タムロン 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD
スペック
[マウント] ソニーEマウント [最大径×長さ] φ89.2×158mm [重さ] 1165g [レンズ構成] 15群21枚 [最短撮影距離] 0.33m (ワイド時) [最大撮影倍率] 0.18倍 (ワイド時) [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ82mm参考価格 199,800円 (税込)
遠景でも絞り開放からクッキリした解像が得られる
ポートレートズームということで、どうしても絞り開放で前後をぼかした写真を撮りたくなるが、自然風景撮影でどんな描写が得られるかをチェックするため、ワイド端で遠景撮影。富士山が春霞に覆われ、コントラストはかなり低めだが、ピクセル等倍で見ると、山肌や対岸の建物、水面のさざ波もクッキリと解像している。
1段絞れば引き締まった解像で風景撮影にも適している
標準ズームと望遠ズームの画角をシームレスにクロスオーバーする大口径ズームで、ポートレートはもちろん、超広角ズームをプラスαしてダブルズーム体制にすれば、大三元よりも機材を軽くできるので自然風景にも適している。ポートレート向けということで開放からエッジ立つほどの解像ではないが、1段絞ればキリリと引き締まった描写が得られる。
しだれ桜が微ボケにならないよう絞って撮影
東京あきる野市の龍珠院。ここは三脚や一脚、脚立は禁止なので、もちろん手持ちで撮影。レンズISは搭載されておらず、αのボディISに頼る仕様だ。「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」ほど微ボケが柔らかくないので、しだれ桜の一部が中途半端な微ボケにならないよう、少し絞って撮影している。
やや硬めだが必要以上には騒がしくならないボケ描写
ピント面の解像と前ボケ、後ボケをチェックするために撮影したカット。前後の微ボケは少し硬さが残り、ピクセル等倍で見ると周辺部は少しブレたような微ボケになりやすい。ただし鑑賞サイズでみれば自然なボケ味で、必要以上に騒がしくなる心配はなさそうだ。
後方微ボケはうるさくならず柔らかくぼける
密集して咲いているチューリップを見ると、撮りたくなるのがこのアングル。花と花の隙間から、主題となる個体だけスッと浮かび上がるように抜ける絶妙なポジションを探せるかどうかが成否を分けるポイントだ。手前に別の被写体を被らせると、後ボケがうるさくなりやすいが、ボケのコントラストが高すぎないので、柔らかくぼけてくれている。
広角レンズとは思えないほど滑らかなボケ味
開放F2と単焦点レンズ並みに明るいのは、ワイド端の35㎜から40㎜手前まで。これは、ワイド端絞り開放の被写界深度の浅さと、前後の微ボケ描写をチェックするために撮影したカット。収差でボケが乱れる周辺部を除けば、中途半端な微ボケもそれほど騒がしくなりにくい。ハナミズキの白い花が玉ボケになっている部分を見ても、ボケの縁取りや色づきは少なく、広角のボケとは思えないほど滑らかだ。
軸上色収差はしっかり補正されている
本誌掲載カットよりも望遠で撮影した写真。背景のほうが明るく、+2の露出補正をかけているので、ワンちゃんの鼻筋は少し白トビ気味。この周辺ににじみやフリンジが浮かないのは、しっかり軸上色収差が補正されている証。毛並みの柔らかい感じもうまく描写できている。
ゴーストは小さなものが出る程度
このズームの場合、太陽を直接画面内に入れて撮影するケースはそれほど多くはないだろうが、逆光気味でポートレートを撮影することを考慮し、ゴーストと光条の出方をチェック。樹の幹あたりに小さなゴーストが出るくらいで、絞りを開けて撮影すれば、ゴーストはフワッと淡く広がるので、ほぼ気にならないだろう。
高速撮影では電子シャッターかメカシャッターに
昭和記念公園のチューリップ。水面の強い反射にもかかわらず、フレアによるコントラスト低下は少ない。軸上色収差もよく補正されているので、花の白い部分にフリンジはなし。ただ、口径食はそれなりにある。電子先幕で1/2000秒以上の高速シャッターを切ると、ボケの上または下が暗くなるので、電子シャッターもしくはメカシャッターに切り換えて撮影しよう。
「α7S III」となら暗くても積極的に使いたくなる
横浜関内の猫カフェ Miysisにて。通常ならF2より明るい単焦点レンズを使って撮影するが、「α7S III」の超高感度を活かして撮影。絞り開放で1/200秒だとISO16000になってしまうが、高感度NRによる解像感低下は少なめ。ちょっと重いけど、この組み合わせなら暗くても積極的に撮影する気にさせられる。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。