水面に花を浮かべる水生植物のスイレン。旬は夏ですが、植物園の温室では一年を通して見ることができます。スイレンを撮影するポイントは、ズバリ!「水面の反射」。水面の反射を生かした撮影テクニックをご紹介いたします。
焦点距離の長いレンズで花を引き寄せる。水面の反射を生かすのか、消すのかがポイント
スイレンは花に近づきにくいので、望遠マクロや望遠ズームのような焦点距離の長いレンズで引き寄せて撮るのが基本です。水の上に花や葉を広げるので、水面をどう生かすのかが作画のポイントとなります。水面や葉は光を反射して白っぽくなるので、PLフィルターを使って反射を取り除くことが欠かせません。これによって水面は黒く締まり、葉は本来の緑色に写ります。また、水際までポジションを下げると水面に花が映り込みます。PLフィルターを使うと映り込みが消えてしまうので、映り込みを意図して入れる場合は外しましょう。
水生植物の撮影ではPLフィルターを活用する
PLフィルターは被写体の反射を取り除くフィルターだ。レンズ前に装着するだけではなく、前枠を回転させることで効果が表れる。また、水面の角度に対して30度から40度の角度のときに効果が発揮されるので、水面ギリギリのアングルや真下を見下ろす俯瞰アングルでは効果が弱い。
PL/あり
PL/なし
PL有無の描写の差は一目瞭然
PLフィルターを使用し、効果を最大にして撮影。水面と葉の表面の両方のテカリが取り除かれて、色が鮮明になった。PLフィルターを使わないと、水面も葉も白っぽく見える。
水面の映り込みを生かすときはPLフィルターは不要
水に触れそうなほどカメラポジションを下げると、鏡のように天地対称にスイレンが映り込んだ。水面の反射を生かしたいので、PLフィルターは使っていない。周囲が黒いのは水底が暗いためだ。ホワイトバランスを2700Kにして青みを加えて幻想的な雰囲気を作り出し、映り込みとわかるようにあえて水面が揺らいだ瞬間のカットを選んだ。
270ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/200秒) 1.3補正 ISO100 WB:2700K
水辺の妖精ともいわれるスイレンの花。撮影の狙いによってはPLフィルターを使用し、妖艶さを表現したいものです。
写真・解説/吉住志穂