冬は街にイルミネーションやライトアップされた被写体があふれ、カメラを向けたくなる季節。ここでは、それらをキレイに撮るためのカメラ設定や撮影機材などの基本知識から、ツリーやタワー、建物など、被写体ごとの対応法までを紹介。
基本編ではイルミネーションやライトアップの撮り方の基本を紹介したが、ここからは被写体ごとの細かな撮り方や注意点を解説。今回は「ツリー&オブジェ」の後編。
【基本編】
1. 特別な機材は必要なし!使用機材はコレだ!
2. カメラ設定は試し撮りで適宜確認!
3. イメージ通りに仕上げるカメラ設定は?
4. 真っ暗?トワイライト?撮影のベストな時間帯
5. 華やかに仕上がる構図は空間の切り取り方で決まる!
【実践編】
1.「ツリー&オブジェ」の前編 ツリー&オブジェは前ボケでふんわり仕上げ
撮影テクニック2
多重露出機能を利用して光り輝く華やかさを演出する
多重露出でシャープな画像とピンボケ画像を重ねても、前ボケに似たキラキラ感を演出できる。多重露出モードはカメラによっていくつかあるが、画面の明るい部分のみを重ね合わせる「比較明合成」が表現意図に合っている。撮影は簡単なので挑戦してみてほしい。
(1カット目)元になる写真は、ツリーをはっきりと描写するのが目的。三脚を使って、絞りをF11に絞り込んで、5秒の露光で撮影。(2カット目)同じ構図で、わざとピンボケにして撮影。マニュアルフォーカス(MF)でピントを外し、ボケが大きくなるように絞りは開放F4に。
完成!
1カット目と2カット目がカメラ内で合成され、光り輝くツリー写真になった。ピンボケカットはピントを外す際に少し画角が変わるが、ズレはズームで調整。また、ぼかした写真はシャープな写真より少し暗く撮ったほうがきれいに仕上がる。
ワンポイントアドバイス
重ねるボケ写真は同じ被写体でも違う被写体でもOK
ぼけたほうのカットは違うものを重ねてもOK。別のときに撮ったボケ写真を、撮影後にパソコンのソフトで合成すれば右写真ようになる。ボケの素材を撮っておくといろいろと使える。左写真はセオリーどおりに撮ったもの。
“ツリー&オブジェ”にはこんな撮影もおすすめ!
ソフトフィルターを使って画面全体の光の量を増やす
前ボケや多重露出でなくても、イルミネーションの光をソフトフィルターでにじませることで、肉眼で見たときのようなふんわりとした感じを強調することもできる。レンズ前にフィルターを取り付けるだけと手軽だ。
ケンコートキナー MCプロソフトン(B)
各社から効果の強弱のある製品がいくつも発売されているが、私はソフト効果が比較的強く、にじみがきれいな「MC プロソフトン(B)」を愛用。(価格/5400円:58㎜径)
ノーマル写真
↓
フィルターなしでも悪くはないが、ソフトフィルターを使ってにじませてみると、光が強調されて見違えるように華やかになった。効果の強弱は製品や焦点距離などで変化するので、いろいろ試してみるといい。
この季節は日が暮れると急に冷え込むので、厚着をするなど寒さ対策も忘れずに。