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【阿波おどりの撮り方①】艶やかな「女踊り」は望遠レンズで切り取る

日本を代表する盆踊りの1つが、徳島県徳島市で行なわれる「阿波おどり」。毎年、お盆の8月12日から15日の4日間、18時から22時30分まで、徳島市中心部で催される。阿波おどりは、編み笠をかぶり、揃いのゆかたを着た女性が艶やかに踊る「女踊り」と、法被やゆかたを尻からげに着た男性が力強く踊る「男踊り」で構成され、それぞれ動きや見せ場が異なるため、踊りに合わせた撮り方をしたい。

 

振り付けを観察してシャッターチャンスをつかむ

「女踊り」は、隊列を組んだ女性が規則正しい動きを繰り返す。そのため、しばらく観察すると、踊りのパターンを理解できるようになり、シャッターチャンスをつかみやすくなる。両手を高く上げ、その指先が伸び、片足を高く跳ね上げた瞬間は、踊り手がもっとも美しく見える瞬間。このタイミングでシャッターを切ればよい。ただし、女踊りは常に両腕を顔より高い位置に上げて舞うため、撮る角度、撮るタイミングによっては踊り手の顔が隠れてしまう。これを避けるためにも、踊りをよく観察し、その動きに合わせて撮るようにする。

 

隊列を組む踊り手たちがカメラのほうを向き、左足を跳ね上げた瞬間を撮影した。踊り手たちの顔がしっかりと写り、ポーズも美しい。

170ミリ相当 マニュアル(F7.1 1/30秒) ISO800 WB:オート ストロボ使用

 

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右足が跳ね上がった瞬間を捉えたのだが、踊り手たちの上げた右手が顔を隠してしまい、失敗写真となった。

 

スローシンクロ撮影で背景も明るく写す

日没後、暗くなった阿波おどりの会場では、ストロボ撮影が必要。でも、通常のTTL調光撮影ではシャッター速度が1/60秒〜1/250秒に設定され、ストロボ光の届かない背景は真っ暗になってしまう。そこで、背景が明るく写るようにISO感度は高めに設定し、シャッター速度は1/60秒より遅くなるように設定する。こうすることで、背景も明るく写り、祭の雰囲気を損なうことがない。

 

シャッター速度が1/200秒と速く、またISO感度がISO200と低かったため、手前の踊り手は適正な明るさに写ったが、カメラから離れた位置にいる踊り手は露出がアンダーに。さらに背景の町並みは真っ暗になった。

150ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/200秒) −0.7補正 ISO200 WB:オート ストロボ使用

 

望遠ズームレンズで踊り手をアップで捉える

踊り手の行列の中から、絵になる踊り手を選んで大きく撮りたいときは、瞬時にズームアップできる望遠ズームレンズや高倍率ズームレンズが便利。アップで撮る際、狙った踊り手の顔にコンティニュアスAFでピントを合わせ続け、顔がしっかりと見えるタイミングを選んでシャッターを切る。このとき、踊りの命である手が画面から切れないようにフレーミングには留意したい。

なお、AFの測距エリアは被写体が動き回ってもピントを外さないように「ゾーンAF」「グループエリア」「グループターゲット」(メーカーによって名称・仕様が異なる)などの複数の測距点で被写体を捉えるAFエリアモードを使う。

 

行列の中から踊り手を選んで撮影する場合、早くから狙いをつけ、ファインダーで踊り手の姿を追いながら、近づいてくるのを待つ。十分な距離まで引きつけ、シャッターを切る。このとき、指先が切れないようにフレーミングする。

280ミリ相当 絞り優先オート(F5.8 1/160秒) −0.7補正 ISO2000 WB:オート ストロボ使用

 

阿波おどりの行列には、踊り手のほかに楽器の奏者も加わる。「鳴り物」と呼ばれる鉦、鼓、締太鼓、大太鼓、横笛、三味線などの楽器を手にする鳴り物奏者は、楽器と演奏する手の動きに留意して、フレーミングやシャッターを切るタイミングを選びたい。

170ミリ相当 シャッター優先オート(F5 1/15秒) ISO200 WB:オート ストロボ使用