どんなカメラ機材を持っているか(あるいは買えるか)はどのような被写体を撮れるかに直結する重要なポイントであるが、手元に高倍率デジカメがあったらぜひ試してみてほしいのが「月」の撮影だ。特に35mm判換算で焦点距離が1000mm相当を超える超望遠撮影が可能なカメラなら、かなり細かいクレーターやディテールまで写せて、楽しさ倍増だ。本稿では、圧倒的なズーム倍率を誇るニコンのコンパクトデジカメ「COOLPIX P1000」(光学ズームで最高3000mm相当)を使って、月撮影にチャレンジしてみた。撮影のポイントや注意点、そして夏休みの自由研究のヒントなどを紹介したい。
▲デジタルズームを使って9000mm相当で撮影した月。感度をISO3200まで上げてF8、1/200秒で撮影した。ここまで倍率を上げると、三脚でカメラを固定しても、かなりの速さで月がフレームアウトする。できるだけ速いシャッターを使わないと、ぶれる可能性も高い。
月撮影には1000mm相当を超える“超望遠コンデジ”がおすすめ
地球から見える数多くの天体のなかでも、月はひときわ大きく見える身近な天体だ。とはいえ、それを写真に撮ろうとするとかなりの望遠レンズが必要で、レンズ交換式カメラでは、特殊な超望遠レンズや天体望遠鏡などを装着しないと大きく写すことは難しい。しかし、高倍率ズームコンデジのなかには1000mm相当を超える望遠撮影が可能なカメラもあり、比較的簡単に撮影できる。超望遠で撮る場合はEVF搭載機がオススメだ。
※参考価格は2019年8月13日時点の税込価格
なかでもニコンのCOOLPIX P1000(P1000)は、24~3000mm相当をカバーする125倍ズーム搭載で、ややボディは大柄ではあるものの、記念写真から風景写真、花・昆虫、天体など、様々な被写体に対応できる実力を備える。特に月の撮影では、2000mm相当程度あれば月全体を大きく撮ることができ、さらに3000mm相当あれば画面からはみ出るほどの大きさで撮れて迫力も抜群だ。
▲P1000は一眼レフに近いデザインで、グリップも大きく持ちやすい。レンズ部が比較的大きいこともあり、サイズは中望遠付きの一眼レフといった印象。
▲P1000の背面&上面のボタン配置。同社のエントリークラス一眼レフなどに近い。EVFもクリアで見やすい。
▲P1000の背面モニターはバリアングル式を採用。カメラを固定しての撮影や動画撮影にも便利。
▲24mm相当の最広角時(上)と3000mm相当の最望遠時(下)。さすがに125倍ズームだけあってレンズの繰り出し量も大きい。それでも3000mm相当F8と聞くと納得のいくサイズだ。