撮影テクニック③
露光間ピントずらしを使って自分オリジナルの花火を撮る
操作は簡単だがピントリングを止める位置が難しい
シンプルな撮影方法である福田式撮影術は、子どものころに初めて見た花火の印象を表現するために、試行錯誤の末に編み出した手法だ(現在、私は金武だが旧姓が福田だったため福田式と呼ばれるようになった)。まずピントリングを近景側に合わせてから撮影を開始する。花火の開花に合わせてピントリングを無限遠方向に回して撮り終える。ピントリングを止める位置は、花火の先端に合わせるのがベスト。回し過ぎるとぼけてしまうので、ここが難しいところだ。露光中は液晶モニターもファインダーもブラックアウトして見えないので、ピントリングを止める位置は試し撮りを繰り返して指で覚えるしかない。
露光中にピントリングを2度回して撮影する
花火にピントを合わせた状態でシャッターボタンを押して露光開始。花火の開花と同時にピントリングを近景側に動かしてぼかす。その後、再びピントリングを回して花火の先端にピントを合わせてシャッターを閉じた。花火以外の被写体には応用できない手法だと感じている。
ニコンD600 AF-Sニッコール85ミリF1.8G バルブ 1.4秒 絞りF1.8 ISO100
ピントリングを近景側にして撮影開始。ピントリングを花火の先端に合わせて撮り終える。止める位置は練習あるのみ。ピントリングを手で操作するためブレやすい。ホールディングをしっかりすることが重要だ。
失敗例
花火の開花のタイミングに合わせることができず、中央に空間ができてしまった。また、花火の先端がぶれてしまっている。ブレのない写真を撮るためには、三脚と雲台とカメラのバランスを合わせる必要がある。
花火撮影は、3年かかって本番撮影!それくらいの期間がかかると考えても良い。1年目は下見、2年目は試し撮り、3年目にやっと本番。本番までに、きれいに撮影ができそうなスポットを探したり、会場の風景を調べて、どんな花火を撮りたいかなどを考えたりする。きれいな花火を撮るためには、テクニックも必要だが、下調べや会場と調和する構図の選択も必要です。
写真・解説/金武 武