機材レポート

スペック表だけじゃわからない“リアルな魅力”に気づく――パナソニック「S1R」と巡るアイルランドの旅【中編】

室内撮りでハイレゾモードを試す

S1Rには、センサーをシフトさせながら8回連続で自動撮影を行い、カメラ内で自動合成処理を行う「ハイレゾモード」という機能が搭載されている。この設定で撮影されたデータはRAW(設定によって通常のRAWも同時に記録される)で保存されるため、後々パソコンでRAW現像する必要がある。

 

ハイレゾモードで撮影すると画素数は何と約1億8700万画素といきなり数字がインフレしてくる。ではどのくらい高精細になるのか? ハイレゾRAW(1億8700万画素)と通常RAW(4700万画素)をJPEGに現像して比較してみることにした。

▲左:左がハイレゾモード(1億8700万画素)、右が通常撮影(4700万画素)

 

上の比較は画面中央の銅像の腰付近とその後ろにあるステンドグラスをカットしたものである。正直4700万画素でもかなり解像していると言えるのだが、ハイレゾモードはさらに細かく記録していることがわかる。カットしたデータをさらに拡大してみると4700万画素のほうはすぐジャギが出てモザイクのようになるのだが、ハイレゾモードで撮影したデータはジャギが出るまでしばし拡大できた。

 

さて、このハイレゾモードいったい何に使うのだろうか?4700万画素もあれば十分では?と疑問に思う読者の方もいらっしゃるであろう。そこで筆者なりの解答を記しておきたい。

 

ハイレゾモードは、写真の役割の1つ「記録」に役立つものだと筆者は考えている。撮影した教会もそうなのだが、こうした歴史建造物の記録などもその1つである。

 

2019年4月15日から同年4月16日にかけて起こったノートルダム大聖堂の火災。筆者もパリを訪れた際にノートルダム大聖堂を眺めたのだが、あの美しい大聖堂が燃えてしまったことが残念でならなかった。こうした際に高精細な記録があれば再建の役に立つかもしれない。日本でも歴史建造物は多く、細部まで記録し保存できれば「詳細な記録」を後世に手渡すことができる。

 

また、絵画や消えていく街並みなど後世に残しておきたいものがたくさんある。こうした「記録」を残していく際、画素数はあったらあっただけ良いと筆者は考える。そうした点においてはハイレゾモードの使い道は確実にあるのではないだろうか。また、こうしたモードをカメラに搭載してきたことで、パナソニックは「本気」でプロユースを考えているということを感じた。

 

次回は今回持参したLUMIX Sレンズの描写や手ブレ補正を試していきたい。

 

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