都市風景として思い描く写真の多くは、ビルが建ち並ぶ光景ではないでしょうか。高層ビルやシンボリックタワー、坂道や路地といった街の情景、みなさんが学校や仕事に通う日常的な街並みも、ふとカメラを通せば、非日常の世界に変わってしまう。そんな都会ならではの被写体の撮影テクニックやコツをご紹介いたします。
映り込みを利用すれば容易に目を引くビル写真が撮れる
街中には被写体を映すものが意外とあります。ビルの窓ガラスはもちろん、道にはカーブミラー、お堀や池の水面、雨上がりにできる水滴や水たまりなどです。街中を散策していると、これらに映り込んだビルを発見する機会もあるでしょう。これまで述べてきたとおり、ビルはそれだけでは単調な被写体なので、少し視点を変えて映り込みを利用するのはとても有効な手段です。映り込みを生かせば、ただビルだけを撮るよりも、そう難しく考えなくても目を引く写真にすることができます。
基本テクニック
ガラスに映り込んだ像に注目する
昨今は鏡張りのビルも見かけるようになったが、窓ガラスでも十分に映り込みは狙える。日が暮れるころになると窓ガラスの映り込みが顕著になって撮りやすい。ビルのガラスに映り込みを発見したら、まずは何をいちばんに見せたいかを考えよう。映り込んだ像なのか、ビルと映り込みの全景なのか……、それによっておのずと構図や露出、ピント位置は決まってくる。そうした主題がはっきりしないと、写真も曖昧なものになりやすい。
被写界深度の深い広角レンズを使う
夕暮れ時、建物のガラスにライトアップされた教会が映り込んだ光景に注目した。ここでは被写界深度の深い広角レンズを使うことで、教会にピントを合わせても、建物がぼけないようにした。また夕暮れの空とライトアップが目立つように、アンダーめの露出にしている。
25ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/20秒) -0.7補正 ISO400 WB:太陽光
映り込みが生きるようにシンメトリー構図で捉える
晴天下、街中でガラス張りのビルを見上げたら、前のビルが映り込んでいた。そこで実像と虚像を生かして、シンメトリーになるように構図を組んで撮影。アイレベルでは気がつかない視点だ。ビルの密集した街中では、このように見上げた先にも被写体が隠れている。
17ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/1250秒) -0.3補正ISO400 WB:オート