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【滝&渓流の撮り方②】立体的に水の動きを描写する必須アイテムとは?

2018年猛暑が続く中、この夏休みに、滝や渓流などの避暑地で、心も体も癒される方も多いはず。そんな時に、カメラを持って涼しげな撮影を試みる方もおられると思います。緑が覆い茂るこの季節、水流との彩りも美しくなります。ここでは、滝と渓流の基本的な撮影操作のテクニックや、シーン別の構図決定のノウハウなどご紹介いたします。

 


 

基本編

水の流れや輝きを捉える5つの基本操作

清らかな水が流れる滝や渓流は、漠然と写すのではなく、水をどのように表現したいのかを考えながら撮影することが大切だ。それに合わせて的確なシャッター速度や露出を選択し、さらにPLフィルターを使って水の表情を引き出す。

 

基本② PLフィルターで、水のキラメキや、ぬれたテカリを生かす

光の反射を取り除き、被写体の彩度を高めることができるPLフィルターは、水を写すときには欠かせないアイテムだ。常に全ての反射を取り除くのではなく、反射を少しだけ残したり、反射を取らずにそのまま撮影したりといった具合に、状況に応じて効果を調整して使う。効果の調整はフィルターの前枠を回転させて行う。

 

 

△ PL効果100%

 

〇 PL効果 50%

 

PL効果50~70%で、少しテカリを残して被写体を立体的に描く

画面の大部分を水流が占めていたり、川床が黒かったりするときは、反射を少しだけ残して描写すると、水の動感やボリューム感などを引き出せる。この場面でも少し反射を残し、清らかで勢いのある水の流れを表現した。 PL 効果100%で反射をすべて取り除いた右の△写真は、左下の川面が黒々と写り、流れの様子が伝わりづらい。

28ミリ相当 絞り優先オート(F11 0.8秒) +0.3補正 ISO100 WB:太陽光

 

PL効果100%

水流は脇役で主役が別にあるときはPL効果100%もアリ

滝壺に落ちたツバキと、独特な色合いをした岩の色を強調するために、PLフィルターを最大に効かせて撮影した。水の流れよりも魅力的なものがある場合は、 PL 効果100%で撮影してもOK。ただ、反射がなくなり水の存在感が薄れるため、画面内に白い水流などを入れておきたい。

45ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/4秒) -0.7補正 ISO100 WB:太陽光

 

PL効果 0%

Strong 光る岩や水の輝きを捉えたいならPLフィルターは使用しない

降雨後など滝や渓流の周囲では、ぬれた岩が美しく光っていることがある。この反射を、PLを使って取り除いてしまうと、艶やかな美しさと画面の立体感が失われてしまう。上の場面ではPLを付けず、ぬれた岩の反射をメインにして渓流を描写した。

62ミリ相当 絞り優先オート(F14 6秒) ISO100 WB:晴天

 

渓流や、滝の撮影では、水の艶感、きらめきを生かした描写するにはPLフィルターは欠かせないアイテムです。立体的な描写も可能になりますので、滝や渓流の撮影時は、適宜使用しましょう。

 

写真・解説/伊藤亮介