月撮影のコツと用意すべきアイテム
月は十分な明るさがあり、太陽ほど明るすぎることもないので、ほかの天体に比べると簡単に撮影することができる。ただし、超望遠での撮影になるのでいくつか注意点がある。
まずは、超望遠撮影ということでブレ対策がポイントになる。最近の高倍率ズームカメラの多くは手ブレ補正機能を搭載していて、十分に感度を上げてシャッター速度を速めにして撮れば手持ちでも撮影できるのだが、できれば三脚は用意したい。
というのも、1000mm相当以上の超望遠撮影では被写体を画面に捉えるのが難しいのだが、三脚があることでブレ防止だけでなく、フレーミングが容易になるのだ。月を撮るだけなら、カメラを十分に支えられる大きさのものであれば比較的小型の三脚でも問題ない(もちろん、カメラの重さが三脚の耐荷重に適合している必要はある)。
次に、あったほうが便利なのがリモコンやケーブルレリーズ。ただし、月はそれなりに速いシャッター速度で撮れるので、シャッターボタンを慎重に押せば比較的ぶれにくく、これらがないと撮影できないというわけではない。また、Wi-FiやBluetoothに対応したカメラなら、スマホとリンクさせてスマホでシャッターを切るという方法もある。
▲P1000用の別売リモコン。機種によってはケーブルレリーズが使えるものもあるが、コンデジということもあり、リモコンが一般的。最近はスマホアプリで対応できる機種も多い。
このほか、カメラにアクセサリーシューが用意されている場合は、オリンパスやニコンから発売されている「ドットサイト照準器」が便利。これを装着すると、超望遠でのフレーミングが行いやすいのだ。
特に月は地球の自転や月の公転によって動いて見え、500mmを超える望遠では、その動きに合わせてカメラの位置を調整する必要があり、ドットサイトがあると調整が楽になる。本格的に天体撮影を楽しむのなら、小型赤道義などの天体の導入・追尾装置があると楽だが、月を撮るだけならそこまでは必要ないだろう。
▲カメラのホットシューに取り付けられるドットサイト照準器は、ニコンやオリンパスから発売されている。一眼レフやミラーレス、コンデジの種類を問わず、500mm相当以上の望遠で被写体をフレームに導入する際の手間が大幅に軽減される。写真はニコンの「DF-M1」(参考価格/1万8770円)。
月撮影の露出は、前にも記したように十分な明るさがあり、自動露出+露出補正で問題なく撮れる。ただしISO感度は800や1600など、少し高めに設定しておくとシャッター速度が速めになって、地球や月の自転や公転などによるブレを防げるのでおすすめだ。
絞りに関しては、絞り開放か、わずかに絞る程度でOK。コンデジの場合、無理に絞っても画質が低下するだけでメリットは少ない。露出の目安としては、月の満ち欠けなどにより多少変化するが、ISO1600のF8でシャッター速度は1/250~1/60秒程度になると思う。子どもが撮る場合は、三脚を使えばプログラムオートでもほぼ問題なく撮れるはずだ。
細かなクレーターまで観察でき、夏休みの自由研究にもぴったり
月の撮影は特殊なものと思われがちだが、実際に撮ってみると超望遠で撮れる環境ができてしまえば難しくはなく、子どもでも小学校の高学年以上でカメラの基本的な操作ができれば撮影できると思う。光学ズームのみで1000mm相当を超える最近のカメラなら、かなり細かいクレーターまで写すことができ、夏休みの自由研究にもぴったりだろう。
月の観察の具体的な方法としては、1つは毎日の月の変化を捉えて日記的に記録する方法が考えられる。できれば1か月~1月か半程度捉えることができればベストだが、1~2週間でも法則性(およそ29.5日かけて変化する)は実感できると思われ、撮影した時間帯や方角、高さなども記録しておけば、月の出入りの変化なども実感できるだろう。
ほかには、クレーターの様子などを観察してもいいだろう。満月の日や欠けた部分の少ない日に撮影して、どのような大きさの、どんなクレーターがあるかを観察、記録するというものだ。時間が十分にあれば、写真を元にデッサンして月面図を作り、クレーターごとの様子を書き加えていくなどしても面白いと思う。
もちろん、こうした自由研究的な観察に限らず、1年のなかでも特に美しいとされる秋の月を楽しむのにも1000mm超えのコンパクトデジカメはきっと役立つはずだ。