機材レポート

キヤノン EOS Rで飛行機を撮る!性能を引き出す5つのポイントとは?

広いAFエリアやAF精度の高さなど「EOS R」の長所を引き出しハイレベルな1枚を狙おう

飛行機撮影といえば位相差AFを装備し、動きモノに強い一眼レフカメラが主流。わざわざミラーレス一眼である「EOS R」で撮る必要があるのか?という疑問を持つ方もいるだろう。しかし、シーンによってはミラーレスおよび「EOS R」のほうが優れている点も少なくない。

 

EOS R×飛行機

 

■ポイントは弱点の克服と長所をいかに活用するか

EOS R×飛行機

 
例えば夜間、駐機している機体やゆっくり動いている機体を手持ちかつスローシャッターでファインダーを覗いて撮る場合、ミラーショックの排除されたミラーレス一眼の方が一眼レフに比べ歩留まりの良いことが多い。

また、ヒコーキ撮影においてはコクピットウインドーなどピントを合わせたい位置が画面の端に来ることもよくある。フルサイズセンサーを搭載する一眼レフの場合、AFの測距可能範囲は画面中央付近に固まっていることが多いので、「EOS R」のほぼ画面全体におよぶAFエリアの広さは非常に使い勝手が良い。

さらに、飛行機撮影は機体の細かいディテールなどが重視される。一眼レフの位相差AFの弱点といえばピントの精密さだが、「EOS R」のデュアルピクセルCMOS AFは、合焦さえすればかなり精密に機体を描写してくれる。逆に一眼レフのほうがまだ有利だなと感じる点もあり、高速で移動する機体を連写しつつファインダー内に収めるのには慣れが必要だ。また、夕暮れ時の逆光下などはAFが迷うことも少なくない。そうした特徴を知ったうえで、長所を生かしてRならではの作品を狙ってみたい。

 

 

ポイント① AFエリアの広さを生かしてラージゾーンAFを活用。コクピット付近に確実なピント合わせを

飛行機撮影においては、ピント合わせをしたい位置が画面の端になることが少なくない。そのため、「EOS R」の広大な横約88×縦約100%のAF測距可能エリアが生きる。それにはAF方式(測距エリアモード)の「ラージゾーンAF・横」の活用がポイントだ。コクピットを入れる位置により上・中・下を選択。あとは測距点が自動でコクピット付近に来ているのを確認しながら連写していこう。

EOS R×飛行機

 

 
AF低輝度限界は最大-6EVを達成。その暗部AF性能の高さは、夜間の飛行場での撮影に生き、広いAFエリアは構図の自由度を広げてくれる。

EOS R×飛行機

 

 
ここではAFを使用しコクピットウインドウにピントを合わせている。AFエリアの広さを活かし画面の端でも精密なピント合わせが可能。

EOS R×飛行機

キヤノン EOS R EF600mm F4L IS II USM + EXTENDER EF1.4×III マニュアル露出 1/160秒 F5.6 ISO1600 WB:日陰

 

 

ポイント② 描写力の高いRFレンズとDIGIC 8の採用による高画質を存分に生かして撮ろう

EFマウントと同様に54mmの大口径RFマウントを採用。DIGIC 8の搭載でカメラ内デジタルレンズオプティマイザも連写しつつ使えるようになった(連写速度低下なし)。なので、同機能は初期設定のONでOK。RFマウントのメリットを生かして、より高画質で撮るために、標準域は「RF24-105mm F4 L IS USM」をぜひ使いたい。

RF24-105mm F4 L IS USMM

 
「EOS R」はDIGIC 8を採用。RFマウントのショートバックフォーカスとも相まって高画質な撮影を約束してくれる。

EOS R×飛行機

 
35mmフルサイズセンサー採用。RFレンズとの組み合わせでは、中心部分だけでなく周辺部分の高い解像力も魅力となる。

EOS R×飛行機

キヤノン EOS R RF24-105mm F4 L IS USMM マニュアル露出 1/1250秒 F8 ISO200 WB:オート(雰囲気優先)

 

 

ポイント③ デュアルセンシングISを活用してブレを抑え夜間も積極的に撮る

RF24-105mmレンズとの組み合わせによるデュアルセンシングISは、最大5段分の手ブレ補正が効く。夜間、動く機体を手持ちで撮影する際などはその恩恵が大きい。この写真では機体ノーズ部分にピントを合わせて流したが、その部分をガッツリと止めてくれた。

EOS R×飛行機

キヤノン EOS R RF24-105mm F4 L IS USMM マニュアル露出 1/4秒 F4 ISO6400 WB:3200K

 

 

ポイント④ コントロールリング、M-Fn バーなどを活用。EVF を見ながら設定して撮影

マニュアル露出時、太陽の前に雲がかかり、急に機体の露出が不適当になることがある。そうした際にも新採用のFvモードなら、マニュアルからAEにすぐ移行できる。またISOオートで、コントロールリングに露出補正を割り当てればマニュアルでも素早く補正可能だ。

EOS R×飛行機

キヤノン EOS R RF24-105mm F4 L IS USMM マニュアル露出 1/2000秒 F5.6 ISO200 WB:5000K

 

 

ポイント⑤ シャッター幕はゴミ対策に有効。だがレンズ交換時は細心の注意を

「EOS R」で気に入ったのがこのシャッター幕。「EOS M5」などはレンズを外すとセンサーがむき出しのため、屋外でレンズ交換をすることが多い飛行機撮影においてはセンサーにゴミが付かないか常に悩みの種だった。抜本的な解決策ではないが気持ち的にラク。

EOS R×飛行機

 

 

機内からの手持ちスロー撮影にミラーレスの優位性を発揮

旋回する飛行機の機内から撮影。手持ち4秒というスローシャッターで街の灯を流す。ミラーショックのないミラーレスカメラはこうしたレンズを大きく振らず、手持ちでスローシャッターを切りたいときに最適。

EOS R×飛行機

キヤノン EOS R RF24-105mm F4 L IS USMM マニュアル露出 4秒 F6.3 ISO800 WB:3000K

 

 
〈写真・解説〉A☆50/Akira Igarashi