ビルの多い都心部でも一歩裏道に入ったり、下町に行ったりすると路地はたくさんあります。ここでいう路地は狭い道のこと。人の息遣いや人情味のあふれる路地は、ふとカメラを向けたくなるもの。それらの情緒あふれる撮影テクニックをご紹介いたします。
車が行き交う大通りとは違った都市風景が路地には広がっている
日常は車や電車での移動が多い現代人。近所以外の路地を目にすることも少ないでしょう。だからこそ、撮影旅行や撮影目的で街を散策しているときは、大通りから一歩脇道にそれて路地ものぞいてみてください。そこには車が行き交う大通りとは違った都市風景が広がっているはずです。被写体を探して歩き回る努力なくして、いい出会いはありません。
【路地×明暗】
曇天の弱い光により暗部も明部も描き出す
奥行きのある路地は、スナップの格好の被写体だ。ここでのポイントは露出。 手前の暗部がつぶれないよう、そして奥の明部がとばないように露出を決める。こうした場面は明暗差が大きすぎるとうまくいかない。撮影時は曇天で、明暗差が小さかったことが幸いした。
85ミリ相当 マニュアル露出(F4 1/60秒)ISO800 WB:日陰
【路地×時間帯】
昼間は寂しい路地が夜はムーディーに
小さな料理店が並ぶ横丁を、昼間に撮影したのが下の写真。雑然かつ寂しい様子だ。しかし夜に同じ位置から撮影すると、提灯に明かりが灯り、一転して横丁の風情が伝わってくる写真になった。さらに提灯を前ボケに使って、奥行き感を出している。
50ミリ相当 絞り優先オート(F2 1/160秒) +1補正 ISO1600 WB:太陽光
【路地×影】
板塀で揺れるやわらかな影に注目
京都で見かけた板塀のきれいな路地。そこに1本の木が印象的な影を落としていた。直線ばかりで構成されている光景に、やわらかな影が大きなアクセントになった。この影を強調するために、マイナス1.7の露出補正を行っている。
61ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/320秒) -1.7補正 ISO100 WB:オート
車が行き交う大通りにはない路地の雰囲気。この路地も都市風景の一部。人通りも少なくひっそりとしていて、静かにすれば人の息遣いが聞こえる……。そんな路地を印象的に撮るためには、太陽光や日陰、提灯等の灯りなどを利用して一枚の写真の中で明暗をつけること。ステキな被写体と出会うために、歩き回ってみましょう!