機材レポート

手持ちで鉄道を実写! リーズナブルなキヤノンの超望遠ズームと超広角レンズ実力チェック

キヤノンから普及タイプの超望遠ズームレンズ「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」と超広角レンズ「RF16mm F2.8 STM」が登場。金盛カメラマンが鉄道写真のフィールドに持ち出した。手持ちで軽快に撮影できる新レンズ2本の実力はいかに?

キヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」「RF16mm F2.8 STM」実写レビュー

普及タイプを超えた画質とコンパクトサイズを両立「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」

鉄道写真では100mm辺りはもはや標準レンズと言ってよく、300mm以上の超望遠でさえ常用されている。昨今、線路に容易に近づけないからだ。「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」の登場は、鉄道写真にとって正に吉報である。

遠くの列車をシャープに引き寄せ前ボケで印象的に

安全のため線路から十分な距離を取ってカメラを構えていたが、400mmが列車を思いどおりの大きさに引き寄せてくれた。シャープな合焦像を形成する一方でボケ味も悪くない。手前に広がる稲田がきれいな前ボケとなった。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー
キヤノン EOS R5 RF100-400mm F5.6-8 IS USM 絞りF11 1/500秒 ISO400 WB : 太陽光 伊豆箱根鉄道駿豆線 (二日町〜大場)

蛍石と同等のUDレンズで高画質を追求

レンズ構成は9群12枚。蛍石に近い光学特性のUDレンズが、ズーム全域で色収差を補正。さらに非球面レンズにより高い描写力を実現。フォーカス機構にはナノUSMを採用している。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー

コンパクトで軽いから長時間の撮影も苦にならない

ところでテレ側の開放値F8は少々気になるかもしれない。だが心配無用、EVFでは実用上まったく問題にならないからだ。それよりも超望遠ズームでありながら、全長約164.7mm、直径約79.5mmというサイズと、重量約635gという軽さに注目したい。カメラバッグに難なく入り、長時間担いでいても苦にならない。レンズ単体で5.5段というISのサポートもあり、400mmでの手持ち撮影も容易だ。またエクステンダー対応で、さらに長い焦点距離を手軽に得られるのもうれしい。

そして肝心の描写力はというと、鉄道車両のシャープな造形を鮮明に捉え、満足のいく結果を残してくれた。

エクステンダーを装着し列車の躍動感を捉える

S字カーブを迫ってくる貨物列車の躍動感を、「エクステンダー RF1.4x」を装着し、焦点距離560mmで捉えた。レンズの小型軽量さと高性能ISの相乗効果で、フレームいっぱいの構図でも、手持ちで列車を追いながら撮影できる。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー
キヤノン EOS R5 RF100-400mm F5.6-8 IS USM + エクステンダー RF1.4x 絞りF16 1/500秒 ISO800 WB : 太陽光 東海道本線 (根府川〜早川)

高い接写能力が離れた車両のパーツを切り取る

被写体は公園に展示されている静態保存の蒸気機関車。柵に囲われていて近づくことができないが、最大0.41倍の撮影倍率を発揮する高い接写能力により、足回りを構成する特徴的なパーツをアップで捉えることができた。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー
キヤノン EOS R5 RF100-400mm F5.6-8 IS USM 絞りF8 1/350秒 ISO3200 WB : 太陽光 沼津市・高沢公園

手持ちで構えやすいコンパクトサイズ

「エクステンダー RF1.4x」を装着し、560mmで使用。前玉を最大に繰り出してもバランスがよく、ホールディングしやすい。また細身で軽量なため、手持ちで長時間構え続けられる。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー

コントロールリングの操作性も良好

最前部に配されたコントロールリングは、綾目ローレット加工が施されピントリングとは触感が異なる。回転量の把握のために設けられたクリックが、心地よい操作感をもたらす。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー

周辺画質までこだわったコンパクトな超広角レンズ「RF16mm F2.8 STM」

「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」と同時に発表された「RF16mm F2.8 STM」は、コンパクトさがウリの超広角レンズだ。「RF50mm F1.8 STM」と同等という驚きのサイズだから、超広角域をあまり使わない人もカメラバッグに入れておくといいだろう。きっと表現の幅を広げてくれるはずだ。

鉄道写真ではパースペクティブを生かした表現のほかに、車両基地や鉄道博物館など引きのない所での車両撮影に活躍しそうだ。見た目によらずその実力も高く、周辺までシャープで歪みの少ない魅力的な描写を示した。

広い画角でパースペクティブを強調

とある地方民鉄に、引退した電気機関車が保存されていた。車両の間際まで近づける展示スタイルだったので、思い切り寄ってパースペクティブを強調する撮影を試みた。硬質な質感が周辺までシャープに再現されている。

RF16mm F2.8 STM 実写レビュー
キヤノン EOS R5 RF16mm F2.8 STM 絞りF22 1/45秒 ISO200 WB : 3900K 岳南電車・岳南富士岡駅

キヤノン RF100-400mm F5.6-8 IS USM

RF100-400mm F5.6-8 IS USM 実写レビュー
[発売日] 2021年10月28日 [参考価格] 90,500円 (税込) [マウント] キヤノンRFマウント [レンズ構成] 9群12枚 [最短撮影距離] 200mm時 0.88m、100mm時 1.2m [最大撮影倍率] 400mm時 0.41倍 [フィルター径] φ67mm [絞り羽根] 9枚 (円形絞り) [最大径×長さ] 約φ79.5×164.7mm [質量] 約635g

キヤノン RF16mm F2.8 STM

RF16mm F2.8 STM 実写レビュー
[発売日] 2021年10月28日 [参考価格] 41,800円 (税込) [マウント] キヤノンRFマウント [レンズ構成] 7群9枚 [最短撮影距離] 0.13m [最大撮影倍率] 0.26倍 [フィルター径] φ43mm [絞り羽根] 7枚 (円形絞り) [最大径×長さ] 約φ69.2×40.2mm (収納時) [質量] 約165g

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。