夏は写真を撮るのに最高の季節だが、とにかく暑い!一時間も撮っていると撮影どころではなくなり、熱中症にもなりかねない。そこで狙いたいのが、夕方の写真。強い日差しが避けられ、夕焼けや斜光、逆光の写真が撮りやすい。太陽が傾き、空が色づき始める夕方の写真を撮るテクニックやコツ、さらにプロカメラマンならではの夏の暑さ対策グッズなどをご紹介します。
日中の撮影
夏の日中は色鮮やかに撮れるが、陰影のない平面的な写りになりがち
夏は日差しが強く、日の位置が高いため海や山を色鮮やかに撮れるが、真上近くからの光で陰影が付きにくく、平面的な写真になりやすい。夕方なら太陽の位置が低めで斜光や逆光での撮影が可能。夕焼けでなくても、立体感があり変化に富んだ写真が撮れる。日中に比べて涼しいので、長時間撮影しても水分補給などに気を使っておけば、体力的な負担も少ない。
トップ光では陰影が付かず平面的に写る
山の撮影は、斜光などで陰影が付くことで立体感が出る。その点、夏の日中は光が真上付近から当たり、平面的な写りになってしまう。
色鮮やかではあるがドラマ性に欠ける
日中に海を撮ると、海中まで光が届いて色鮮やかに写る。そのため、海そのものを撮るならいいが、立体感がないため平凡な印象に。
△夏の日中が撮りづらい3つの理由
理由1.太陽の光が強烈でコントラストが高すぎる
太陽が真上付近まで昇るため光が大気の影響を受けにくく、強烈な光が降り注ぐ。晴れていれば、全体にコントラストが高い仕上がりになる。いかにも夏らしい写真が撮れるが、コントラストが高すぎて単調になりがち。
理由2.太陽が真上にあって影がきれいに出ない
真上付近からの光は、影が被写体の直下に出て、風景などを見下ろして撮る場合は、平面的な写真になる。建物や人物は影が出るが、真下付近への強い影は不自然。直光を避けて逆光にするのも難しい。
夏以外は太陽の位置が低めで日中でも多少斜光気味になるが、日の高い夏はほぼトップ光。斜光や逆光を狙うには、朝夕に撮る必要がある。
理由3.とにかく暑すぎる!
日中は光が強いだけでなく、気温も極めて高くなる。そのため、集中して撮影するにはつらく、熱中症などになるリスクもある。それでも撮る場合は、十分な暑さ対策が必要だ。
カメラを持って撮影しに行こう!という気も失せてしまう夏の暑さ……。
夕方の撮影
光の色や影の出方などの変化が面白い。夕方なら色の変化や立体感を生かして撮れる
夏の日中の光は強烈なトップ光で、被写体の色を鮮やかに見せるには最適。ただ、影は被写体の直下に付き、コントラストは高いが平面的な写りになりやすい。夕方は光の色が刻々と変わるほか、斜光になるので立体感があって変化に富んだ写真が狙える。日没後にも低速シャッターでのブレ表現を楽しめる。
夕焼けの太陽を狙っても面白い
赤く染まった夕焼けに加えて、太陽自体を狙っても面白い。手前にシルエットになる被写体を入れると、画面にメリハリが付く。
人物のシルエットを点景として使える
夕焼けはマイナスの補正で色が濃くなる。逆光気味でマイナス補正を行うので、手前にいる人物などはシルエットになる。点景として最適だ。
夕日に照らされる雲海なども狙える
夏の山は雲海が発生しやすい。夕方は、そうした雲海や霧などに赤く色付いた光が当たってドラマチックな写真が狙える。
◎夕方に撮りたい3つの理由
理由1. 美しい夕焼け空が狙える
夏は日中の気温が高いぶん、晴れていても適度に雲が出て夕焼けしやすい。風景では夕焼けの光が山や水面に当たって、独特な雰囲気が出せる。スナップ撮影でも、背景が色付いて夕暮れどきならではの写真に仕上げられる。
理由2. 逆光や斜光での撮影ができる
夏以外は日中でも逆光や斜光気味の写真を狙うことができるが、夏は朝夕しか撮れない。夕方なら、風景に立体感を出したり逆光でシルエット表現を狙ったりできるので、写真が単調になりにくく、撮影意図が反映しやすい。
光のグラデーションと長い影を狙う
逆光なら、シルエット表現や影を意識した写真が狙える。夕方でも夏場は光が強いので、強めにマイナスの露出補正を適用するのがポイント。
理由3.ブレを生かした撮影ができる
夏の空は日没後も長時間明るめだ。そのため、適度に背景などを見せながら街灯の光を生かしたり、鉄道やクルマをぶらしたりといった表現ができる。こうした時間帯は、ほかの季節では短く、夏ならではの写真が撮れる。
背景を適度に見せつつ鉄道をぶらす
街灯だけでは背景をはっきりと見せるのは難しいが、夏は日没後も空が適度に明るい。背景とぶれた鉄道をバランスのいい明るさで写せた。
夕方の時間が長いのもポイント!
日没前後の明るい時間帯は夏場だと長め
夏は日中の時間が長く、撮影場所にもよるが日没後も20時近くまで空が明るい。そのため、例えば15時以降を夕方と考えると、夏は夕方の時間が長く、無理して日中に撮影しなくても、十分な撮影時間を確保できる。
2018年の夏は、6月の梅雨明け早々、暑い夏がやってきました。太陽がギンギンに輝いているからこそ撮れる被写体もあるけれど、暑いから少し涼しくなった夕暮れ時の撮影も、光と影のハーモニー、情緒漂う撮影をおすすめします。