機材レポート

高速フラッグシップミラーレスで「SUPER GT」を撮った! LUMIX G9PROII 実写レビュー

LUMIX G9PROII 実写レビュー

2023年10月27日にパナソニックより発売となった、ミラーレスカメラ「LUMIX G9PROII」。AIのネットワークモデルを設計しなおしたことにより、被写体認識の精度が向上し、LUMIX史上最速の約75コマ/秒 (AFS/MF) 連写、約60コマ/秒 (AFS/AFC/MF) 連写でどんな被写体も逃さない。LUMIX Gシリーズ初の像面位相差AFを搭載した新開発のイメージセンサーによって、AFの精度が格段に進化している。マイクロフォーサーズの利点である機動性を存分に発揮できる一台だ。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

認識する対象の拡充により、新たに動物、動物瞳、車、バイクにも対応しているということで、11月4日・5日に行われたSUPER GT 第8戦 (最終戦) に本機を持ちこみ、「車認識」による動体撮影をメインに体験してみた。レンズは本機と同時に発売された35mm判換算200〜800mm相当の超望遠ズームレンズ「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.」を使用した。

気軽にマシン撮りが楽しめる!

最初に感じたのは、持ってみて軽い! ということ。私が普段使っているフルサイズ機のボディと600mmの望遠レンズの組み合わせだと約2.6kg。それに一脚が加わるのだが、それに比べて今回の組み合わせでは約1.6kg。レンズ内手ブレ補正 (O.I.S.) もしっかり効いて、手持ちでの撮影が可能。サーキット撮影では、相当の距離を歩くことになるので、機材が軽いのは非常に助かる。

LUMIX G9PROII 実写レビュー
163cmの小柄な筆者が持つとこんな感じ。

 

まずは設定。今回は全画面の中でどのくらい被写体を認識し、リアルタイムでAFが食いつくかを体験するため、AFモードを「フルエリア (自動認識)」に設定し、認識する被写体を「車」に設定した。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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コースにカメラを向けると、コーナーを高速で走り抜けるマシンをしっかりと捉えている。AFが「車」を認識すると黄色い長方形の枠で被写体を捉え、シャッターを切ると緑の枠に変化する。この状態で流し撮りをしてみる。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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こちらが撮影した写真。AFはしっかり効いているのがわかる。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

 

マシンの正面や側面は確実に捉えている。では、マシンのリアはどうか。こちらもしっかりと捉え、砂埃を上げる挙動中も捉えて離さない。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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実写作例

 

もうひとつ、フェンスやガードレールの向こうを高速で走るマシンを狙ってみた。手前に障害物があって車体が半分ほどしか見えていなくても、しっかりと認識して追従している。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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実写作例

 

60コマ/秒 (AFC) 連写も体験してみた。サーキットを走行するマシンのエンジン音の中で撮影しているとシャッター音も聞こえず、ブラックアウトフリーで撮影しているのかどうかもわからないほど。コマとコマの間隔が1/60秒しかないというのは本当にすごい。流し撮りがそれほど上手くない私でも、成功確率は上がるというものだ。ただし、シャッターボタンを押し続けると撮影枚数が大変なことになるので注意したい。

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また、被写体認識が優秀なゆえに、コースサイドに駐車されている車を同時に認識してしまうこともあった。こういった場合は、AFモードを「1点 (自動認識)」に変更すれば狙った被写体にフォーカスすることができるので心配は不要だ。撮りたいチームのマシンだけを狙う場合も有効だ。

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今回の撮影では、AFがどのように被写体を捉えるか、ファインダーの内部の様子はどうなっているのかを伝えることが中心だったので、高度な流し撮りなどは行っていない。特に難しい設定などはなく、カメラを被写体に向けるだけで、しっかりAFが追従してくれて、高速連写が瞬間を逃さないので、構図を工夫したり、好きな撮影ポイントを探したり、シャッタースピードを落とした流し撮りに挑戦するなど、動体撮影を気軽に楽しんでもらいたい。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

 

11月5日に行われた2023年シーズン最終戦。GT500クラスは、36号車au TOM’S GR Supra (坪井翔選手 / 宮田莉朋選手) が、第7戦オートポリスに続く2連勝。今シーズン通算3勝を挙げ、シリーズチャンピオンに輝いた。GT300クラスは、88号車JLOC ランボルギーニ GT3 (小暮卓史選手 / 元嶋佑弥選手) がクラス初勝利。シリーズチャンピオンは、7位に入った52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT (吉田広樹選手 / 川合孝汰選手) が、チームとして参戦7年目にして初の栄冠に輝いた。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

また、今回のレースでNSX-GTがラストランとなり、2024年からはシビック・タイプR-GT (上の写真右端) がGT500クラス参戦車両となるため、デモランイベントも行われた。ニューマシンも投入される2024年のレースをぜひサーキットで撮影して、CAPA「流し撮りGP」にも応募してほしい。

人物撮影でも瞳・顔・体をしっかり認識

そしてサーキットのもう一つの華である、レースクイーンの撮影も行ってみた。こちらはズームレンズキットのレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」を使用している。認識する被写体を「人物」に設定。被写体の部位は「人物」にした。「瞳」を選択することも可能だ。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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こちらも被写体にカメラを向けると、1人の場合はもちろん、複数人数も瞬時に捉えている。3人でも5人でもしっかりとAFが認識して追従してピントを合わせてくれるので、いい表情がきた一瞬のタイミングを逃すことなく、ポーズや構図に集中して撮影ができる。

LUMIX G9PROII 実写レビュー

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実際に撮影した画像はこちら! レースクイーンギャラリー

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Panasonic LUMIX G9PROII

LUMIX G9PROII 実写レビュー

発売日 2023年10月27日
参考価格 ボディ 230,670円、標準ズームレンズキット 303,930円 (ともに税込)

撮像素子 有効約2521万画素 4/3型 Live MOSセンサー
画像処理エンジン 最新世代ヴィーナスエンジン
ISO感度 ISO 100〜25600 (拡張 ISO50相当)
AFシステム 像面位相差AF (779点)
連写性能 メカシャッター (AFC時) 約10コマ/秒
手ブレ補正 5軸8段 (B.I.S.) / Dual I.S.2対応
ファインダー 約368万ドット 有機EL (倍率 約1.6倍)
幅×高さ×奥行き 約134.3×102.3×90.1mm
質量 約575g (本体のみ)、約658g (バッテリー、メモリーカードを含む)

Panasonic LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.

LUMIX G9PROII 実写レビュー

発売日 2023年10月27日
希望小売価格 220,000円 (税込)

マウント マイクロフォーサーズマウント
レンズ構成 13群20枚
最短撮影距離 1.3m
最大撮影倍率 0.25倍 (35mm判換算 0.5倍)
フィルター径 72mm
絞り羽根 9枚 (円形絞り)
最大径×長さ 約φ83.0×171.5mm
質量 約985g

 

〈文・写真〉松村広行