スロット (UHS-I/II対応)
外寸 (幅×高さ×奥行き) 約124.0×71.1×63.4mm (グリップからモニターまで 約124.0×71.1×58.6mm)
質量 約429g (本体のみ) / 約514g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100、ショルダーストラップ、ボディキャップ、アクセサリーシューキャップ

「α7R V」の機能をコンパクトなボディに凝縮した高解像モデル「α7CR」

高解像モデルと位置付けられている「α7CR」は、「α7R V」と同じ有効約6100万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー Exmor Rと、画像処理エンジン BIONZ XRを搭載。測距点は最大693点 (位相差検出方式)、常用ISO感度は静止・動画ともISO100〜32000で、こちらも「α7R V」と変わらない。

α7CR
α7CR シルバー

 

「α7CR」は、「α7R V」よりも重さが約71%、体積が約53%にコンパクト化されている。手ブレ補正は「α7R V」の8.0段に対して7.0段としているなど、性能面は多少抑えられている点はあるものの、「α7R V」とほぼ同等の機能が搭載されている。

α7CR
α7CR ブラック

 

ボディカラーはシルバーとブラックの2色。レンズキットは用意されておらず、ボディ単体のみとなる。価格はオープンで、市場推定価格は45万円前後 (税込)。

アクセサリー

同時発売のグリップエクステンション「GP-X2」は、「α7C II」「α7CR」共通のアクセサリー。「α7CR」には同梱されているが、「α7C II」では別売となる。カラーはブラックのみで、希望小売価格は22,000円 (税込)。

GP-X2

 

「GP-X2」は底部のレバーでロックを外すと途中で折れるようになっており、バッテリー交換時にいちいち取り外す必要がない。

GP-X2

 

右手全体でしっかりグリップできるので、大口径レンズや超望遠レンズ使用時にあると重宝する。

GP-X2

■SONY α7CR 主な仕様

型名 ILCE-7CR
カラー シルバー、ブラック
有効画素数 静止画 最大約6100万画素、動画 最大約5080万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.7×23.8mm) Exmor R CMOSセンサー
マウント ソニーEマウント
ISO感度 ISO 100〜32000 (拡張 : 下限 ISO 50、上限 ISO 102400)
シャッター速度 [静止画] メカシャッター 1/4000〜30秒、電子シャッター 1/8000〜30秒 [動画] 1/8000〜1秒
ファインダー 0.39型 2,359,296ドット 約0.7倍 電子式ビューファインダー (有機EL)
画像モニター 3.0型 1,036,800ドット TFT液晶モニター (タッチパネル)
カードスロット SDメモリーカード用スロット (UHS-I/II対応)
外寸 (幅×高さ×奥行き) 約124.0×71.1×63.4mm (グリップからモニターまで 約124.0×71.1×58.6mm)
質量 約430g (本体のみ) / 約515g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100、ショルダーストラップ、ボディキャップ、アクセサリーシューキャップ、グリップエクステンション

コンパクトになった第2世代の大口径広角ズームレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM II」

第2世代のGマスターレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM II」は、世界最小・最軽量を実現した大口径F2.8広角ズームレンズ。発売は2023年9月22日。価格はオープンで、市場推定価格は35万円前後 (税込)。

※AF対応のフルサイズ16-35mm F2.8広角ズームにおいて。2023年8月時点、ソニー調べ。

FE 16-35mm F2.8 GM II

 

従来モデルの「FE 16-35mm F2.8 GM」から、全長は約10.1mm短くなって111.5mmを実現。質量は約20%軽量化されて約547gになっている。AF/MF切り替えスイッチの位置が変わったほか、フォーカスホールドボタンが2か所に設けられ、絞りリングの誤操作を防ぐ「アイリスロックスイッチ」を搭載している。

FE 16-35mm F2.8 GM II
左が「FE 16-35mm F2.8 GM II」、右が「FE 16-35mm F2.8 GM」

 

第2世代のGマスターレンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」と3本合わせると、総重量は約2,287g。I型の約3,046gよりも759g軽量化されている。「α1」が約737g (バッテリー、メモリーカードを含む) なので、カメラ1台分軽くなったと考えると、3本を揃えても移動や撮影時の負担が大幅に軽減されることになる。

FE 16-35mm F2.8 GM II
左から「FE 16-35mm F2.8 GM II」「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」「FE 24-70mm F2.8 GM II」

 

フィルター径は従来モデルと同じ82mmだが、フードは短くコンパクトになっている。

FE 16-35mm F2.8 GM II
左が「FE 16-35mm F2.8 GM II」、右が「FE 16-35mm F2.8 GM」

 

超高度非球面XA (extreme aspherical) レンズ3枚を含む計5枚の非球面レンズを採用し、さらなる高画質化を実現した。コーティングは「ナノARコーティングII」を施し、フレアやをゴーストを大幅に抑制して、コントラストが高くヌケの良いクリアな描写を実現する。レンズ構成は12群15枚、最短撮影距離はズーム全域で0.22m、絞り羽根は11枚となっている。

FE 16-35mm F2.8 GM II

 

XD (extreme dynamic) リニアモーターや最新の絞りユニットを採用して、動画撮影中の操作音や振動を抑制。また、フォーカスブリージングやズーム操作に伴う軸ずれ、フォーカスシフトも抑えられており、動画撮影時も優れた性能を発揮する。

FE 16-35mm F2.8 GM II

 

絞りリングは、クリックのON/OFF切り換えができる。

FE 16-35mm F2.8 GM II

■SONY FE 16-35mm F2.8 GM II 主な仕様

型名 SEL1635GM2
マウント ソニーEマウント
焦点距離 16〜35mm (APS-Cカメラ装着時の35mm判換算 24〜52.5mm相当)
開放絞り F2.8
最小絞り F22
レンズ構成 12群15枚
画角 107°〜63° (APS-Cカメラ装着時は83°〜44°)
絞り羽根 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 0.22m
最大撮影倍率 0.32倍
フィルター径 φ82mm
最大径×長さ φ87.8×111.5mm
質量 約547g
付属品 フード ALC-SH177、レンズフロントキャップ ALC-F82S、レンズリアキャップ ALC-R1EM、ソフトケース