応用テクニック①
背景を適度にぼかして設置物を強調する
絞りを開けて被写界深度を浅くし、設置物を浮き立たせる方法もある。ポートレートに近い撮り方だ。奥行きのある状況だと大きなボケを得やすい。ただし、あまりにボケが大きく、背景の様子がわからないと臨場感に乏しくなる。街の雰囲気が伝わるように長い焦点距離は使わず、広角から標準クラスのレンズで撮るのがおすすめだ。
絞りを開けて、かつ設置物と背景が離れていると、大きなボケが得られる
アメリカ、サンフランシスコで見かけた標識。ビルに反射した光がレフ板のように標識を照らしていた。単焦点標準レンズの絞り開放で撮影。大きな背景ボケで標識が浮かび上がると同時に、街のざわつきも感じられる写真になった。
50ミリ相当 絞り優先オート(F1.4 1/3000秒) ISO200 WB:オート
道の奥行きを生かすとぼかしやすい
昭和を感じさせるレトロな街の一角。広角単焦点を使い、光が当たっている看板に近づいた。奥行きのある状況なので絞りを開放にして背景をぼかす。広角らしい遠近感と適度なボケで、臨場感が得られた。
24ミリ相当 絞り優先オート(F1.4 1/45秒) ISO800 WB:オート
応用テクニック②
ぼかすものにも意味を与えるとぐっと作品に奥行きが出る
ボケを使った場合、闇雲にぼかすのではなく、何かを感じさせるボケにすると作品の深みが増してくる。それには、標識と背景の距離やレンズの画角、絞り値を考慮して、どんな背景になるのかを計算することが大事だ。またボケが効果的な時間帯というのもある。日中より夕暮れがドラマチックな仕上がりになりやすい。
実像をぼかしてミラーの世界に誘導
ティルト機能を搭載したレンズを使用。カーブミラーに反射した景色にピントを合わせ、ティルト操作で画面左側の街灯を大きくぼかした。見る側の意識が、ミラーに映った夕暮れの景色の中に入り込むようなイメージを狙っている。
50ミリ相当 絞り優先オート(F3.2 1/80秒)ISO100 WB:オート
ポスターをぼかして街の様子を匂わす
標識の赤い色と、ビルに貼られた大きな人物のポスターが気になった。標識を主役にして、ポスターはぼかす。夕暮れどきの青く沈んだ色調も意識し、露出はアンダー目に設定。繁華街の様子を匂わす、深みのある写真になった。
50ミリ相当 絞り優先オート(F1.1 1/750秒)-0.7補正 ISO160 WB:太陽光
力強い表現をしたい場合は、絞りを絞ったパンフォーカスで撮影。雰囲気のある表現をしたい場合は、絞りを開放して撮影。絞りの調整をすることで、さまざまな表現が可能になります。撮影時は、被写体をどのように表現したいかをイメージしながらシャッターを押してみましょう。