機材レポート

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー! ブラックアウトフリー連写や被写体検出AFの実力チェック

富士フイルムXシリーズのミラーレスカメラが裏面照射積層型センサーと高速画像処理エンジンを搭載し、第5世代に進化。最速40コマ/秒のブラックアウトフリー連写で狙える「X-H2S」の実力をチェックした。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
FUJIFILM X-H2S + XF18-120mmF4 LM PZ WR

スピード性能に磨きを掛けたフラッグシップモデル誕生

Xシリーズ10周年の集大成となる第1弾「X-H2S」が登場。現行比約4倍の信号読み出し速度を実現した、有効約2616万画素の裏面照射積層型センサーを搭載し、最速40コマ/秒のブラックアウトフリー連写や、被写体検出AFに対応する。

カメラボディは79点にシーリングを施した、防塵・防滴・−10℃の耐低温構造を採用し、シャッター耐久は50万回の動作テストをクリア。最大7段のボディ内手ブレ補正機能の搭載や、CFexpressカードへの対応、約576万ドットの滑らかな表示のEVFなど、フラッグシップ機にふさわしい進化を遂げている。

動画機能もブラッシュアップされ、高精細な6.2K/30Pや4K/120Pハイスピード動画撮影に対応。被写体検出AFは動画撮影にも活用できる。また、40メガの高精細モデル「X-H2」が控えていることもアナウンスされた。正式発表は2022年9月を予定。これでスピードモデルと高精細モデルの2台体制が構築できる。

AIによるAFがネコの瞳を確実に捉える

被写体検出AFによる追従AFが実に使いやすい。じっとしていないネコの瞳を確実にキャッチしてくれた。人物の顔や瞳に加え、動物、鳥、車、バイク&自転車、飛行機、電車をAIで検出できる。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
富士フイルム X-H2S XF18-120mmF4 LM PZ WR 絞りF4 1/250秒 ISO12800 WB : オート
FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
部分拡大

高速連写と動物AFでサラブレッドを追う

40コマ/秒のブラックアウトフリー連写でサラブレッドを撮影。被写体検出AFを動物にすると最終コーナーからフレームアウトするまで、サラブレッドにピントが追従し続けた。

矢印

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
富士フイルム X-H2S XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR 絞りF8 1/640秒 ISO1250 WB : オート

猛ダッシュで向かってくるイヌを自動で捕捉

被写体検出AFとブラックアウトフリー連写で、こちらに向かって走ってくるイヌを撮影。ファインダーで捉え続ければ、逃すことなく追従できる。横向きや後ろ向きでも追従できたのにはビックリ。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
富士フイルム X-H2S XF18-120mmF4 LM PZ WR 絞りF4 1/2500秒 ISO400 WB : オート

定評のある色再現に加え動体撮影も軽快にこなす

新搭載のディープラーニング技術による被写体検出AFが非常に良くできている。これまでXシリーズは、色を楽しむことが大前提のカメラだと思っていたが、動体を積極的に撮りたくなる。動物や鳥、多くの乗り物をAIが自動で検出し追従できるので、撮影が非常に楽しい。大容量のバッファーメモリーを搭載し、通常の撮影では、連写が止まることはまずないだろう。

長時間の動画撮影時に使いたい冷却ファン、FTP転送やテザー撮影を実現するファイルトランスミッターなど、プロの現場で求められるアクセサリーも充実している。

シャッターボタンのフィーリングや握りやすさを追求した大型グリップなど、細部にもこだわり、プロからハイアマチュアまで納得できるカメラに仕上がっている。

新形状の大型グリップでホールド性がアップ

X-H1」とGFXシリーズが合わさったようなデザインだ。「X-H1」よりわずかに小型軽量化された。グリップが改良され、「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」などの超望遠レンズによる撮影でも、しっかりホールドできて疲れにくい。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

新型センサー&エンジンで超高速連写を実現

第5世代となるセンサーとエンジンにより、最速40コマ/秒の高速連写に対応し、連写中のAF合焦率も向上。動画撮影時のローリングシャッター歪みも大幅に改善されている。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

動体を滑らかに確認できる高精細ファインダー

倍率0.8倍、約576万ドット有機ELによる高倍率・高精細EVFを採用。表示フレームレートは約120フレーム/秒で、動きの速い被写体を滑らかに確認できる。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

ジンバル撮影に適したバリアングル式液晶モニター

X-T4」と同等の3.0型約162万ドットのバリアングル式タッチパネル液晶を搭載。動画撮影時にジンバルと連携する際には必須のモニター構造だ。背面には冷却ファンを取り付けられる。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

余裕の大容量バッテリー搭載で撮影に集中できる

「X-H1」用より大容量化されたリチウムイオンバッテリー「NP-W235」を採用。エコノミーモードで約720枚、6.2K動画で約90分撮影できるため、バッテリー残量を気にしなくてすむ。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

快適な撮影を支える専用アクセサリーが充実

■ファイルトランスミッター FT-XH

縦位置バッテリーグリップとして使用できるだけでなく、FTP転送やテザー撮影のほか、スマホやPCのブラウザ上から最大4台のX-H2Sを同時にコントロール可能。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
2022年9月発売予定 希望小売価格 181,500円 (税込)

■縦位置バッテリーグリップ VG-XH

大容量バッテリー「NP-W235」を2つ装填できる縦位置グリップ。操作しやすい位置に各種ボタンを配置し、横位置と変わらない撮影ができる。防塵・防滴・耐低温のタフ仕様。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
2022年7月14日発売 希望小売価格 72,600円 (税込)

■冷却ファン FAN-001

カメラボディ背面に装着すると電源が供給され、ケーブルレスで使用できる冷却ファン。長時間撮影や高温環境下での動画撮影時の熱を抑えることができる。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
2022年7月14日発売 希望小売価格 37,400円 (税込)

6.2K動画で高精細映像を記録

6.2K/30Pのカメラ内カード記録に対応。トレンドの4K/120Pハイスピード動画も撮影可能。4K/60P動画ではセンサー読み出し速度を1/180秒まで高速化することができ、ローリングシャッター歪みが抑えられ、動きのある被写体を違和感なく表現できる。

動画から切り出した画像が写真として使える

4K/120P動画から切り出した画像は、写真データに引けをとらない臨場感がある。動画データはもはや写真としても使用可能だ。6.2K動画からの切り出しならA3ノビまで余裕でプリントできる。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー
富士フイルム X-H2S XF18-120mmF4 LM PZ WR 4K/120P動画から切り出し

CFexpressカードで高速性能を引き出す

カードスロットはCFexpress Type BカードとSDカードのデュアル。高速連写や動画性能をフルに引き出すには、高速書き込みができるCFexpress Type Bカードを使用したい。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

高精細動画からプロキシまで動画モードが充実

幅広い記録フォーマットに対応しているので、YouTubeから本格的な映像制作までできる。スマホで編集するための軽いファイルが生成できるプロキシ記録にも対応する。

FUJIFILM X-H2S 実写レビュー

FUJIFILM X-H2S 主な仕様

発売日 2022年7月14日
参考価格 346,500円 (税込)

マウント 富士フイルムXマウント
有効画素数 約2616万画素
撮像素子 APS-Cサイズ X-Trans CMOS 5 HSセンサー
画像処理エンジン X-Processor 5
ISO感度 ISO 160〜12800 (拡張 ISO 80 / 100 / 125 / 25600 / 51200)
AFシステム コントラストAF + 位相差AF (117点 / 最大425点)
連写性能 最大約40コマ/秒 (電子シャッター・CH連写)
手ブレ補正 センサーシフト方式5軸補正 (最大7.0段)
ファインダー 0.5型 約576万ドット 有機EL (倍率0.80倍)
液晶モニター 3.0型 約162万ドット バリアングル式タッチパネル
動画性能 6.2K/30P、4K/120P対応
記録媒体 CFexpress Type B、SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-II対応)
幅×高さ×奥行き 約136.3×92.9×84.6mm (最薄部 42.8mm)
質量 約579g (本体のみ)、約660g (バッテリー、メモリーカードを含む)

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。