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【カメラ用語事典】PLフィルター

PLフィルターとは、被写体の反射を抑える効果のある特殊フィルター。偏光膜を使用しているので、「偏光フィルター」とも呼ばれている。新緑や紅葉などの葉のテカリを取り除くことで深みのある色を引き出したり、空気中の塵による乱反射を抑えることで青空をより鮮やかに描写したりすることができる。また水面で使うと、水中をくっきりと写し出せたりする。

PLフィルターは偏光膜を回転させることで、特定の方向から入ってくる光(偏光)を遮る仕組み。このため二重構造になっており、フィルターの前枠を回転させながら効果を調整して使用する。ファインダーやライブビュー画面を見ながら前枠をゆっくり回転させると、その効果を確認できる。

ただし、偏光膜は角度によって効果が変わり、効果が得られやすい角度は被写体によって異なる。例えば、青空の場合は、カメラ(レンズの光軸)と太陽を結んだ線に対して、90度の方向にレンズを向けるとPLフィルターの効果が最も高くなる。逆光では効果が得られない。水面やガラス面では、面に対してレンズの光軸が30~40度の角度のときに最も反射を抑えられる。

なお、PLフィルターには大きく分けて「PL(偏光)」と「C-PL(円偏光)」の2種類がある。PLはMFカメラ時代からあるフィルターで、直線偏光のために一眼カメラに採用されているハーフミラーと干渉することがある。デジタル一眼で使用するのであれば、C-PLを選ぶこと。

 

▲ケンコー・トキナーの「Zeta Quint C-PL」。衝撃や汚れに強い薄枠のPLフィルター。フィルター径37~82mmがあり、径によって価格は異なる。

 

写真/伊藤亮介

フィルター枠をゆっくり回転させると、効果が変わっていく。上から順に、効果0%、効果50%、効果100%で撮影したもの。葉の表面の反射(白っぽい部分)が効果を強めるごとに取れていくのがわかる。効果100%でテカリが取れると、葉の緑色がより一層鮮やかに写った。

 

PLフィルターの効果が得られやすい条件がある。青空を鮮やかに写したいときは、太陽とレンズの光軸が90度の角度になるようにし、水面の反射を取りたいときは、面に対してレンズの光軸が30~40度の角度にする。

 

PL効果100%で撮影。太陽とレンズの向きが90度に近い角度で撮影した左の写真は、PLフィルターの効果が強く出て、真っ青な空に写った。一方、右の写真は太陽とカメラの向きに角度がない逆光状態。そのため、いくらフィルターを回転しても効果は得られなかった。