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【日中の展望写真の撮り方③】写真の雰囲気をガラッと変えるカメラの機能

7月に入り、働いている方も、学生さんも、もうすぐ夏休みに入るこの季節。気分転換に旅行される方もおられるかと思います。そんな時、シンボリックタワーや高層ビルから街を見下ろすシーンもあるでしょう。何気なくカメラを向けて見下ろす町並みも、実は撮影テクニックがいくつかありますのでご紹介します。

 

 

カメラに搭載された機能を活用して日中の展望風景に変化を加えよう

単調になりがちな展望写真に変化を与える奥の手として、カメラに搭載された機能を活用するのもおすすめです。例えば、都会の硬質感を高めるには仕上がり設定の「風景」や「モノクロ」が、非日常感を演出するにはフィルター機能の「ジオラマ」モードが役立ちます。また、都市風景に広がりを与えるにはパノラマモードが最適です。こうした機能を使う際の注意点は、構図やシャッターチャンスを軽視しないこと。素材となる元写真がしっかり撮れていなければ効果は半減します。

 

基本テクニック

仕上がり設定「風景」や「モノクロ」で都会の無機質感や硬質感を表現する

仕上がり設定で「スタンダード」や「ビビッド」などを選ぶことで、撮影画像の発色や階調の傾向を切り替えることができる。都市風景に見られるビルや道路、自動車などの人工物を撮る際は「ビビッド」や「風景」などメリハリの強い仕上がり設定を選ぶと、無機的で硬質なイメージを高められる。

 

風景モード+コントラストアップで色彩感を強調

仕上がり設定の「風景」を選び、コントラストを+3に設定。微妙な質感が損なわれて、色と形のみが強調されることで、シルクアートのようなポップな雰囲気が生まれた。撮り方としては、真俯瞰に近いアングルを選び、車体を平面的に捉えたことがポイントだ。

99ミリ相当 マニュアル露出(F5 1/160秒) ISO800 WB:太陽光

 

モノクロモード+コントラストアップで造形を強調

仕上がり設定の「モノクロ」を選んだうえで、コントラストを+3に設定。色情報が排除されて、道路の模様や形状が浮かび上がった。展望室からの眺めの中でも、人や車が多く集まる交差点は比較的に絵になりやすく、都会らしいイメージも表現しやすい。

24ミリ相当 シャッター速度優先オート(F4.5 1/800秒) ISO100 WB:オート

 

 

応用テクニック①

パノラマモードを活用して広がりを強調する

広角レンズを使っても、風景の広がりを十分に表現できないことがある。風景にワイド感を与えるには、単に広範囲を撮るだけでなく、アスペクト比を横長にすることも効果的だ。そんな横長のワイド表現には、パノラマモードが最適。ダイナミックなワイド写真が撮れる。

 


横長のアスペクト比でワイドな視野をすっぽりと

横方向に広がるこの風景の全体を捉えるには、超広角レンズよりもパノラマモードが適していた。連写と合成をカメラ内で自動的に行ってくれる最近のパノラマモードなら、結果をすぐに確認できて便利だ。見晴らしのすべてを画面に収めた、迫力ある写真が簡単に撮れる。

 

応用テクニック②

ジオラマモードを使って現実世界をおもちゃのように見せる

ジオラマモードとは、全体の明るさと彩度を高めたうえで、スリット状の一部分を残しつつ、画像の上下(または左右)にぼかし効果を適用できるモードだ。これによって、展望風景がミニチュアのような雰囲気になる。

 

平凡な風景にインパクトを与える

ジオラマモードによって非日常感を演出。レタッチソフトを使って後から同等の効果を加えることも可能だが、ライブビューを見ながら撮影時に適用したほうが、効果に合わせて構図やアングルを調整できて便利だ。

 



派手な色の車や看板、標識などが狙い目

ジオラマモードは、上から見下ろしたカメラアングルを選び、道路に歩行者や自動車が写り込んでいると、いっそう効果的な仕上がりになる。カラフルなバスやタクシー、看板、道路標識なども狙い目だ。

 

展望撮影では、モードを変更してコントラストを強調すれば、ポップな写真が撮れます。また、ジオラマモードを使えば、おもちゃの世界のようになります。様々なモードを巧みに使い分ければ、気持ちが揺さぶられるような撮影が可能になります。

 

写真/解説:永山昌克