応用テクニック①
道路や川などの「線」で画面に流れを作る
都会の展望風景はさまざまな建造物で満ちあふれ、一見すると規則性は何もないように思える。だが実は、ところどころに道路や線路、河川といった「線」の要素があり、その線に沿った街並みの流れがある。構図を見栄えよくまとめるには、そうした線を見極め、バランスよく画面に配置することが大切だ。
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なんとなく切り取っても、構図にまとまりは生まれない。しっかりと風景を見て、道路の両側を中心に高いビルが集まっている点に着目すべきだ。
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道路が斜めに横切る構図で捉えて、リズムと奥行きを作り出す
画面の左上から右下へと高速道路が川のように流れる部分を切り取った。この導線によって、雑然と密集しているように見えた風景にリズムと奥行きが生まれた。導線は、対角線上に配置するのが最もバランスよくまとめやすい。
27ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) ISO100 WB:太陽光
応用テクニック②
シンボルがないときは見せたい部分を大きく見せる
展望風景の細部をじっくりと観察し、気になる被写体を見つけたら、そこにズームアップして切り取ってみよう。例えば遊園地やプール、競技場、駐車場、公園といった人が多く集まる場所は、上から眺めると造形的に面白いことが多い。雲の影や霧などの自然現象に注目するのもいいだろう。
全景を撮ることは基本だが、これだけで終わらせず、部分のクローズアップも撮っておこう。
スモッグで覆われた部分にズームアップして幻想的な雰囲気に
右上の全景写真と同じ窓から撮影。スモッグで覆われた遠景の一部をズームアップして切り取ることで、空中都市のようなイメージにまとめた。視界の悪い曇天でも、ポイントさえ絞ればこうした雰囲気のある写真が撮れる。
108ミリ相当 プログラムオート(F5 1/110秒) ISO400 WB:オート
都市の模様に注目してカタチの面白さを切り取る
真下が見える展望室の場合は、ズームアップ+ハイアングルの視点が面白い。この写真では、特徴的な形をした階段や花壇、樹木を切り取ることで、後述するジオラマモードを使わずに「箱庭」のようなイメージにまとめた。
90ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/320秒) ISO100 WB:太陽光
展望撮影では、シンボルタワーやランドマークなどの被写体を見つけ、構図におさめると写真がまとまります。また、そういう目立つ被写体がない場合は、道や川などの「線」の要素を、対角線上に横切るように配置すれば、バランスよくまとまるでしょう。
写真/解説:永山昌克