機材レポート

GoProに超強力ライバル出現! DJI「Osmo Action」は徹底して“使いやすさ”を高めたカメラだった

アクションカメラ界で盤石の地位を築いているGoPro(ゴープロ)に、強力なライバルが登場しました。ドローンやジンバルでトップブランドに急成長したDJIがリリースした「Osmo Action」です。後発ながら独自の機能を数多く搭載するなど、意欲的なカメラとなっています。今回はそんなOsmo Actionについて、歴代のGoProを試してきた筆者視点で比較も交えながらレポートします。


▲2019年5月発売のDJI「Osmo Action」。希望小売価格は44,820円(税込)。

基本スペックや操作性をチェック!

本体はほぼGoPro の現行ハイエンドモデル「HERO7 Black」(以下:GoPro)と同じぐらいのサイズ感。正確に言えば、高さで数ミリ低く、横幅は逆に数ミリ大きいのですが、手にした感じではそれほど変わらないと言っていいでしょう。外観デザインについては、カメラの横に小型ディスプレイが用意されており、特にこの存在がGoProを想起させる点かもしれません。


▲マウント用フレームを装着した状態

 

しかし、このレンズ横の1.4インチのディスプレイが独自の魅力を生んでいます。というのも、これを自撮り時のモニターとしても使えるのです。元々この手のカメラは画角が広いため、大まかにカメラを向けても自撮りは行えます。それでも、背景を入れ込むなどアングルを合わせたいときは、モニターがあるのとないのとでは大違いです。表示させる方法も簡単で、背面のディスプレイを2本指で軽くタップするか、左横にあるQS(Quick Switch)ボタンを長押しするだけ。ただし、背面ディスプレイと同時表示はできません。


▲正面のディスプレイを使って自撮りをしてみた。特に観光先で自撮り撮影する際は背景の入り方が重要なるが、これであればアングルが決めやすい。

 

電源を入れて驚くのが起動の速さです。電源を完全に切った状態では起動するまで多少時間を要しますが、待機モード(後述)であれば、間髪入れずに起動して撮影に入れます。GoProではピピピッというアラートを鳴らしたあと、撮影に入るまでには数秒待つ必要がありました。Osmo Actionの起動の速さは撮影のチャンスを逃さずに済むという意味でとても大きな魅力となっていると感じます。

 

操作は本体に備えられた3つのボタン(電源、録画ボタン、前出のQSボタン)と、背面ディスプレイ上で使えるタッチスクリーンで行います。電源ボタンは長押しでON/OFFが可能で、短く押すと省電力モードでの待機状態となります。QSは軽く押すと撮影モードが切り換えられます。タッチスクリーンの操作はGoProと同様に、上下左右にスワイプして使うもの。サクサクと動く良好な反応により使っていてストレスを全く感じさせません。なお、背面ディスプレイは2.25インチで、これはGoProよりも大きく、本体サイズの割には頑張ったサイズと言っていいでしょう。


▲本体の上面には電源(省電力)ボタンとシャッターを兼ねる録画ボタンを装備

 


▲左側サイドには「QS(Quick Switch)」

 


▲カバーを開けるとmicroSDカードスロットとUSB Type-C端子が並ぶ

 


▲背面ディスプレイは2.25インチ

 


▲QSに設定できる内容はあらかじめ決めておくことができる

 


▲メインメニューを開いて見た。音声操作は日本語には非対応だった(執筆時点)

 


▲録画内容を一覧でプレビューしてみた

 

レンズは145度の画角を持つF2.8の単焦点。レンズカバーは取り外しがとても簡単で、別売のNDフィルターと交換するのも容易です。センサーは有効で12M画素の1/2.3インチ。最大静止画サイズは4000×3000 ピクセルで、動画は最大4K/60pまで対応します。動画フォーマットはMOVかMP4から選択可能。今回のレビューでは手ブレ補正をONにしてMP4で撮影しました。また、アクションカメラということで防水性能も気になりますが、本機は本体のみで11mまでの防水性能を備えています。

 

実写で画質や手ブレ補正をチェック!

ここからは、実際に撮影した写真と動画を中心に、その描写力をチェックしていきます。

▲光がそれほど多くない早朝、ホテルの部屋で撮影。輝度が低めなのに雰囲気あるカットになった

 

<動画作例①>

反逆光状態での動画。黒つぶれすることなく被写体をうまく捉えています。

撮影しながら感じたのは、多彩な補正が簡単にできるということです。アクションカメラは基本的にオートで撮影することをメインにしていることが多いのですが、Osmo Actionは容易に補正が行えます。だから、撮影条件に合わせた映像効果が簡単に試せるのです。歪み補正機能は4K撮影時でも使え、このモードを使えば周辺部の歪みを抑えた映像を撮影可能。この点はGoProよりも実用的だと感じました。

 

画質に関しては、解像度は十分に高精細さを伝えてきますが、全体にコントラスト比が低めで映像にシャッキリとした感じがありません。発色もいまひとつに感じるところもありましたが、HDRモードにするとその辺りが少し改善されました。白飛びも抑えられるので、屋外ではこのモードで撮るのがよさそうです。ただし、HDRモードの使用時は手ブレ補正が効かなくなってしまうので、このモードを使うときは基本的にカメラを固定して使うのがオススメ。

標準モード

 

<HDRモード>

▲標準モードで撮影するとやや白飛び気味だが、HDRモードで撮ると深みが出てくる。

 

手ブレ補正については、効果はまずまずということろでした。歩行でのブレぐらいなら十分に吸収してくれますし、手持ち撮影でもブレはほとんど感じずに撮影できます。ただ、少し激しいブレになると吸収し切れない面が出てきます。さらに、今回試した限りではパンニング(横へカメラを振る行為)すると映像が少し傾いて映るようです。これはやや違和感がありました。同時に使ったわけではないので断言はできませんが、全体として手ブレ補正についてはGoProに軍配が上がりそうだと感じました。

<動画作例②>

手ブレ補正を効かせて徒歩で撮影。若干上下に揺れを感じますが、補正効果は十分。

 

思ったよりも良好だと感じたのが暗所での撮影です。このタイプのカメラは暗所での撮影が弱いという弱点がありましたが、暗めの観光施設で撮影してもノイズが目立つこともなく鮮明に被写体を捉えていました。暗所で感度を無理やり上げない設定が功を奏しているのだと思います。

 

また、スローモーション動画やタイムラプス動画の撮影も可能です。タイムラプス動画とは、一定間隔で撮影した静止画をつなぎあわせて動画にしたもので、長時間の変化をダイジェスト的に短く見せるのに向いています。

<動画作例③>

タイムラプスを使って渋谷の交差点を撮影。手持ちでも雰囲気はたっぷり。

 

【まとめ】Osmo Actionは徹底して使いやすさを高めたカメラ

“GoProキラー”として登場したOsmo Actionですが、一言で表せば徹底して使いやすさを高めたカメラということができます。

起動の速さはチャンスの逃さないカメラという意味で高く評価できますし、自撮りでのアングル決めに役立つレンズ横のディスプレイも大きな魅力となるでしょう。画質や手ブレ補正で改善の余地はありますが、日常使いのカメラとして考えるとその魅力が際立ってきます。

Osmo Action、GoProそれぞれに得意なシーンがあり、またOsmo ActionはGoProの一部のアクセサリとの互換性があるので、GoProとの2台持ちでもいいかもしれません。