「フォーカスリミッター」はピントを合わせる撮影距離の範囲を制限できる機能で、主に価格が高めの望遠レンズやマクロレンズに装備されている。ピント合わせが可能な撮影距離の範囲を、特定の距離より遠距離だけ、または近距離だけに制限することで、被写体からピントが外れたときにAFが迷走する範囲を狭められる。これにより、ピントを合わせ直すまでの時間を短縮できる。
また、被写体の手前に障害物があるようなシーンで、障害物にピントが合うのを防ぐ効果もある。フォーカスリミッターをうまく活用すれば、大事なシャッターチャンスでピンボケになったり、障害物にピントが合ったりするトラブルを減らすことができる。
シグマ120~300ミリF2.8のフォーカスリミッター。
【FULL】最短撮影距離から無限遠までの全域で、AFによるピント合わせが行える。だが、AFがうまく機能せずに測距不能になると、広い範囲をAFが迷走し、時間的なロスが多くなってしまう。
【10m-∞】10mから無限遠までの距離域で、AFによるピント合わせが行える。遠景のみの撮影時に使うと、“AF迷走”の範囲が狭くなる。
【・-10m】最短撮影距離から10mまでの距離域で、AFによるピント合わせが行える。比較的近距離の被写体撮影時に使用すると、スムーズなAFが可能になる。
自衛隊の基地祭で、輸送機が着陸するところ。こういうシーンでは、ふとしたはずみで手前の人にピントが合ってしまうことがあるが、フォーカスリミッターを使うことでそうしたミスを防げる。
写真/北村智史